08
肩が、痛い。
身体もあちこち痛いけど、今日は特別肩が酷かった。気を失ったせいであの人達に何されたかは分からないけど、とにかく僕の気分は最悪だった。
宿舎に戻って来れたのは一時だった。いつものようにグラウンドにボール籠を出して練習を始める。
また皆に迷惑かけちゃったかな…
ふぁ、はぁ…はぁ…。
最近ろくに寝ていないせいか寝不足で頭が痛い。視界がボヤけてきた。
けど蹴るのを止めない。
試合は絶対負けられないんだ。スタメンで出続けるためにももっと実力をつけないと。
でも身体は思うように動かなくて、よろけて手をついたときにズキンッと肩に酷い痛みが走った。
「ぅあ゛!…ぁ……。」
膝をついた。近くにあったボール籠にもう片方の手をかけるけど、立ち上がれない。痛い。いた、い。
生理的な涙が頬を伝う。傷口が開いたのかズキズキと激しい痛みが襲ってくる。意識も朦朧してきた。
「はぁ……はぁ、…ぃた…。」
――…ぶき、ふぶき…
だれ?
誰か僕の事呼んだ?
まさかね。幻聴まで聞こえてくるなんて…僕、相当疲れてるんだ、な…
「吹雪!」
「!?」
幻聴じゃなかった。
すぐそばで聞こえた声に驚いて顔を上げると。そこにいたのは、豪炎寺くんだった。
「大丈夫か!?」
膝をついている僕の脇に同じように膝をついて寄り添ってくる。
なんで君が…。
「吹雪、ちゃんと話してくれ。」
僕の目をしっかりと見つめてくる。僕はこの目が少し怖い。
「?」
「お前が隠している事だ。」
「それは…!」
ダメだよ。それだけは。
だって言ったら君に危害が加えられるかもしれない。皆に迷惑かけることになる。代表選手のイメージ悪化にも繋がる。なにより、もしマスコミやメディアに晒されたときの反動で皆がサッカー出来なくなってしまったら…。
目を合わせたくなくて俯く。
君をそんな目に合わせたくないんだ。
「……君には関係ないって言ったじゃないか。」
「え…。」
「ほ、本当に迷惑なんだよね。そういうの。」
ごめんね。
「実を言うとさ、僕君の事嫌いなんだよね。」
ごめんね。
「だから、…もう僕に近づかないでよ。」
ごめんね。
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