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 修也くんと士郎くん5


「………豪炎寺くん!?」

驚いてぴょんっと飛び上がった。だってだって、まさか学校以外で会うなんて思いもしなかったから。

「吹雪?」

豪炎寺くんも僕に驚いたようで、目を真ん丸にしてる。

「あ、………えーっと…豪炎寺くんも買い物?」

とりあえず会話を見繕う。噂をすればなんとやらだけど、こんなところで会うとは思ってなかったなぁ。

「あぁ夕飯の買い出しだ。」
「へぇ、豪炎寺くんも料理するん……なにそれ!?」

興味本意で豪炎寺くんの持っているカゴを見てみたらなんとカップ麺の山!

「も、もしかして夕飯ってそれ!?」
「あぁ。」

なにか問題か?とさも当然のような表情で返事をされ、僕の何かに火が着いた。

「豪炎寺くん!」
「な、なんだ?」
「豪炎寺くん妹いるんだよね?」
「あぁ。」
「妹さんにもこれ食べさせてるの?」
「あぁ。味噌ラーメンが好きで…」
「ダメだよ!!こんなのばっかり食べてたら身体壊れちゃうよ!」

僕の大声にビクッと身体を飛び上がらせる豪炎寺くんからカゴを奪って中身を全部棚に戻した。

「お、おい」
「いいから!」

抗議の声を沈めて腕を引っ張って野菜売り場まで行くと目についた野菜をいくつか選んでカゴに入れた。

「……ふ、吹雪…。」
「なに?」

さっきの怒鳴りがよっぽど効いたのか僕に恐る恐る話しかけてくる様子に内心笑っちゃった。本当はそんなに大声出すつもりじゃなかったんだけど、ついね。

「………そんなに買っても、余るかもしれない…。」
「大丈夫だよ。確かに新鮮なうちに料理した方が美味しいけど、時間を置いた方が味が出る物だってあるし。」
「そ、そうじゃないんだ。」

野菜から顔を見上げると、何かを躊躇っている豪炎寺くん。さっきから反応を見ていると、保存が利かない物がダメなような気がしてたんだけどそうじゃないみたい。

「どうしたの?苦手なものとかあった?」
「………いや、……はぁ。実は、…」
「ん?」

言いたくない事なのかな。それなら言わなくて良いのに。…まぁお節介焼いてる僕も悪いけど、流石にまだ年長の子の夕飯にカップ麺っていうのは…しかも僕の予想では毎日。

「……笑うなよ?」
「え?うん。」

とうとう言う気になったみたい。ためが長かった分どんな事を言い出すのかとちょっと緊張したのに…。

「俺、料理できないんだ。」
「………………そーなんだ。」
「は?"そうなんだ。"は無いだろ!俺にとって人生最大の悩みだぞ!」

僕はてっきりアレルギーとかで食べ物が制限されてるとか、そういう感じだと思ってたから。なんだ。よかったよかった。けどその反応が気にくわなかったのか「せっかく言ってやったのに」だの「誰にも話したことないのに」だのぶつぶつ文句を言い出す豪炎寺くん。なんか学校で会った時より幼く見える。

「あはは、ごめんごめん。」
「まったくだ。ほら、カゴ返せ。」
「あ、だめだよ。渡したらまた君カップ麺入れちゃうだろ。」
「う゛っ」
「そうだ!今日豪炎寺くん家寄せてよ。僕がご飯作ってあげる。」

買う物はある程度カゴに入れたけど、このまま別れたらまたカップ麺生活を続けそうな気がしたから、ちょっと無理矢理過ぎかなと思いつつも豪炎寺くんの家にお邪魔することにした。まぁ料理も覚えられるし、豪炎寺くんにとっても特だよね。


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