大人の豪炎寺くん




大人の豪炎寺くんがギャラクシーノーツ号に乗ることになって一週間。"ボク"はまだひとりしかいないから、14歳の豪炎寺くんと24歳の豪炎寺くんにまるで取り合うようにぺたぺたくっつかれてる。それはそれで何だか嬉しいんだけど。

ただ最近困ってる事があって…。
毎晩代わりばんこに二人と寝ているんだけど、そうなると……こう、欲がたまっても一緒に寝ていない一方の豪炎寺くんに申し訳なくて吐き出せないっていうか…。

正直に。安易にえっちできなくなっちゃったんだ。

「吹雪。今日は俺の日だぞ。」
「あ、うん。」

お風呂上がりに廊下から宇宙を眺めてたら後ろから声をかけられた。そうだった、今日は豪炎寺くんの日だ。

「…今日は"修也くん"はいないみたいだな。」
「修也くん、今夜はキャプテンと特訓するんだって。」

最初の試合、サンドリアスイレブンと戦ってみて改めて感じたけど…星を架けるアウェイ戦って本当に大変だった。その星の環境に慣れるギリギリでの試合は体力と神経をどんどん削っていくし。これからこんな事が続くと思うと、確かにいままでの練習じゃ足りない。

「吹雪は特訓行かないのか?」
「ボクは朝型だから、夜は早く寝て朝早から練習してるのさ。」
「…変わらないな。」
「ぇ?」
「いや、何でもない。」

一瞬すごく切ない表情をしていた気がするけど、何事もないようにボクの手を引いて部屋に入った。いつもは少し話したり膝に乗せてくれたりするんだけど…。今日はもう寝るのかな。電気をつけずにベッドに入った。

「おやすみ。」
「ぁ、おやすみなさい。」

豪炎寺くんが腕枕してくれて、抱きしめてくれる。豪炎寺くんは修也くんよりも大きくて抱覆力がある。ボクとしては試合で疲れたし、すぐ寝てくれるのはありがたいんだけど…、今夜ばかりは身体がそうはいかなかった。

前は三日に一度はしていたし、試合が近い日でもお互いを慰める事はしてたからもうそういう身体になってるっていうか、そういう身体にされちゃったっていうか…
ダメだ。考えてたらなんか熱くなってきちゃった…。豪炎寺くんの身体が近すぎて、欲しくなってきちゃう。抱きしめてくれているおかげで豪炎寺くんの匂いがすぐ近くからする。

「ボク、大人の豪炎寺くんとえっちしてみたいなぁ…。」

あ。と、口から言葉が出てしまった時にはもう遅くて、気づけば豪炎寺くんがボクの上にいた。

「ご、豪炎寺くん!?起きてたの!?」
「あぁ。全部聞いてた。」
「ぜんぶ!?…ぜ、ぜんぶって……?」
「前は三日に、のところから」
「わーー!忘れて!」

ボクそんな前からひとりごと言ってたの!?しかもいちばん恥ずかしいところから…!

「いままで大人として我慢していたけど、吹雪が望むなら…」
「待って、豪炎寺くん。あのね、ボク」
「待てない。」

豪炎寺くんはボクのパジャマのボタンをひとつ開けると鎖骨に吸い付いてきた。

「っ!…豪炎寺くん、見られちゃうよ。」
「大丈夫だ。アースイレブンのユニフォームは首まで隠れるだろ。」

そ、それはそうだけど。でもそう言う問題じゃなくて…

「"修也くん"じゃなきゃダメか…?」
「!?……豪炎寺、くん?」

暗闇で表情は見えないけど、なんだか胸がきゅうっとなる声だった。まるで捨てられた子犬のような…。
その声にボクがおとなしくなったのを雰囲気で確認すると、豪炎寺くんはここぞとばかりに難しい話をし始めた。

「吹雪。いまは二人の豪炎寺修也という存在に囲まれて戸惑っているかもしれないが、豪炎寺修也はひとりしかいないんだ。」
「?それってどういう…」
「考えてみろ。吹雪はたぶん、二人同時にいることで24歳の俺と、14歳の豪炎寺修也は別人だと錯覚している。でも修也くんが大人になると俺になるんだ。」
「うん。」
「つまりだな。……吹雪との初体験はもう済んでいるんだ。」
「え!?」
「よく覚えてるぞ、…たしか俺の家だったな。エイリア学園の事が終わって吹雪が北海道に帰る前の日、吹雪がどうしても「やめてー恥ずかしいー!」
「でも、これで分かっただろ?」
「…う、うん。豪炎寺くん、そう言うイジワルな所は変わってないね。」
「そうか?…まぁ、だから俺とセックスしても浮気にはならない。同一人物だからな。」
「……そっか…。」

豪炎寺くんと修也くんを別々に見てたけど、考えてみたらおんなじ人なんだ!

「いいか?吹雪…。」
「…ん。…チュッ……イジワルしないでね。」

もちろん僕は同い年の豪炎寺くんが大好きだけど…。でも豪炎寺くんってことはどっちも変わらないなら………これは浮気じゃない、んだよね…?



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