Happy×kiss×new year




今日は12月31日の大晦日。
去年は旧イナズマジャパンのメンバーで忘年会も含めた年越し会をしたけど、今年は豪炎寺くんと二人きり。皆でワイワイするのも楽しかったけど、こんなふうに落ち着いて年を越すのも好きだな。
けどテレビを見ながらコタツでぬくぬくしてたら眠くなってきちゃった。

「吹雪、あと20分の我慢だ。年越しのカウントダウン見るんだろ。」
「……うん、…。」


ぽんぽんって肩を叩いてくれるけど僕はもう半分夢の中。豪炎寺くんはそんな僕を何とか眠りに落ちないように話のネタを探し出す。そこまで疲れている訳じゃないからちゃんと起こされれば起きれるんだけど、いったん僕が寝に入ると豪炎寺くんは絶対起こさないんだ。去年の年越し、綱海くんたちと騒ぎすぎて疲れて雑魚寝しちゃった時だって豪炎寺くんは僕の事をおぶってマンションの部屋まで運んでくれたらしい。

「吹雪、しろー、もうすぐだぞ。」
「うん。…昔の事思い出してたぁ…。」
「むかし?」
「小学校の頃に12時ぴったりにジャンプして、"おれ年が明ける時地球にいなかったんだぜ"って言うの流行ったよね。」
「あぁ、あったな。……て、お前去年綱海とやってただろう。」
「あれ。そうだっけ。…ふふ、僕もまだ若いね。」
「ッフ。それからカラオケもな。」
「やったやった。楽しかったよね!」
「あぁ。だがもう皆の前で歌うなよ?」
「もう今年一年そればっかり言ってるよ。」
「そうか?」
「そうだよ。」

去年の年越し会は居酒屋で、カラオケが付いてたから最後の方はいつの間にかカラオケ大会になってたんだよね。
歌手と曲をくじ引きで決めた時、僕は甘えんぼを引いて歌ったんだ。そしたら何故か酔った染岡くんやヒロトくんに抱きしめられて、豪炎寺くんに寄って無事引き離されたもののあれからカラオケ禁止令を出されてる。

「今年は皆どんな風に年越しするかな。」
「円堂は雷も…"円堂"夏美とだろうな。」
「ヒロトくんはね、出張でアメリカに行ってるんだって。あと風丸くんは染岡くんと半田くんと飲みに行くって言ってた。」
「皆何かしら予定があるもんだな。」

その時ちょうどテレビからあと5分の声が聞こえてきた。

「吹雪。お前はどんな風に年越したい?」
「ぇ?…特に。って言うか君と居るんだからもう十分だよ。」
「そうか。」
「豪炎寺くんは僕とじゃイヤ?」
「その質問はズルいな。」
「ふふ、分かってる。」

僕は答えを知っていてわざと聞いた。豪炎寺くんが僕の事を好きでいる事も僕が豪炎寺くんを好きなことも、ふたりはちゃんと分かってる。

「あ、あと一分だって!」
「あっという間だったな。」
「皆に豪炎寺くんと過ごしたんだって自慢しちゃおうかな。」

実はふたりでいることは誰にも言ってないんだ。付き合ってるって事も円堂くんと鬼道くんと染岡くんくらいしか知らない。あ、あと虎丸くんにも話したって豪炎寺くんが言ってたかな。

「じゃあその自慢にこれも足しといてくれ。」
「ん?、あ!あと五秒!」

抱き締めてくる豪炎寺くんそっちのけでカウントダウンのテレビと一緒に心の中で数え始める。

5・4…

「吹雪。」

3・2・…

「ん?なに?」
「あいしてる。」

1…

「え、……!?」

豪炎寺くんの言葉にテレビから顔をそむけると、豪炎寺くんの顔がすごく近くにあって、それが分かった瞬間にふたりの距離はゼロになった。
ずっと釘付けになってたテレビからは、あけましておめでとう!とお祭り騒ぎが聞こえてくるけど僕はもうどうでも良くなっていた。僕の唇には、僕より少し暖かい唇の感触。豪炎寺くんって本当にズルいよ。これじゃ僕、皆にどんな年越ししたか言えないじゃないか。触れるだけのキスですぐ離れた豪炎寺くんは、驚いてカチコチな僕を見て珍しく笑いを堪えているようだった。

「ッフ。どうだった?今年の年越しは。」
「どうだったって…。……よ、よかった…けど。」
「けど?」
「する前は言ってよね。」
「だってテレビに夢中だっただろ。」
「それが嫌だったの?」

素直にうなずいた豪炎寺くんはどこか照れながらも僕を抱き締めたまま。妬いてくれた事よりもテレビ相手に焼きもち妬く豪炎寺くんがなんだか可愛くて、僕も豪炎寺くんに抱きついた。

「今年もよろしくね。」
「ん。俺こそ。今年もよろしくな。」

ふたりで居ることがこれ以上ないくらいに幸せに感じる。ただ年を越したってことにもふたりでなら大きな意味がある気がする。今年も色んな事をふたりで経験していきたいな。
豪炎寺くんが頭を撫でてくれるうちに僕は安心して眠りについた。きっと明日は初詣と、夜は今日寝ちゃった分の姫初めを要求されるに違いない。
けど今は、もうちょっとだけ豪炎寺くんの腕の中で…。




-end-

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