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 修也くんと士郎くん3


入学式が明けた次の日クラスの窓から校門を見ていたけれど、登校時間に豪炎寺くんの姿はなかった。

ここに来る前にクラス表を見てみたら
豪炎寺くんは四組の六番
僕は五組の二十二番だった。


チャイムが鳴って担任が来た。まだ若さが残る30代前半の人。起立、礼、着席をしてHRが始まった。

今日はHRと体育館での新入生歓迎会だけで、あとは自由に部活見学って予定だ。
将来国公立の大学を目指す僕は部活には入らない気だけど、豪炎寺くんはどうなんだろ…?


朝のうちにもうクラスの何人かとはコミュニケーションを取って仲良くなった。けど、豪炎寺くんの事が離れない。昨日みたいに友達宣言される事なんてなかったからかなり印象が残っている。

友達1号、か……。

窓の外をぼんやり眺めていると、校門から誰か入ってきた。

…豪炎寺くんだ。

初日から遅刻なんて根っからの不良っぷりだなぁ。
でも校風を見るあたりそんなに珍しい事じゃないみたいだ。事実このクラスにも今日二人欠席がいる。
校舎裏には不良がたまっているし。上下関係はそんなに悪くないみたいだけど、また絡まれると嫌だしおとなしく生きよう…。


キーン、コーン

チャイムが鳴って、皆が席を立ち始める。

「吹雪っ」

「ん?………あ。」

不意に誰かに呼ばれて振り向くと、豪炎寺くんがいた。
成り行きで二人で体育館に向かう。
成り行きって言ってもさ……もしかしなくても、豪炎寺くんは僕を迎えに来てくれたに違いない。

「どうしたの?…今日、遅刻してただろ。」

「あぁ。…妹を保育園に送ってたんだ。」

さりげなく聞いた事だったけど返された意外な言葉に驚く。不良の醍醐味は"めんどくさい"だと思ってたから。

「へぇ。…妹さんいくつ?」

「五歳だ。」

「結構離れてるんだね。」

「そうだな。」

あんまり深く聞かない方が良いような気がして、さりげなく話題の方向変える。

「豪炎寺くん不良っぽいからてっきりサボりだと思ったよ。」

「あぁ、確かにサボろうとした。」

「えぇ!?」

「…でもやめた。」


体育館の入り口についた。中は全学年の生徒がいるせいでごちゃごちゃしている。

「なんで…?」

聞くと豪炎寺くんは僕の顔を見て、さっきより優しい声で言った。

「友達がいるからだ。」





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