Re&365! 拍手返信と日々の呟き ::小話(共有2/2) ひと駅、ひと駅とまた過ぎて行く。次は最寄り駅であり、おそらくローもそこで降りるだろう。さて、どう声をかけようかと頭を捻っていると… ((……)) 食い入る様に眺めていた人物と目が合ってしまった。 お互いに驚きの表情を浮かべたのと、車内放送で最寄り駅が呼ばれたのはほぼ同時。ローはすくりと席を立ち、連結部分をくぐり抜けて私の元へと歩み寄る。 「帰りか?」 「えっ!う、うん。そうなの……ローも?」 我ながら不自然な答え方ではあったが、ローは気にしていないのか短い返事だけ。内心ホッと息をつきながら、開かれたドアから駅のホームへと降り立つ。 気遣う様に触れる、私の腰を支えるローの手。ごく自然にされた行為に緊張してしまう。私の頭は高速回転中だ。 「えっ、と……今日は車じゃないんだ?」 「あァ」 「ローが電車なんて珍しいよね…な、何かあったの?」 「……、」 答える数秒の間。 それさえ気にしてしまう何て、私はどうかしてる。重症だ。様々な可能性をたぐり寄せながら追求してよかったものかとローを見ると、その口が開かれた。 「お前が、言ってただろ」 「…え、私が?何を…」 「"電車から見える景色が好きだ"ってな」 それは数日前の話。いつも車通勤のローに対し、電車通勤の私が言った言葉で。 「それで…電車にしたの?」 「悪いか?」 「ぜっ、全然!ほら、だって…今日の夕日も綺麗だったでしょ」 息がつまりそうだ。多忙なローが、何気ない会話の言葉に……あんなに真剣に眺める程、私の言葉を聞いてくれていた事が嬉しくて。 風が流れる。 電車が動き出し、車体で隠されていた夕日が顔を出す。街を染める夕日は、ちゃんと私まで染めてくれているだろうか。 「ロー、ご飯まだだよね?良かったら…」 「どこかで飯にするか?」 「うん!」 少しでもそばにいたい。私の欲は増える一方。だが、とめられそうにもない。 本当に、自分でも呆れるくらい……好きになってしまったのだから。 . back |