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 修也くんと士郎くん1


「おい、何か言えよ!」

ガンッと頭の横の壁に拳が叩きつけられて、反射的に「っひ」と身体が跳ねる。


今日は入学式だったんだ。
北海道にいた僕だけど、将来の事を考えて高校から上京することにしたんだ。

木戸川高校は大学への進学率が高くて有名だけど偏差値がそこまで高くないせいか不良が多いことでも有名だ。
進学を考える人なら大抵都内トップの雷門高校に行くんだけど、僕の能力で奨学金がもらえる一番良いところがここだった。つまりここは訳ありの人が多いってこと。


噂で聞いてたけどまさか入学式当日に絡まれるとは…。
見るからに悪そうな二人組の先輩たち。

「あ、あの…僕」

どうしよう。僕こんな人たちに会うの初めてだ。

「ああ?ほら、財布」
「…え、」
「財布出せっていってんだよ!」
「っあ!」

乱暴にカバンを取られて体制を崩し地面に倒れる。
財布には今月分の食費が入ってるのに…!?

「や、やめてくださいっ」
「離せ、よ!」
「うぁっ…!」

カバンを取り替えそうと引っ張るともう一人の方に蹴られて、壁に身体を打ち付けた。

「お前さぁ、静かにしとけば何もしねぇんだよ。」
「あぁ。そいつ黙らせとけ。」

さっき蹴った男が僕の胸ぐらを掴み拳を振りかぶる。

もうダメだ……!

ギュッと目をつむって身構えるけど、予想していた衝動はこない。かわりに近くでドサッと音がした。

うっすら目を開けると、目の前には男が倒れていた。そしてその後にはワックスで髪を上に固め、制服の前を開けた。いかにも不良って感じの人が立っている。
その人は男が倒れたのを見てから、カバンを持っている男に向かった。

「ほら、黙らせましたよ。次はどうします?」
「お前…誰だ!」
「入学早々嫌な物を見たので、片付けに来ました。」
「一年か…。!?その髪、もしかしてお前」

言い終わる前にドスッと男の急所に拳が入る。
「っう」と男が倒れた。

一連の出来事を、僕はただ立って見ている事しか出来なかった。しかも、この人カッコいい…だなんて悠長な事思ってたんだ。






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いろんなのに手をつけすぎてるのでコッソリ連載

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