08
情事後。気だるい身体を動かしてシャワーを浴び布団に入ると、ぎゅーっと抱きしめられる。
この瞬間が一番好き。
豪炎寺くんの肩幅は僕がすっぽり入るくらいで、腕に包まれると暖かい。
授業をすっぽかして帰ってきたから、時間はまだ午後4時前。だけど疲れちゃって、もう眠い…
意識がボーッとしてきた時、頭の上で声がした。
「吹雪………寝たか?」
「んー?」
目は閉じたまま声だけで返事する。
「その。…悪かった。」
「…なにが?」
「急に色々、、戸惑っただろ…?」
そりゃ君からあんな風に迫られたことなかったし、まさかこんなに行動力あるとも思ってなかったけど、でも
「………もういーよ。」
眠たい僕は思考が上手く回ってないみたいで、適当な返事になっちゃうけどしょうがない。
「お前に俺だけ見てほしかったんだ…。」
「…………へ?」
珍しく素直な豪炎寺くんだ。さっきより少しだけ意識を取り戻した。
「この前迫られてるお前を見つけて、正直気が気じゃなかった。」
「…でもぼく」
「お前は大丈夫かも知れないが、俺が、嫌なんだ。」
そう言ってさらに強く抱きしめられる。
「命令でああ言えば、吹雪は俺の事しか考えないだろ。だから………。…ごめん。」
僕はああいう告白を何度か受けてる。慣れてるわけじゃないけど、、、だから恐怖がうえつく事はなかった、でも豪炎寺くんは僕を守ろうと必死だったんだ…。自分の愛する人が心に傷を負うんじゃないかと。
もし逆に豪炎寺くんが他の誰かからちょっかい出されてたら、嫌だ。
「豪炎寺くん。大丈夫だよ。」
言葉で言わなくても分かると思ってたけど、間違ってた。
きっと不安だったんだよね。
「僕、最初から豪炎寺くんしか見てないよ。」
今日の僕たちは妙に素直になれた。
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