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拍手返信と日々の呟き


::小話(アルバム1/2)

厚みのある封書に綴られた名。
部屋に来るなり私のベッドで横になったローは、それを数秒眺めて「覚えがねェな…」と眉を寄せた。


「本当?ローだって何度も会ってるんだけど…。写真見ればきっと分かるよ」


私は棚から久しく開いていないアルバムを取り出し、頭に描いた人物を探す。その動作を何度か繰り返し、優しく笑う女性の写真を見つけ私はローへと見せる。


「ほら、この人!」


そう言って手渡せば、ローは無言のまましばらく手元を眺めていた。


「まだ思い出せない?」

「いや、思い出した」


そう言って返されたアルバム。一度開いてしまえば懐かしい気分になってしまい、私も写真を眺める。見開いた左側には従姉妹と撮った写真。


「あ、懐かしい。これ七五三の時の写真だ」


そして右側には、言葉通り振袖を着た私と正装したローの写真がある。
幼い私達は綺麗に色付いた紅葉に囲まれ、神社の本殿を背に石段に並び手を繋いでいた。


「…そうだな」

「この着物も確か従姉妹から貰ったんだよね」


よく遊んでくれたり色々としてくれた面倒見の良いお姉さん。私が中学に上がってからは顔を合わす事もなくなったけれど、たまに連絡は取り合う仲ではある。そんな、ひとまわり上の従姉妹がこの秋に結婚する。


「式はこの神社でするんだって」


季節柄、おそらくこの写真のように境内の紅葉は赤く色付いている。そんな中で結婚式だなんて、想像するだけで自然と胸が高鳴っていく。

だが、私達家族の一員として招待されたローは短く言葉を返すだけ。あまり興味がそそられないのか。片肘をついたまま、閉じたアルバムをずっと見ていたのだった。


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2013.11.06 (Wed) 00:46
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