03



「…………は?」


何て言ったのか理解できない。豪炎寺くんは僕に何をさせたいの??

「だから、俺をヤル気にさせてみろ。」

ここで!?
ここ体育用具室だし、だいたい…

「いま授業中なんだよ?」

「知ってる。」

なんでそんな冷静な顔で言えるんだよ。

僕も起き上がって膝立ちし、跳び箱の向こうを見た。薄く開いた扉の隙間から、文化部が走っているのが見える。放送をよく聞くと、まだ28回目だ。でもそんなに長くはならないだろう…

「ねぇ、せめて家じゃダメなの?」

振り返って豪炎寺くんを見る。

「ダメだ。」

「別に今じゃなくても…。」

そうだよ。いまにこだわる必要はないじゃないか…。もし見つかりでもしたらどうするんだよ、豪炎寺くんのばか!


ぶつぶつ言っていたら腰に腕を回され、グッと引き寄せられた。

「お前こそ、文句ばかり言うが本当は出来ないだけなんじゃないのか?」

「なっ…!」


確かに、今までのは豪炎寺くんに全部してもらってたけど……僕だって別に出来ない訳じゃないさ

「わかった。いいよ今で。」

僕の負けず嫌いに火がついた。シャトルランでは負けたけど、仕返しに豪炎寺くんをメロメロにしてやるんだ!


豪炎寺くんの肩を押してマットに横たえ、上にまたがった。余裕そうな顔が何だかむかつく。

見てろよ…
僕だってちゃんとできるんだからな!命令したこと後悔させてやるんだから。



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