▼ ソウルがほしい
「ボクもソウルがほしいです!」
吹雪が監督にソウルの覚醒書をねだる姿はサザナーラ戦が終わった後からずっとだ。ただ言ったって聞き入れてもらえないのを学習している吹雪は、試合で活躍するのはもちろん、監督の飲み物を用意したり監督の部屋を掃除したり。とにかく頑張って尽くした。
監督もさすがに考え始めたのか、ある日試合後のベンチに吹雪を呼び出した。
「吹雪、そんなに私の世話をしたところで変わらないぞ。」
「…どうしたら覚醒書をもらえますか?」
「お前にソウルは必要ない。」
「そんな。」
期待を切り裂く言葉に吹雪は俯くしかなかった。それだけ言うと監督は吹雪に背を向けて歩き出した。
だが、
「…そうだな。レベル90以上の実力があれば考えてやろう。」
「!…本当ですか!?」
監督は振り返らず、歩きながら吹雪に言った。
「ほしい覚醒書は?」
「ギンロウです!」
「あいつは林属性だぞ。」
「ギンロウがいいんです。」
「………変わったやつだ。」
「あ、ありがとうございます。」
「まだやるとは言っていない。」
「はい!がんばります!」
吹雪は監督の背中に目一杯叫んだ。