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::小話(暑い朝の話)


「ロー、朝食は食べられそう?」


シャワーを浴びて出れば、キッチンからの声。
太陽がまだ低い位置の朝でさえ、むせる暑さ。食欲もわかないかと思いきや、テーブルに並べられた軽食や果物を目にすれば自然と腹が鳴る。短く返事し、濡れた髪を拭きながら慣れた手つきでキッチンに立つ後ろ姿を窺った。

今日はナミ屋と出掛ける為か、こいつの機嫌はやたら良い。それは無意識な鼻歌や、普段とは違う装いに表されていた。
気になったのはそれだ。
暑さが理由だろう、やたらと白い肌が目立つ。普段はあまりさらされない背中、足。髪がまとめられているからか、艶やかなうなじも目に毒だ。


「お腹すいてた?もう少しだからね?」


熟視していたからか、急かしていると思ったらしい。子供をあやす様な口調で返され、おれの感情が波立つのも仕方ない事。


「…うまそうだな」


湿ったタオルを適当に投げて背後に立ち、薄い服の上から腹をなぞればびくりと跳ねた肩。むき出しのうなじに口付け、舌を沿わせれば小さく漏れる声。


「…!、ま、待っ…」

「今日は日差しが強い。お前は赤くなりやすいだろ。あまり露出するなよ」

「えっ、…あ、そ、そうだよね!」


そう忠告して手を離せば、解されて落ちた肩。耳元は赤く染まっている。
そして部屋に駆け込む姿に、静かに笑んだ。


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2014.07.19 (Sat) 01:24
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