トキワシティにて

 博士からポケモンを貰ってようやくトキワシティについたって言うのに、ジムは休み、トキワの森へ向かう道は変な酔っぱらいが道を塞いでる。
 折角意気揚々とやってきたのに、いきなり出鼻を挫かれてちょっと面倒臭くなってきな。

「それでは、ポケモンをお預かりしますね」
「お願いします」

 初めて利用するポケモンセンターに、ジョーイさんに、ちょっとドキドキしながらもこの暇な時間をどうしようかと少し考える。
 そういえばこの町はフレンドリィショップがあるんだっけ。モンスターボールでも買ってフシギダネが元気になったら他のポケモンも狙ってみるのも良いかもしれない。仲間は多い方が楽しいもんな。

「ん? よぉ、レッド。お前もトキワに来てたのか」
「ファイア」

 ポケモンセンターを出た途端に声を掛けたのは僕より先に研究所を出た筈のファイアだった。
 ちなみに僕はいきなりグリーンが室内に関わらず勝負なんて仕掛けてきたからファイアより旅に出るのが少し遅れてしまったのだ。

「ファイアこそ、てっきりさっさとニビに向かったかと思ってたよ」
「まぁな、ちょっと欲しいポケモンがいてさ」

 ふふん、と笑ってモンスターボールをくるくると回している辺り、恐らく欲しかったポケモンは手に入ったんだろう。
 ファイアはそのモンスターボールをバッグに戻せば「じゃあな」と歩き始めた。
 って、そっちは酔っぱらいが道を塞いでる方……

「ファイア、そっちは――」
「ピカチュウ、10万ボルト」
「ピッカァ!」
「ぎゃあああ!」

 ポケモンの技は絶対に人に向かって使ってはいけません。
 小さい頃学校で教わったその先生の言葉が、頭の中で何度も反復された。

 黒こげになった酔っぱらいのおじいさんは、ピクピクと動いてるから多分死んではいないだろうし、身内らしき人が声かけてるし……

「……フレンドリィショップ、行こっかな」

 うん、見なかった事にしよう。



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