もぅちょっと/シリウス
スリザリン、そういうだけで皆白い目で見て来る。別に気にしてるわけじゃないけど、なんか嫌だ。とくにグリフィンドールの奴らは異常だ。代々両寮が不仲だったからって私にもそれを押し付けないで欲しい。


廊下を歩いているとスネイプが、いつもの4人組に虐められてるのを見つけた。悪戯仕掛け人だかなんだか知らなけど彼らのこれは悪戯だとは言わないと思う。どう考えても虐めだ。やったことは必ず自分に返ってくるって小さい頃誰かが言ってたけど、そんなもん今返ってきてくれなきゃ意味ないと思う。そもそも本当に返ってくるのかも怪しい。

「ばっかみたい。」


「おい!お前っ!!」

ぼーっとその現場を見てたら、シリウス・ブラックに声をかけられた。いや、怒鳴られたに近いのかもしれない。

「なに?」

「お前、今俺に向かって馬鹿って言ったろ!」

いやいや、あなたに向かってじゃなくて、貴方達皆に言ったのよ。なんて言えるわけもなく、気のせいです。と言って立ち去る。こんなのに捕まったら残り数年の学生生活が最悪なものになってしまう。まぁ、スリザリンって時点で最悪なのかもしれない。寮での団結力はすごいと思うけど、結局家柄が全てで、それに教授達も、なにかとスリザリンを毛嫌いしている気がする。あのお茶目で可愛いって言われてる校長だってそうだ。あぁ、なんで私はスリザリンなんだろうか。今更、寮を変えることはできないしなぁ。

「おいっ!!!」

腕を誰かに腕を掴まれた。いや、この怒鳴り声の時点であいつしかいないか。

「なに?シリウス・ブラック」

いくら私がスリザリンでも、女に手を出すのは流石に男としてどうなんだろうか。そもそもブラック家の癖になんで、グリフィンドールなのよ。貴方の弟の方のブラックはスリザリンなのに。

「お前、俺の事嫌いか?」

「はっ?意味わかんないんだけど?」

こいつはなにを言ってるのだろう。そもそもどこに好かれる要素があるというのだろうか。同じ学年だからといって、授業であぁ、居るなぁってたまに思うぐらいの認識で接点なんて全くなかった。

「私、あんたの事ただの苛めっ子ってぐらいしか知らない。だから、聞かれても困るわ。」

すると、シリウス・ブラックは唯一の取り柄である美しい顔を歪ませた。本当のことだ。スネイプをよく虐めているのを見かける。この前彼が、ボロボロになったローブを揺らしながら暗い顔をして、私になにも見なかったことにしろって言ってたのを思い出す。スネイプを助けてもなに一つ良いことなんてないから、私はいつも、つった立って見てるだけだったけど。・・・あぁ、だから私はスリザリンなのか。

「・・・俺は、お前の事知ってるぜ。俺たちがスニベルスに悪戯をしてる時、よくうっとりした顔をして見てるだろ。」

「は?そんな顔してるわけないでしょ!あんた達がスネイプの事虐めてるからただ、見てただけよっ!」

「見てるだけでなにもしないんだな、お前。スニベルスと友達なんだろ?」

「じゃあ、貴方が辞めてあげれば良いでしょ!毎回毎回スネイプを虐めてなにが楽しいの!?」

「・・・お前が・・見てるから・・・お前がその時だけ俺達を、俺を見てくれるから・・っ!!」

一瞬なにが起こったのかわからなくて2人の間に沈黙が起こる。

「お、俺、・・・なまえの事好きなのかもしれない。」

「わ、私、貴方が好きだから見てたわけじゃないわっ!」

「知ってる!スニベルスを見てたんだろっ!!」

グッと私の腕を掴む手が痛い。シリウス・ブラックは、私がスネイプの事見てたなんて言うけど、スネイプの事なんて可哀想だなって、少し同情してるぐらいで他に感情なんてないし、別に彼を見ていた訳じゃない。そもそも私のせいで虐められてたなら、彼には土下座でもして謝っておくべきだろうか。

「私、別にスネイプを見てたわけじゃない。」

「・・ならどうして・・」

「綺麗だったから」

「・・は?」

「だから、スネイプを虐めて笑ってるあんたの顔が綺麗だったら・・・だから、見てたのっ!!」

私を掴む手の力が緩んだ気がする。美術品を見るのと同じで、別に深い意味はない・・・と思う。彼の顔は、誰がどう見ても彫刻品のように綺麗で、そして整っている。

「・・・私、もう行くから、手離して?」

「あ、あぁ。」

彼は動揺してるみたいだった。けどその顔は赤色に染まっており、あぁ、この顔も綺麗だな、なんて思ってしまう私は重症なのだろうか。




それが恋だと気づくまで
もぅちょっと・・・・
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