Re&365! 拍手返信と日々の呟き ::小話(寒い夜の話) 日が差していても風が冷たいと感じた日の夜、揃って寝室へ入れば朝とは違う室内に気付いた。 「今日寒かったじゃない?だから毛布が恋しくなって…」 柔らかい毛布を被って笑う姿に、幼い頃を思い出し目を細めて笑う。こいつは昔から寒くなると毛布にくるまって寝る癖があり、まるで寝袋のような姿で寝ていたものだ。 月日が経って変わるものもあれば、やはり変わらないものもあるようだった。 就寝時のこいつは例えるなら猫だろう。寒ければ暖かさを求め、毛布にくるまり丸くなる。暑ければ涼しさを求め移動し、ベッドから抜け出してフローリングの床で寝ていた時もあった。何度、抱き上げて戻した事か。 動物的な本能なのか。 普段はきっちりとした性格なだけに、こいつの就寝時の行動は笑えるものだし呆れもする。 今は窓を閉めていても少し肌寒さを感じる室温。幸せそうに毛布にくるまっていた体を引き寄せ、額に口付ける。 「残念だが、今日はそいつの出番はねェな」 「え?」 はがした毛布をベッドサイドに落とし、体を寄せたまま横になる。掛け布団をかければ十分に暖かい。 「…必要ねェだろう?」 「うん、暖かい」 はにかみながら頭をすり寄せてくる。その行動に笑ってしまう。それこそ夏は、どんなに腕の中に招いても逃げられていたというのに。 「いい季節になったもんだ」 「やっぱりローは寒いの好きなんだ?」 「…まァな」 他愛のない話をしながら夜を過ごす。そんな、寒くなり始めた日の出来事。 back |