不+吹



「不動くんってご飯作るの上手いんでしょ…!」

「さぁな。」

「僕お腹空き過ぎて倒れそぉ…。」

「もう倒れてんだろ。…飛鷹辺りに言えよ。」

「不動くんの食べてみたいー…。」


さっから俺の部屋の入り口で床に寝そべる吹雪と永遠とこの会話を繰り返している。

今日はマネージャーがいない。練習がOFFなのもあるし、毎日働いているそいつらに1日休みをあげようって事になったらしい…。
困ったのは地元の奴らじゃないやつだ。俺も含め吹雪もその一人だ。

「ねぇ不動くーん。」

「うるせーな。豪炎寺はどうしたんだよ」

「しらない…あんなバカ…」

ははーん、喧嘩中か。
ったくめんどくせぇなー…

「作ったら静かにするか?」

「うん!」

ガバッと身体を起こして目を輝かせてきた。…単純なやつだな。
のろのろと立ち上がる。

「チャーハンがいい!」
「ぁあ?作ってやるって言ってんだから注文つけんな。」
「チャーハンがいい!」
「うるせーな、聞こえてる」
「チャーハンがいい!」
「分かったから!」
「やったー!」

こんなしつこい奴だったか?

「お前も手伝えよ。」
「うん!」

まぁ、たまにはいいか…

「食ったら仲直りしてこいよ。」
「………うん。」
「あー、そんなんじゃ俺の料理食う資格ねぇな」
「分かった分かった!」

いつまでも俺んとこにいられたらたまったもんじゃないぜ。
……そう言えば、なんでこいつ俺のとこ来たんだ?
他のやつの方がよっぽど愛想いいだろ。

「なぁ、お前なんで俺に頼むんだよ。」
「え?…あぁ、だって僕、不動くんとあんまり話したことなかったから。仲良くしたくて」

本当に単純なやつだな。考えるまでもない答えだ。
単純過ぎて心配になるぜ…。豪炎寺、苦労してんだろうな

「ん?どうしたの?」
「なんでもねぇよ。ほら、食堂行くぞ。」

誰かに料理を作るなんて初めてだ。
………俺も丸くなったな。




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