かまってちゃん




FFIの話。



最近豪炎寺くんがかまってくれない。

かまってくれないっていうか、二人きりになれる時間がほとんどない。


練習では虎丸くんがここぞとばかりに隣にいるし、何かあったらすぐキャプテンのところに行っちゃうし…


むーー

正直気に入らない…。
なんとなく冷たい態度とって気を引こうとするけど全く効果0。それがさらにイライラの原因にもなる。


僕のこと、もっと見てほしいよ



夕食の後の席で、ヒロトくんに相談してみることにした。



「それは、押してダメなら引いてみろ作戦だよ。」

「どんな作戦…?」

「まずね、豪炎寺くんはいつも吹雪くんが側にいてくれてると思ってるから安心してるんだよ。」

ふむふむ...

「…それって嬉しいことなの?」

「まあ。浮気しているわけじゃないよ。彼には君の存在があるからこそ自分の事に集中できてるんだ。」

そっかあ
なんだか僕妻になった気分//
だけど…

「僕は、集中できないもん」

「それをなくすんだ。」

「…え?」

「彼に妬きもちやかせるんだよ。」

「どうやって?」

「簡単さ。俺を見ればいいんだ。もちろんフリでね。」

「えぇ!む、難しいよ…」

ぼくにできるかなー

「君はそれだけ豪炎寺くんを見てるってことさ。」

う、確かに。

「逆に吹雪くんが自分を見てないって気づいたら、きっと彼は焦って君を問い詰めるはずさ。」

「んー。いいアイデアだけど、それでケンカになっちゃったりしたら嫌だよ…。」

もし豪炎寺くんに嫌われちゃったらそれこそ本末転倒だ。

「大丈夫さ。お互いが素直になればね。」

え?

「君がそこで寂しいって気持ちをちゃんと伝えないとダメだよ。それもこの作戦のいっかんだから。君たちは変なところで意地をはりすぎなんだ。」



……そうか…。


僕、無意識に意地はってたけど
さみしかったんだ…


二人になれる時間が少ないからって拗ねてばかりいたなんて子供みたいだ。
考えてみたら豪炎寺くんにとってもおんなじだよね…。

僕と同じ気持ちだったりするのかな。





「ヒロトくん!」

勢いよく机から立ち上がった。

「!?…どうしたの?」


「僕、いまから豪炎寺くんに言ってくるよ。」


頭が覚めた気がした。


「え?…あ…うん。頑張って…ね?」

「ありがとう!」


僕は廊下に出て

豪炎寺くんの部屋を目指す。

彼は不器用だから、本当の気持ちを隠しているだけなのかもしれない。
僕がそれに気づいていれば

はぁー
言葉にするのって、こんなに難しかったんだ…。勝手に拗ねたりして冷たい態度とったりしてごめんね。豪炎寺くん

とにかく会って話さないとっ


っていうか、仲直り?したら今夜くらいは一緒に寝たいな…//




僕は高鳴る鼓動を抑え、ドアをノックした。




――――――…

「…結局、俺が考えた作戦って……。」

苦労人:H




あの二人は常に直球勝負です。








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