豪吹G+α

(二人で話した翌日)


二人でちゃんと話し合ったからって、黄色声が消える訳じゃない。

「豪炎寺くん!あたしたちと一緒にご飯食べようよっ」

お昼になると、また昨日の女の子たちから誘われていた。昨日も豪炎寺くんはキッパリと断っていたけど、毎回毎回聞かれる様じゃ埒が明かないし彼女達にも期待をさせたままだ。

昨日は無理だったけど、今日こそ!
ここで一発僕が見せつけてあげないと。

立ち上がって一歩一歩近づく。うぅ、いざとなるとやっぱりちょっと怖いかも…

でも、豪炎寺くんの席は一番離れてるから、僕が見ていない間にもきっと数々の挑戦者が現れているんだろう。
そう考えたら居ても立ってもいられなかった。


「悪い。そういうのは…」
「えぇー、昨日もそうだったじゃない!」
「今日は豪炎寺くんの分のお弁当もあるんだよ!?」

その会話を聞いた時ハッとした。実は僕も豪炎寺くんのお弁当を作ってきてたから。
このまま、せめてお弁当だけって押し付けられたら大変だ!

「吹雪!?」

気がついたら豪炎寺くんに抱きついて、女の子たちに

「豪炎寺くんは僕と食べるんだから!」

って夢中で叫んでた。
意識が戻った頃にはもう遅くて、目の前の女の子たちも豪炎寺くんも驚いた顔をしていた。

「…あ、…ぼく//」

たった今黒歴史作ってしまった僕は、いたたまれなくなって抱きついていた腕をパッと離した。
ヤバイヤバイヤバイ

目の前の女の子たちはやや俯き気味の僕をポカンと見ていた。そしていきなり顔色が変わった。絶対何か言われる。そう思ってキュッと目をつむった。

「「可愛いぃ!//」」

………え?

「吹雪くんだよね!わたしたち隣のクラス何だけど、あなたの噂も聞いてたんだよ。」

あれ?なにこれ。

「すごくキレイな顔だよね。ほっぺなんて、ふにふにでモッチリしてそうだし目もパッチリだし!」

僕の事を何故か知っているらしい女の子たちは僕に何も言わせずにペラペラと話し始めた。さっきまであんなに豪炎寺くんに集っていた時とは大違い。
予想外過ぎる反応に戸惑っていると、ひとりの女の子の手がスーッと頭の上に延びてきた。きっと頭を撫でようとしたんだと思う。
でもそのフワリとした衝撃は来なかった。なぜなら豪炎寺くんがその子の手を掴んでいたから。

「あ、あのー…?」

女の子はどうしてそうされたのかが分からないらしかった。僕も分からなかった。
そしたら豪炎寺くんがいつものカッコいい表情でサラリと言い放った。

「吹雪に触らないでくれるか?コイツに触れて良いのは俺だけなんだ。」
「……!////」

嬉しさなのか恥ずかしさなのか何なのかよく分からないけどそれで頭の中は真っ白になった。対象に僕の顔は真っ赤になる。女の子たちの顔もだ。
本当、出会った時から豪炎寺くんは直球な人だ。





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