02
最初こそ不定期だったものの、だんだん吹雪がいなくなる日に法則性があることに気がついた。それは一対一で組んで必殺技を特訓したり新しい練習方法を考えたりする時など、誰かと一対一で話す機会があるときだ。
そして更に言えば、それは俺との特訓の時に特に見られた。俺は吹雪から何となく避けられているような気がする。普段だったら喜ばしい事だが、今の俺は戸惑いしか感じなかった。
四回目になると周りのやつらも不信に思い始めたらしく気にかけていたが、監督と円堂が吹雪から言うまで待とうと言う判断だったし、練習に出ていない割りに実力は落ちていなかったから皆何も言わなかった。
吹雪は、休んだ日は11時頃…いや遅ければ1時を過ぎる日もあった。練習には参加しても夕飯の時にいない日もあったりで
まぁそんな不摂生な生活が続くわけもなく、練習中にとうとう倒れた。俺の目の前で…
「吹雪っ!?」
周りが慌てて駆け寄るなか、俺はその場にたたずむ事しかできない。
吹雪は、はぁはぁと荒い呼吸をしながら"大丈夫だよ。"と立ち上がろうとする。
それが妙にイラついて、
気がついたら強引に吹雪を抱え医務室に寝かせていた。
「豪炎寺くん?……ひゃ!」
戸惑う声を後ろに、冷やしたタオルを投げつける。
「……お前は、何がしたいんだ。」
「…え?」
本当は何か言わなきゃいけない事があるんじゃないのか?今お前が抱えている問題は何なんだ?どうして相談しない?
「前に、中途半端な事はするなと言ったはずだ。」
少し強い口調で言えば、吹雪はハッとしたような顔をして俯く。
「………ごめん。」
また謝るだけか。
周りはお前を助けようと手を差しのべているのに、なぜ気づかない…!
「やる気がないなら、サッカーなんてやめろ。」
今のコイツからは日本代表としての誇りが感じられない。自分でもかなり冷たく言い放ったつもりだ、言い過ぎたとは思ってない。
「あ、待って豪炎寺くん!…あのね、…僕」
「寝てろ。いま練習に参加されても迷惑だ。」
泣くのを堪えるような声で何か言おうとするのを遮り部屋を出た。知りたいと思っていながら聞かない矛盾。
最近本当にイライラする。
何なんだこの気持ちは。吹雪と関わるたびに増えていく。やっぱり俺はアイツが苦手みたいだ。
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