4話


ぼんやり目を開けると、
白い天井が見えた。


あれ…。

僕、どうしたんだっけ…。


「目が覚めたか?」

すぐ隣で声がした。
上半身を起こす。

なんだか見た覚えがあるような

うぅ、目眩がする…


あぁ!そうか。
僕、倒れちゃったんだ。
もしかして、僕をここまで運んでくれた人かな

「大丈夫か?まだ横になっていた方がいい。」

隣で話す彼。

もしそうならお礼を言いたいけど…


「………ぅ……あ…。」

やっぱりダメだ。声がでない
今日はあんまり調子がよくないみたいだ。

胸元で手を丸めて俯く。
そんな僕の様子に気がついたのか、彼がまた話しかけてきた。

「お前、声が出せないのか?」

ハッとして顔をあげる。
きっと不安な表情してるんだろうな。

はぁ
手話は通じそうにないし、何か言葉を伝えられそうな手段は…


っあ!

ポケットにいれていたスマホを出して文字を打ち込み、彼に向けた。

"君がここまで運んでくれたの?"

「…あぁ。」

一瞬戸惑ったみたいだけど、これなら何とか会話出来そう。

"ありがとう。"

「構わない。それよりもっと食べた方がいい。軽すぎだ。体力もつかないぞ。」
あれ、いきなり怒られちゃった。


「それと、…」


まだあるんだ…

「この前はちゃんと謝らずすまなかった。」

え?

"なんのこと?"

「覚えてないか…。まあ一瞬の事だったしな。」

"ごめんね。"

「いや、こっちが悪かったんだ。」

"そっか。"

………。



「なぁ。お前、何組だ?」

"十二組だよ。君は?"

「一組だ。」

"遠いね。"

「一番離れてるな。」


………。


「……っふふ//」

真剣に言葉を返す彼を見てたら思わず笑っちゃった。
なんだか不思議に話しやすい。

「な、何で笑うんだ。」

"こんなにクラスが離れた友達ができたの初めて"

「友達、か…。」

"違うの?"

「いや、それでいい。」

"よろしくね"

えっとー…


「豪炎寺修也だ。」

"豪炎寺くん?"

「あぁ。」

"僕は、吹雪士郎。よろしくね"

「あぁ、よろしく。吹雪。」

…っふふ//
…っはは

今度はお互い笑った。名前も知らないかった人とこんなに優しい雰囲気になれるなんて。

なんだろう、、小さい頃に戻ったような感じ。
気がつくと目眩も良くなっていた。

"豪炎寺くん"か…。


「吹雪。もう大丈夫そうなら、家まで送るぞ。」

"ありがとう。お願いします。"

本当は一人でも大丈夫って言おうと思ったけど、もっと話していたくなっちゃった。



―――…


その帰り道、僕たちの会話はたえなかった。
たった数時間前に出会ったばかりには見えないくらい

豪炎寺くんは約束通り僕を家まで送ってくれて、ついでにメアドまで交換しちゃったっ。


………明日、また会えるといいな//

布団のなかで、浮かれる気持ちを抑えまぶたを閉じた。




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