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拍手返信と日々の呟き


::小話(マフラー)


「うわ、マジか!」


晴天の空の下、雪は膝丈まで積もっている。これは絶好の機会だと、グラウンド一面を使ってルフィやらと雪合戦したのは昼休みのこと。

だが。

放課後になり、結露した窓越しに見えた光景は吹雪とまではいかないがそれなりに雪がちらついている。帰り道は寒そうだ。教室に残っていた何人かもオレ同様に窓辺にはりつき、声を上げていた。

ざわつく教室内だが、オレの目の前に座るこいつは静かにペンを動かしていく。綴られていく字は女らしい柔らかいもの。この日誌を書き終わらねェと、日直であるオレ達は帰れないワケで。
そして今日一日の出来事を記し終え、ようやく閉じられた日誌をオレは手にする。


「早く帰ろうぜ。キャプテンは図書館だっけ?」

「あ、そう言ってたね」

「じゃオレは職員室に日誌を預けてくるから、お前はキャプテン呼びに行ってこいよ」


分かった、と教室を出る背を見送る。待ち合わせは正門前、オレも足早に教室を出た。







職員室で時間をくってしまったオレが外に出ると、正門にはすでに幼なじみの2人の姿があった。
複数の足跡で溶けた道を走り抜けながら、変わらず降り続いている雪に勘弁してくれとつい愚痴る。この調子じゃ明日も積もりそうだ。そんな事を考えながら正門へと着けば、何やら騒がしい。


「誰にだ」

「誰にって、ルフィ君だけど」

「……麦わら屋?」

「ほら、昼休みにシャチとかと雪合戦して濡れたみたいで……寒そうだったから貸したの」


ね?と、急に振られた話題にオレは固まる。いや、何ていうか……キャプテンの視線が怖ェの何のって。
話が掴めないオレをそっちのけで、キャプテン達は再び顔を合わせた。沈黙は数秒。先に動いたのはキャプテンで、深いため息を落とした後に首に巻いていたマフラーを取った。


「巻いとけ」


ふわりと首に巻き付けられたキャプテンのマフラー。突然の行為に驚くこいつの様子を見て、ようやく話が掴めた。
そういや昼休みを終えて「寒い!」と叫んでたルフィに、こいつがマフラーを貸してやっていた。放課後もルフィの首に巻き付いていたから、そのまま持ち帰りされたのか。


「大丈夫だって、ローが寒いでしょ!」

「いいから巻いとけ。冷える」

「だからそれはローだって……って、ちょっと、待っ…!!」


きっと他の女子なら喜ぶシチュエーションなんだろう。巻き付けられたマフラーの端をキャプテンに引かれ、首輪をつけられた犬の様に連れていかれる。決して甘い雰囲気ではない。


ちらつく雪、寒い外気。そんな中でも賑やかに肩を並べて歩く2人の後姿。

(まァ、何て言うか……)

思わず人恋しくなってしまったのは、この幼なじみ達のせいだ。


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2015.01.23 (Fri) 00:13
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