11話


雨が激しくなってきて、帰り道にある橋の下で雨宿りすることにした。風も出てきて、濡れたからだには酷だ。

「は、…くしゅんっ…。」

寒気がする。
早く家に帰りたいな…。

腕で身体を抱きしめて暖めようとする。
家族を失った日からなるべく後ろ向きな考えはしないようにしていたけど、今日のは結構堪えたな。

豪炎寺くん…。

「……!」

いつのまにか彼の事を考えていた。二人の光景を思い出して、頭を振る。

……忘れるんだから。

思い出は綺麗なままでって言うように、僕のこの想いも綺麗なままで残しておこう。

河川敷にあるサッカーコートをボーッと眺めている。

…この場所も、僕の心も、時間が止まってしまったかのようだ。

雨は一向に止む気配がなく、僕の体温はどんどん奪われていく。立っているのが辛くてしゃがんだ。

かぶった雨水で髪から水滴がぽたぽたと落ちてくる。
雨雲で辺りがくらいせいか向こう岸の家にちらほら明かりが灯り始めたのが見えた。

「……うぅ…ヒック…」

座り込んで膝に目を擦りつける。
なんで僕泣いているんだろう…
分からないけど。こう言うとき、慰めてくれる人がいたらなぁ。

いま僕の背中を支えてくれてるものっていったらこの橋の脚くらいで、気持ちを察するかのように寄り添っているみたいだ。



……僕は、

これからどうすればいいんだろう。


そう思った時に、遠くで稲妻がピカッと光ったのが見えた。
次にゴロゴロと音がして意識が遠退く。

だんだん音が近くになってくる。

「ぅああああ!」

雨風が酷くて、雨宿りしているはずなのに身体が濡れてしまうほどだった。

その時も、僕はやっぱりひとりだった。





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