Re&365! 拍手返信と日々の呟き ::小話(アルバム1/2) 厚みのある封書に綴られた名。 部屋に来るなり私のベッドで横になったローは、それを数秒眺めて「覚えがねェな…」と眉を寄せた。 「本当?ローだって何度も会ってるんだけど…。写真見ればきっと分かるよ」 私は棚から久しく開いていないアルバムを取り出し、頭に描いた人物を探す。その動作を何度か繰り返し、優しく笑う女性の写真を見つけ私はローへと見せる。 「ほら、この人!」 そう言って手渡せば、ローは無言のまましばらく手元を眺めていた。 「まだ思い出せない?」 「いや、思い出した」 そう言って返されたアルバム。一度開いてしまえば懐かしい気分になってしまい、私も写真を眺める。見開いた左側には従姉妹と撮った写真。 「あ、懐かしい。これ七五三の時の写真だ」 そして右側には、言葉通り振袖を着た私と正装したローの写真がある。 幼い私達は綺麗に色付いた紅葉に囲まれ、神社の本殿を背に石段に並び手を繋いでいた。 「…そうだな」 「この着物も確か従姉妹から貰ったんだよね」 よく遊んでくれたり色々としてくれた面倒見の良いお姉さん。私が中学に上がってからは顔を合わす事もなくなったけれど、たまに連絡は取り合う仲ではある。そんな、ひとまわり上の従姉妹がこの秋に結婚する。 「式はこの神社でするんだって」 季節柄、おそらくこの写真のように境内の紅葉は赤く色付いている。そんな中で結婚式だなんて、想像するだけで自然と胸が高鳴っていく。 だが、私達家族の一員として招待されたローは短く言葉を返すだけ。あまり興味がそそられないのか。片肘をついたまま、閉じたアルバムをずっと見ていたのだった。 . back |