▼ love shoot
ヒロトくんが、最近ある女子アイドルグループにハマっているらしいんだ。
「ほら、吹雪くんもここの歌詞歌ってみてよ!」
「えー、恥ずかしいから僕は遠慮するよ…。」
練習がOFFだから豪炎寺くんとどこか出掛けようかと思ってたのに、虎屋のお手伝いに行くんだって。。。僕も行くっていったのに、死人を出すわけにはいかないからダメだって言われた…
本当、失礼しちゃうよね。僕だって今まで自炊して来たしそれなりの腕だってあるのにさ。
まぁそんな訳で今日はお留守番
する事もなくなっちゃったし軽くランニングでも行ってこようかなって思ったとき、ちょうどヒロトくんからDVD鑑賞を誘われたんだ。初めはラッキーって思ってたけど、
まさかそのDVDがアイドルライブのものだとは思ってなかったよ。
「ゼーーーーット!」
プレイヤーの前でアイドルに合わせて踊るヒロトくん。最近のはオリジナルの合いの手ダンスとかもあるんだね。
「ほら、吹雪くん!次来るよ!」
「っえ、あ、うん!」
流されるままぎこちなくノッちゃってるけど………これ結構体力いるんだね。前半戦をフルで走り切ったくらいの運動量だよ。
「はぁー…ごめんヒロトくん、もう疲れちゃったよ。」
「え!?まだまだこれからだよ!」
OFFの日にまでこんなに体力使うなんて…。ヒロトくんはまだまだ元気だし無駄に動き早いし、好きこそものの上手なれってこの事だね。
「僕、シャワー行ってくる。」
夕飯の前に汗を流しておこうと部屋を出ると、
「吹雪?…ただいま。」
ばったり豪炎寺くんと遭遇。うぅ、なんだか懐かしい…。今すぐにでも抱きついたい。けどこんな汗かいたままは嫌。
「おかえり。僕、これからシャワーに行ってくるよ。…帰りに部屋寄るね。」
今まで遠すぎる次元にいたせいか、久しぶりに豪炎寺くんを見てなんかすごく安心した。恋人充電ってこのことなのかな、……なんか感動。
「…なんでそんな疲れてるんだ?」
「え?ああ。ちょっと運動してて。」
嘘はついてない。
あれは新手のスポーツだよ。日本の文化として見られてるのにも納得。
「……まさか、変なことされてないだろうな…!」
あれ。なんか豪炎寺くん焦ってる?
「変なことって?」
「……いや、何でもない。」
と言いつつも横目でジッと見てるし。よく分からないや。
「あ、そうだ。」
「?……どうした?」
ヒロトくんから"好きな人に言ったら絶対落とせる言葉"を教わった。「吹雪くんが言わないと効果がないんだ!」とか言ってたけど何に効くのかも謎。
豪炎寺くんとはもう恋人だけど、これ言ったら何かあるのかな…?
ちょっと恥ずかしいけど、試してみようかな、、
「こっち向いて…//」
「?」
右手でピストルの形を作って豪炎寺くんの胸に向ける。…ここまでは出来るんだけど。
次なんだったっけ…。
確か上目遣いで………
「あなたの…そのハート、狙い打ち…//」
・・・・ブシャアァアア
「わぁあ!豪炎寺くん大丈夫!?」
鼻血噴く人初めてだよ。どおしようどおしようどおしよう
「だだだ、大丈夫だ。」
「でも……」
手で鼻を覆ってそっぽを向かれる。掌から血が溢れ落ち出る
「は、早くシャワー行ってこい。」
手でヒラヒラと急かすように振られればもう行くしかない。
「わかった。…後で行くからじっとしててね。」
「あぁ。」
本当に大丈夫かな…?
持ってたティッシュを全部渡して来たけど心配。
後で部屋に行ったとき、まだ血が止まってなかった時のためにティッシュと、あと水と貧血の薬も一応持っていかないと。
っていうかあの言葉は何だったんだろう。恋人同士で言うと何か悪いことが起こるのかな……。もう封印しよう。
ガラッ
シャワー室の扉を開いた。
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