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豪炎寺くんに負けた。
「終わったものは各自水分補給を取るように!」
先生の声が体育館に響き渡る
廊下の水のみ場は生徒で賑わって、皆同じ内容の話ばかりする。
「お前何回だった?」
「102!」
「俺の勝ちだな!105回!」
そう。
今日は体力テスト、20mシャトルランがあったんだ。
三クラス合同で授業するなかで、運動部と文化部・その他に分かれて計測される。
時間がかかる運動部は一番最初にやることになってた。
バスケ部やテニス部はもちろん、サッカー部も含まれる。
そこで豪炎寺くんと、どっちがより多く走れるか賭けをしたんだ。
勝った方は相手に一回だけ何でも命令できる。負けた方はそれがどんな事でも従うこと。
いくら恋人同士でも勝負となればお互い手を抜かない。
それにそんな賭けつきで負けるわけにはいかないっ
僕が勝ったら、帰りに駅前に新しくできたクレープ屋さんのクレープを奢ってもらおうと思ってた。
でも結果は僕が138、豪炎寺くんが144で豪炎寺くんの勝ち。
6回分も越されるなんて!
賭けもそうだけど体力的にも負けたのが悔しい…
運動部のシャトランは豪炎寺くんが最後で終わった。
僕は何となく顔を合わせたくなくて一人で水分補給をして、また体育館に戻った。
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