Re&365! 拍手返信と日々の呟き ::小話(ごはん) 「ヒーヒッヒ、旨そうに食べるじゃないか。見ていて清々しいよ」 「ふふ、よく言われます。それに本当に美味しいですから」 仕事でドラム病院に来たのは、11時を過ぎたくらい。話が終わったのが丁度昼食時とあってか、くれはさんは食堂での昼食を薦めてくれた。 ドラム病院の食堂定食といえば、丁寧な作りで栄養もバッチリ、しかも安価と有名で。ふたつ返事で食堂へと向かえば、やはり賑わいを見せていた。 くれはさんと同じく日替わりの定食を頼み、残り少ない空席につく。「いただきます」とお箸を動かせば、あまりの美味しさから手が止まらなかった。 「もう毎日でも食べたいくらいです!」 私の言葉にくれはさんは目皺を深く刻む。だが、何か思い出した様に「ああ、」と呟いた。 「そういえば、トラファルガーの事なんだが」 「え?…は、はい」 「あいつは普段何を食べてるんだい?食堂に一度来たきり、来ないらしくてね」 勿体ない、こんなに美味しいのに!と心の中でごちる。 「トラファルガーが診ている奴が料理人にいてね、気にしてるのさ。何かメニューが気に入らないのかってね」 「そんなこと…」 食堂メニューを思い出しながら考えてみる。和食メインでレパートリーは多く、味だって申し分ない。この日替わり定食だってローも好きそうなのに。 「……あ、」 見つけたかもしれない。定食盆の隅、小皿に置かれた……。 「梅干し」 「ああ、アタシが好きでね。メニューに入れるよう頼んであるのさ」 メニュー写真を見て、全てに梅干しがある事に気づいて。食べられなければ、避ければいい。そんな事も面倒なのか、他人に弱みを見せたくないからか。それは当人にしか分からないけれど。 「ふふ……これかもしれません」 笑い声を漏らしながら可能性を言ってみれば、くれはさんは驚きの色を示す。そうであろう。こんな可愛い理由な訳がないと思っているはずで。 それから数日後。 またお誘いを受けて、くれはさんと食堂へと向かえば。 遠目に見えたのは、見慣れた背中。何を食べているかまでは確認できないが、ローの為に用意された、小皿がひとつ減らされた特別定食なのだろう。 「ここの梅干しは特注品なんだがねェ。贅沢なヤツだよ、まったく」 くれはさんが隣で呆れ笑い、私もまたつられてしまうのだった。 . back |