豪→?吹


「吹雪っ!」
「うんっ………あ!」

紅白戦中。マークを上手くかわして飛んできたパスをキャッチしようとした時、相手に正面に入り込まれ、避けようとして派手に転んだ。

「いっ……あ、ボールが!」

確かに相手にぶつからないよう身体を捻ったから変な体制で転びはしたけど、僕の中では大したことなくて、ボールの方が心配だった。

なのにいきなり

「円堂、タイムだ!」

豪炎寺くんが倒れている僕の方に走ってきた。

「吹雪、大丈夫か!?」
「え?…あ、うん。転んだだけだよ。」
「いや、足を捻ったかもしれない。」

僕の体制を起こすと足首を触って痛みがないか確認してきた。……たいしたことないのに。

「痛くないか?」
「……っ、…ちょっと痛いけど、たいしたことないよ。」
「いや、少し腫れてる。動かさない方が」
「大丈夫だって。」

豪炎寺くんは気が利くし優しい、だけどたまに過保護な時がある。

「よくあることじゃないか。僕が勝手に転んだんだ。」
「関係ない。…ほら、膝も擦りむいてる。二の腕もだ。」
「それなら豪炎寺くんだって…」
「俺なら大丈夫だ。」
「だったら僕も大丈夫だよ!」

もう!いちいちうるさいなぁ
酷い言い草かもしれないけど、これが今回に限った事なら僕だってこんなに強く言わないんだ。でも違うんだ。
試合じゃなくても、普段からなにかと口煩くてさ…

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから。」

立ち上がってぽんぽんと土埃を払う。
だいたい豪炎寺くん敵チームのFWだろ。逆サイド走ってて結構離れてるはずなのに、なんでこっちのDFの動きまで分かるんだよ。

「傷口から菌が入るかもしれない。」
「こんなの舐めとけば治るよ。ほら、早く戻って。」

ただ転んだだけなのにタイムアウトされて恥ずかしい。
点数は同点で、しかも残り時間10分だったから、僕は試合の続きがしたくてしょうがなかった。

だから本当に驚いたんだ。
豪炎寺くんがいきなり僕の二の腕舐めるから…。


皆が見てる中でそんなことされて、僕はもう訳がわからなかった。豪炎寺くんは擦りむいたところを唇で挟むようにしてチューッと舌を這わせてきた。

「な、何するんだよ!」

バッと腕を振り払った。
豪炎寺くんの顔に手が当たっちゃったけど、気にしていられなかった。
少しばかりパニックになる僕に、豪炎寺くんは

「舐めとけば治るんだろ。」


さっきの僕の言葉は失言だったみたいだ。

結局その事が印象に残りすぎて集中出来ず、僕たちのチームは負けた。

悔しい、悔しい、悔しい。
それから僕は勝手に豪炎寺くんに敵意識を持った。

次は絶対勝ってやる…!




←|→


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -