パーティーの後で




全てが終わったあと、ララヤに王宮での宇宙平和を記念した一泊二日のパーティーに招待された。

「ボク、こういうパーティーに出るの初めてだなぁ。」
「…そうか。吹雪はこの間のパーティーに出てないもんな。」
「この間って。……そっか、この旅が終わったらボクたち10前のFFIに戻るんだよね。なんか変な感じ。」

あの時は吹雪のタキシード姿を見ることが出来なくて惜しい気がしていたが、今は他のやつに見せたくない気持ちで心が荒れている。

なんだってこんなに可愛いんだ。ヒールのある革靴を履いてちょっと背伸びしているところがまたグッとくる。

「ねぇ見て!」
「ん?」
「これ食べられるんだって!」
「……腹壊すなよ。」
「大丈夫だって。あ!あっちの料理も取ってくる!」

吹雪は明らかに身体に悪そうな紫で星形のキノコ料理を皿にのせていた。あれは本当に食えるんだろうか…
遠くのテーブルに料理を取りに行く吹雪を目で追っていると。

「吹雪、はぐれるなよ。」
「!?」
「もう。僕24なんだよ?心配しなくてもだいじょう…あ!」
「ん?…あ。」

あろうことか大人の俺たちと出会してしまった。

「……もしかして、修也くん!?」
「えっと…あの。」
「初めまして、かな。24歳の吹雪士郎だよ。」

いきなりで驚いた。俺より少し背が高い。だが間違いなく吹雪だ。

吹雪が24歳…。
目の前の存在より、分けのわからない食べ物にはしゃぐあの吹雪が24歳まで成長できるのか、と無意味に安心してしまった。

「ずっと試合見てたんだよ。本当は練習にも顔出したかったんだけど、豪炎寺くんが行くな行くなってうるさくてさ。」
「吹雪には家事があっただろ。」
「そうだけどさー。君の秘書なんだからちょっとくらいついて行きたかったよ。」
「じゃあお詫びに今度休み取って旅行連れてってやるから。」
「え?本当?…じゃあ。…んー…許す。」

いや、10年経っても中身は変わってないようだ。

「小さい吹雪はどうした。」
「いま料理を取りに…あれ?」
「…見当たらないのか?なら早く探した方がいいぞ。」
「ふふふ、僕はすばしっこいからね。しっかり手を握ってないと逃げちゃうよ。」

もう少し24歳の吹雪を心のフィルムに納めておきたかったが恋人がどこかへ行ってしまったようだ。

俺は急いで辺りを探し始めた。大人の俺たちは「もし見かけたら伝えとくよー。」となぜか笑顔だった。この会場内にいることは確かなんだが、…広い。

「井吹、吹雪を知らないか?」
「さぁ。見てねーな。」
「神童は、見てないか?」
「会場に入ってからは見てないな。…おい、井吹。食べ方が汚いぞ。」

「鬼道、吹雪を見てないか?」
「ああ。さっき入り口の方で見たな。」
「そうか。ありがとう。」

俺は入り口を目指した。
さっきまですぐ見える所にいたのにいつの間にこんな遠くまで…。受付の話によると外の庭に向かったらしい。

会場から外に出てみるともう夜だった。歩き回って、庭の噴水近くのベンチに腰を下ろす。
なぜかベンチに意味深に吹雪が着けていたネクタイがあったからだ。それにさっきから後ろでこそこそしているのもバレているが、気づいていないフリをしとこう。

「だーれだ?」

手のひらで目を覆われて視界が暗くなる。

「吹雪。」
「なんでわかったの!?」

そりゃこんなことするのなんて吹雪しかいないだろ。

「どうして普通に呼ばないんだ。心配しただろ。」
「ふふ、だって君が心配して探してくれるか気になったんだもん。」

吹雪は俺から手を離すとベンチの前まで来て俺の膝に跨がってきた。

「今日はね、星がスゴく綺麗なんだよ。」

そう言って微笑む吹雪の方が綺麗だ。吹雪の腰に腕を回して引き寄せる。ここは会場より静かで、吹雪の声がよく聞こえる。

「パーティーも楽しかったんだけどね、ふたりになりたかったんだ。」
「フッ…それは俺も同じだな。」

思えばこの旅でこんな風に落ち着いて二人きりになれたのなんてほとんどなかったな。

「さっき初めて24歳の吹雪を見たよ。」
「え!?ボクいたの!?」
「俺と来てた。」
「!………そっかぁ。」

少し驚いた様な表情をしたがすぐに幸せそうに、ハニかんだ笑顔を見せた。合わせて俺も笑う。

「ふふふ、ボクたち10年後も一緒なんだね。」
「そうだな。」

会場から盛大な拍手の音が聞こえてきたが、俺たちは笑い続けた。




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