豪←染←吹←豪


暗くてひっどい話です。
染岡が最低男です。




俺は豪炎寺が好きだったんだ。
でも豪炎寺は吹雪が好きだった。
豪炎寺は真剣だったから、吹雪以外には目もくれねぇ。まぁそんな一途な所も好きなんだ。

普通ならここで俺と豪炎寺の片思い。で終わるところだ。
だけど運が良いのか悪いのか、不幸中の幸いというように、吹雪は俺の事が好きだったんだ。

嫉妬して、憎かった存在の吹雪は俺を振り向かせようと必死だった。
ここで俺が吹雪の相手をしてやれば豪炎寺に振り向く事はない。そう考えた。
もし吹雪が豪炎寺に振り向いたらと思うと怖かった。豪炎寺は一度手に入れたら絶対に離さないだろう。あいつらだけ幸せになるなんて許せなかった。




だから利用した。



「そ、そそ、染岡くん。僕ね……君の事が…す、好きなんだ。」

告白してきた吹雪は顔を真っ赤にして目を輝かせていた。
吹雪は自分が豪炎寺に好かれているなんて知らない。
豪炎寺は吹雪が好き。
吹雪は俺が好き。
俺は豪炎寺が好き。

なら、


「好きだ。」
「え、…ほ、ほんと!?//」
「あぁ。豪炎寺をな。」
「………え…。」
「豪炎寺の代わりになって抱かせてくれるんだったら、付き合ってもいいぜ?」

その時吹雪の瞳が絶望していたのを覚えている。




吹雪は考えた末に承諾した。
少しでも俺のそばにいれば、いづれ自分を好きになってくれると考えたのだろう。悪いな。俺は豪炎寺しか見てねぇんだ。


吹雪と俺の関係を知った豪炎寺が傷ついているところを、俺は吹雪に脅されたから付き合ったんだと言って近づき、傷を癒すつもりで俺のものにするつもりだった。



「ん、んぁ…ぁっあ、」

吹雪の細ぇ腰を引き寄せて俺の自身をねじ込む。

「っひ、ぁ……そ、そめ…ぁあ!」

いきなり奥を突いてやるとビクッと身体が跳ねた。優しさも何もない、俺にとってただ欲を発散するだけの行為。それでも吹雪は俺にすがる。

自分を抱くことで少しは俺の心を癒せているとでも思ってるんだろうか…。

ぐちゅぐちゅと繋がった場所から卑猥な音がする。

「…っあ…あぁん…!そめ…ァアッ…そめおかく…!」

揺すられながら、抱きしめてほしいのか手を広げて伸ばしてくる。が、俺はその手首を両手でシーツに押さえつけて耳元に囁いてやる。

「はぁ…っ…豪炎寺…」

その度に吹雪の表情は泣きそうに歪む。豪炎寺の名前を呼びながら腰の動きを激しくする。

「んん、っあ、あ、…いく、イッちゃう!ひっ、ぁあっん!」
「…っは…ぁ…俺も、出すぞ…っ!」


ビュクッと吹雪の腹に白濁が飛ぶ。俺はドクリと吹雪の中に性を吐き出した。
汗で張りついた吹雪の髪を横に流してやる。額にキスをしてやったり、そのまま滑らせて瞼や頬など唇を当てる。でも、唇と唇を合わせたことはない。

吹雪は、はぁっはぁ。と浅い呼吸を繰り返す。吹雪は快楽に弱い。
後戯をしながら「豪炎寺」や「修也」ばかりが口から紡がれる。俺は行為中に吹雪の名前を呼んだことがない。吹雪を抱きしめた事もなかった。


どんなに頑張っても、身体を捧げても自分を見てくれない。

だけどそんな俺に吹雪は一途なままだった。傷ついた表情を見せる吹雪が可笑しかった。
なんで別れようとしないんだ?いつしかそんな疑問が生まれた。同時に、どこまでいけるのだろうか?と考え始めるようになった。


パスミスが相次ぎチームで上手く息が合わなかったとき。シュートチャンスを逃しイラついていた俺は吹雪にそれをぶつけた。

ドカッと華奢な身体が壁に打ち付けられる。

「かはっ…ごほっごほ…うぅ…」

腹を押さえてうずくまる姿は虐待心を誘った。

「そ…染岡、くん……やめて…」

髪を掴み乱暴に壁にぶつける。痛がる吹雪を俺は黙って見下ろしていた。
学校で、嫌がる吹雪を無理矢理犯した事もあった。
吹雪はあらかた暴力を振るった後に「ごめんな。」と頭を撫でてやれば許してくれた。

吹雪は絶対俺の側にいてくれてると確信していた。



そんなある日だった。
俺は見てしまった。それも最悪のタイミングで

「………?」

校舎裏だった。二階の渡り廊下からそれが見えた。

豪炎寺が吹雪を抱きしめ、頭を大丈夫、大丈夫というように撫でていた。吹雪の顔には、昨日俺が殴った箇所に湿布がはってあった。

吹雪は豪炎寺の腕のなかで震えていた。まるで与えられる愛を拒絶するかのように。


それを見た瞬間、今までにない恐怖を感じた。


だかそれは
豪炎寺に対するものではない。

吹雪が、俺から離れていってしまう気がした。
吹雪を思いっきり抱きしめたくなった。吹雪を愛したくなった。

『今日はね、お弁当作ってみたんだ。』

もっと優しくしてやればよかった。

『この映画面白そうだよね。今度一緒に行こうよ。』

もっと大事にすればよかった。

『染岡くん、だいすき。』


いつからか俺は、
吹雪が好きになっていた。





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