人と話すのは苦手だ。
と言うか必要以上関わりたくない。

いちいちお世辞言って、相手の顔色を伺ったりして面倒くさい。その上"好き"だの"愛してる"だの言っちゃってさ
どうせいつかいなくなっちゃうんだよ

そう。
いつかいなくなるなら、最初から関わらない方がマシさ


だから僕はクラスでひとり
可哀想だの思う人はいない。逆に疎まれているぐらいだし、別に僕も友達がいなくて寂しいとは思わない。

誰とも関わろうとしない
そんな僕を良く思わない人はたくさんいる。

だから今の状況だって珍しくない…



―ドンッ―…

「…っう」

殴られた衝撃で壁に体をぶつけ倒れる。

「おい。何シカトしてんだよ!」

右頬はすぐに腫れ、唇を切ったのか血の味がする。

シカトって、「おはよ〜吹雪く〜ん。今日も不機嫌さんだねぇ」なんて男子に言われて何て返せばいいんだよ。ま、最初から返す気はなかったけど。
どっちにしろ、僕を悪者にしたかったんだろ。廊下で、しかもわざと周りの目があるところで一方的に殴るなんてどっちが悪者なんだか分からないけど。


立ち上がってホコリを払う

くだらない。

黙ってその場を後にしようとするとまた声がかかる。
今日はしつこいな

「おい!どこいくんだよ!」

胸ぐらを掴まれ、また男が拳を振りかぶるその時

「おい、やめろ。」


鋭い声に一瞬時が止まる。


「お。おぉ、豪炎寺。コイツがさ…」

「そいつが悪くても、暴力で制裁するのは子供がやることだ。」

ぴしゃりと言い放つと、男が手を離し拳も下ろす。彼の言葉はなんていうか、こう、絶対そうしないといけないと思ってしまう威厳がある。

特に苦手な人種だ。

さっきまで知らん顔で通り過ぎていた人達がざわつき始めた。こんなに事を大きくする気はなかったのに、なおさら面倒になった。

これ以上この場にいたくなくて、また黙って歩き出した。後ろで呼ぶ声がしたけど無視して歩き続けた。

まったく今日は災難だ。



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