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::小話(笑顔1/2)

「あら、久しぶりね!」


週末の学校帰り、少し混雑した駅前を歩いていると声をかけられた。
輝く様な笑顔で駆け寄って来たのは従姉妹のお姉さんで、その姿に私は感嘆の息を漏らす。

お姉さんはさらりとした生地のドレスを纏い、足元はきらきらと光る装飾のハイヒール。パーティーに向かう途中だったらしい。
久しぶり、から始まった談笑は5分程で終わり、時間に追われていたお姉さんは慌ただしく…でも満面の笑みを残して去って行った。

一回り違う従姉妹は憧れの人。
私は昔から今もずっと、お姉さんの様な大人になりたいと思っている。


「きれいだったなぁ…」


私の生活では、制服と至極普通な私服の繰り返し。パーティーに招待される事はないし、あんなドレスも持ってはいない。むしろ、高校生の私ではあの様なドレスが似合うとも思えない。

自分で考えていても寂しいけど…と、少し気落ちしたまま帰路についていると、ある店の一画が目に飛び込んできた。

店頭に並べられたのは色とりどりのパンプスで、お姉さんがはいていた様なヒールが高めのもの。ワンポイントに付けられた飾りはきらきらと輝き、高価そうな見た目とは裏腹にお小遣いで手が届きそうな価格。


「……」


お姉さんの、あの綺麗な格好に一瞬でも自分を重ねたのは確かで。

せめて足元でも真似てみたい、という思いを抱いてしまえば、もう吸い寄せられるしかなかった。



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2014.06.10 (Tue) 23:19
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