白い薔薇を君に



俺、基山ヒロトには最近同じクラスで夢中になっている二人がいる。

二人とも意地っ張りで強がりな面があって、素直に言えばいいものを毎度毎度ぶつかってはいがみ合っている。本当はお互いが気になってしょうがないくせになかなか気を合わせようとしない。好きなくせにさ…


まぁようするに俺からしたらそんな二人を見るのが最高に楽しいって事さっ

今日もほら、やってるやってる
教室の窓からそっと廊下を覗く。そこにはある男子の後ろを、ちょっと成長遅れぎみの男子がひょこひょこ着いて歩いていた。

ちょっとすると背の高い方が小さい方に振り替える

「おい、ついてくるなって言ってるだろ。」

「は?何いってるんだよ。僕の行く方向にたまたま君がいるだけだろ。」

「っは、どうだかな。」

「君こそ。…ほら、早く歩きなよ。」

小さい方がそう言うとお互い歩き出す、けど数メートル先でまた同じようなやり取りを始めている。


ちなみに紹介すると
大きい方は、豪炎寺修也くん。学校一のスポーツマンで、去年はサッカーで国体にも出たことがある。
小さい方は、吹雪士郎くん。学校一の秀才で、前回の模試では全国10位以内に入ったんだとか…。1ヶ月前に北海道から引っ越してきた&転校してきたばかりだから彼に関してはまだよく分からない

でもとりあえず言えるのは、全く正反対なこの二人は実はすっごくお似合いだってこと!



こっそり、周りに紛れながら二人の会話を聞きに俺も歩き出す。

「お前、科学室が分かんないだけだろ。」

「別に。教室の場所ならだいたい覚えたし。」

これは吹雪くんの嘘。
吹雪くんは授業の合間は勉強していて、放課後はすぐ帰っちゃうから学校内の造りなんてまるで知らないはず。
次の授業が移動だったときはたいていこんな風に誰かに着いて歩いている。最近では特に豪炎寺くんばかり

「素直に、科学室までの場所を教えてくださいお願いします。って言ったらどうだ。もし言えたら案内してやってもいいぞ」

人にあまり興味を示さない豪炎寺くんも吹雪くんにはやたら突っかかる。

「誰がそんなこと。……まぁ、しょうがないなー、言ってあげるよ。」

お互い突っかかりに乗っていく辺り本当に仲良いなぁ、と思う。

「科学室までの道教えろ運動バカ。」

「は?態度がなってないな。学校の授業よりまず親に躾直してもらってこい勉強バカ」

「あっそう。なら他の人に聞くからいいよ。こんな心の狭い人がストライカーだなんて後輩や他の部員に同情しちゃうよ。」

「同感だな。お前みたいなチビがどうやってその小さい頭に勉強できる脳をしまいこんだか謎だ。黒板の上の方は可哀想なことに手が届かないみたいだし、次問題当てられた時が楽しみでしょうがないな。」


お互い貶してるんだか誉めてるんだかで、聞いてて本当おかしい。

ごちゃごちゃ言い合いながらも、気がつけば二人並んで歩いてるし

本当、二人からは目を離せないな…


お互い花を贈る日が来たら、きっと白い薔薇がお似合いさ

花言葉は

純潔 そして

私はあなたにふさわしい


勝ち気な二人にぴったりじゃないか。


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