3話
あの日から、それとなくアイツを探してみるがなかなか見つからなかった。
まあ、なにしろ一般クラスは12組まであるからきっと見落としているだけだろう。
6月に入り、体育祭の時期が近づいていた。
放課後
今日から準備が始まるらしい
教室の窓からは、グラウンドの隅で幹部の生徒たちがパフォーマンスやパネルの構図などを思案しているのが見えた。
高校の思い出作りに、欠かせない行事だしな。
いや、修学旅行もか…
まぁ旅行先でも円堂たちとサッカーするんだろう。
部室に向かおうと廊下に出たとき、一階の中庭に"ある人物"を見つけた。
あいつだ!
白の軍なのか腕に白い腕章をまいていて、他のメンバーとせっせとパネルの色を塗ってる。
あのフワッとした髪の感じ、顔をはっきり見た訳じゃないがきっと間違いない
だが、なんだか様子がおかしい
顔色が良くないしどこかふらついている
性じゃないが、大丈夫かと窓から声をかけようとした時、
フワッとした髪の少年が倒れた。
ハッとして階段を駆け降りる
中庭に出ると少年を取り囲んで数名の生徒が騒いでいた。
「あまり動かすな!」
輪に向かい、中心で倒れている少年の額に手をあて声をかける
「おい、聞こえるか?…歩けそうか?」
ぐったりとする少年。
聞こえてはいるみたいだが、意識は朦朧だ。
…しかたない。
少年を腕に抱いた。
ぶつかったときにも感じたが、軽い。
貧血だろうか…
そのまま保健室へ向かおうとしたとき、同じ係らしい女子に声をかけられた。
「あ、あの。あの。吹雪くんは大丈夫なんですか…!?」
…吹雪、というのか。
「熱はない。貧血だろう。保健室に連れていく。幹部に伝えておいてくれ。」
「は、はいっ。」
ずいぶん動揺したみたいだ。
まぁ隣でクラスメイトが倒れたんだ。無理もないか
中庭を後にし保健室へ向かった。
不謹慎だが、話す機会ができたな…。