Re&365!
拍手返信と日々の呟き


::小話(暑い夜の話)


またか…とリビングで立ち竦む。


刺すような陽が沈んでも暑さが残る夜。立つだけでじわりと汗が滲む。暑い、それは確かだ。
だが窓を開け放ち、風通しの良いリビングの床上で寝入る姿を見れば、いとおしさと同じく危機感も抱く。


日をまたいでからの帰宅。
リビングへと入れば窓際で気持ち良さそうに寝入る姿が目に入った。まるで「おかえり」と微笑む様に口元は緩んでいる。
こいつにとっては休日でもある今日、おそらくおれを待つつもりでこの部屋にいたのだろう。暑さから逃れる為に窓際で寝そべり、そして睡魔に負けた。そんなところか。

なでらかな肩が、白い足が、薄い服から剥き出しになった姿。無防備すぎだ。吸い寄せられる様に手を伸ばし、予想通り夜風にさらされて冷たくなった肌にため息を溢す。


「…おい、」


小言のひとつでも言ってやりたい。だが、幸せそうな寝顔におれが折れるのもいつもの事。

意識の落ちた体を抱え、寝室へと運ぶ。真っ白なシーツに落とせば、硬い床上とは違う柔らかな感触にか、また表情が緩んで。
しばらく眺めるのも悪くないと体を横にすれば、自分でも気付かぬ内に意識が遠ざかっていた。







明るい日差しに照されて意識が浮上し、ゆっくりと身じろぐ。すると、まだ寝惚けたままの瞳とかち合った。


「…ロー…あれ?」

「どうした」

「もー…ちゃんと着替えて寝ないと、汗かいたままの服で寝たら風邪ひいちゃうよ?疲れてたんだ?…お疲れさま」


寝起き特有の和やかな口調で。へへら、と笑うこいつにそのまま笑い返すしかない。


「そうだな……ならおれの為にもベッドで寝てくれ」



.

2014.07.18 (Fri) 23:56
小話|comment(0)


back