マサラ旅立ち

その日は僕たちの旅立ちの日だった。

僕とファイア、グリーンとツネカズがそれぞれ双子の所為で今年は一気に4匹も最初のポケモンを用意しないといけない。そう言ってオーキド博士は何日か前から忙しそうに走り回っていた。
僕たちにとっては最初のポケモンだ。用意された4匹のポケモンをたちを眺める目は、皆キラキラと輝いていたと思う。

「俺ヒトカゲが良いー!」
「ふざけんなヒトカゲは俺んだ!」

早くもグリーンとツネカズが喧嘩を始めた。見た目が似てるとポケモンの好みまで似てくるんだろうか、めんどくさい……。
僕はフシギダネにしようかな。博士からモンスターボールとフシギダネを受け取れば、これから一緒に旅するパートナーの頭を撫でてやった。

「ピカチュウ、10万ボルト」
「……」

部屋の隅を見れば、ファイアがいつの間にかピカチュウを受け取っていて、既に技のチェックを始めていた。

「ファイア、ピカチュウにしたんだ」

僕が声をかければ、ファイアはピカチュウの頭をぐりぐりと撫でつけながらまあなと笑った。
正直僕はファイアの選択が意外だった。だって、ピカチュウなんてトキワの森に行けばうようよしてるし。わざわざ最初のポケモンに選ぶ理由もない。オーキド博士だって最後の一匹を集める時間がなくて、なんて言ってた。(ピカチュウには悪いけど)

「なんでピカチュウにしたの?」
「え? だって、コイツのがメディア受けしそうだろ?」
「…………」

その時、僕にはまだファイアの言いたい事がよくわかりませんでした。



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