▼ 会いたい。
※豪→→(←)吹
吹雪に会いたい。
韓国との試合で、吹雪は足を怪我し離脱を余儀なくされた。周りのやつには笑って「早く戻ってくるよ」とか言ってたが、そんな簡単な事じゃないくらい本人だって分かっていた。
「やだよぉ!僕、またひとりになっちゃう…、、」
最後に二人で過ごした時、アイツは本当の気持ちを俺にぶつけてくれた。建て前強がっていても、泣き虫で寂しがり屋なんだ。
そのせいか、こぼれた言葉はひどく切なかった。
「ひとりじゃない。」
吹雪の目をとらえる。
"お前には俺がいるだろう。"
喉まで出かかった言葉を呑み込む。まさかそんな事は言えなかった。
吹雪は染岡が好きなんだ。
前に二人でラーメン食べに行ったときだって、バーベキューの時だって、染岡くん染岡くんって……。
「うん。そうだね………ありがとう。」
涙が溜まって濡れた瞳を伏せる。その表情にすごくそそられる。
「僕、頑張るよっ」
作り物じゃない。本物の笑顔だった。
この声も、表情も、心も全て俺のものに出来たら良いのに。
「あっちで待ってるから。」
これが俺の精一杯の強がりだ。炎と雪。性格も真逆に見えて実はお互い似た者同士なのかもな。
胸が締め付けられて痛い。
好きなヤツを見るとドキドキしたり、とか不思議な感情が沸き上がるもんだが今の俺には少し辛い。
実際離れてみて、どれだけアイツの存在が大きかったのかを思い知らされた。
吹雪に会いたい。たとえ俺の事を見ていなくても、確かなものを探していた。
……早く戻ってこい。
想われているかどうかでは負けても、吹雪を想っているのは誰よりも俺が一番だと自信がある。
もう一度同じフィールドで、同じ気持ちでボールを蹴りたい。
吹雪。
気がついた時はどうしようもなく好きだった。
空港のロビーからキャプテン達を乗せた飛行機を見送る。
…………豪炎寺くん。
「すぐ行くよ。君の隣に…。」
君は僕の気持ちに気づいているのかな。
復帰したら、まず一番に会いに行きたい。そして伝えたいな…
それまで負けちゃダメだからね。
待ってるって、言ってくれたんだから……
早く、君に会いたいよ。
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