「ただいま。」
「おかえり、なまえさん。」
先週、ブラック先輩に選んでいただいたワインを抱え、若干ブルーな気持ちになりながらも実家へと姿現しをした。するとリビングの入り口から顔を出して出迎えてくれたのは意外な人だった。
「リドルさん、いらしゃってたんですか。」
「あぁ。君のお父さんに呼ばれてね。」
「・・機嫌、どうでしたか?」
「自分で確かめて来なよ。別館の奥の部屋にいるはずだ。」
「リドルさんなんか最近、私に対して意地悪ですよね。」
「ふふっ、君を見てると虐めたくなってしまうみたいだ。」
「もぅ、やめてくださいよ。今日は姉とは一緒じゃないんですか?」
「実を言うと嫌がって来なかったんだよ。なんでも陰気臭い家系の研究には首を突っ込みたくないらしくてね。」
「あぁ、なるほど。」
「それで君は、また僕とワインを飲みに来たの?」
「違いますー、これは父の機嫌取りの為のワインですよ。飲みたいなら父に渡した後、一緒に飲んであげてください。」
「そうさせてもらうよ。・・その指輪は外していた方が良いんじゃない?」
「あぁ、そうですね・・。」
視線の先にキラリと光る婚約指輪がある。確かに父にバレたら逆効果かもしれない。ワインを献上して機嫌が良くなった所でエドワードの事を説得しよう。指輪を外してローブのポケットの中に入れる。
「あの、知ってしまったんですか?」
「なんのことかな?」
「私家系の研究の事です。」
「あぁ、驚いたよ。・・・ホークラックスは君達の家系が生み出したものだったんだね。」
「・・分霊箱の事ですか、そうですね。でもあれには欠陥があると思ってます。」
「・・それは、なぜ?」
「あれは、分霊箱を作った魔法使いの肉体が消滅した場合、ゴーストとも生命体とも呼べないほどの、弱い霞のような存在となってしまうはずです。そこからまた肉体を得るに、何らかの蘇生魔法を使う必要があるなんて、効率的では無いと思うんです。それに、蘇生法も凄くめんどくさそうだし・・。」
「・・そうだね。確かにそうかもしれない。それじゃあ君ならどうする?」
「そうですね、私なら今の肉体を維持出来る方法を考えます。絶対に消滅しない、不老不死の様なもの・・。でも、まぁ私は永遠の命なんか得てもきっと寂しくなっちゃって自殺を測っちゃうと思うので、必要ないですね。」
「・・そう。」
「でも、永遠の命が得られる研究はいずれしてみたいです。人類の憧れだし、それに私の中に流れる血はきっとそれを望んでいる。」
「頼もしいね。」
目を細め探る様なリドルさんの視線にハッとする。
「いや、そんなことないですよ。じゃあ私は父に会いに行ってきますね。」
私の家の別館は割とすぐ近くにある。別館へと繋がる渡り廊下を渡ったら直ぐだ。ホークラックス。リドルさんが知っていることに驚いた。ごく限られた一部の人にしか知られていない事で、内容もとても危険だ。高度な技術が必要だし、それに生け贄も必要だ。たしか、魔法の中で最も邪悪な発明なんて呼ばれている。・・リドルさんも永遠の命なんてものが欲しいのだろうか。少なからず興味を示していた様だったし。この話題をリドルさんの前でするのはもぅ辞めよう。口を滑らせて賢者の石の事を話してしまうかもしれない。そんな事を考えていると以前使っていた私の研究室が見えてきた。
”オリオン・ブラック”
先輩の名前を唱えるとガチャっと扉が開く。この研究室は4年生の頃から使っていて、ずるずると引きずっていた初恋の人の名前が合言葉になっている。まぁ、4年間の片思いだ気持ち悪いかもしれないけど、少し大目にみて欲しい。部屋に入り奥の金庫を開ける。この中には今まで作ってきた薬品が沢山あり、先輩と作った真実薬もそこにある。懐かしいな。どれもこれも思い出の品ばかりだ。思い出したくないものも少なくは無いけど、これらを産み出した者として、誇りと、信念を忘れてはいけない気がする。ローブのポケットから賢者の石を取り出しすと一番奥にしまい、金庫にロックをかける。また来ることになるだろう。でも、その時はちゃんとエドワードに許可を得てからだ。その前にちゃっちゃと、父の機嫌を取ってしまおう。それに賢者の石について父に相談してみるのもありかもしれない。少し頑固だけど大切な父だ。20年間私たち姉妹を男で1つで育ててくれたんだ。尊敬の気持ちもあるが感謝の気持ちもある。部屋から出て奥の部屋に急いだけれど、父の姿はどこにもない。入れ違いになったのだろうか。来た道を戻りリビングへと戻るとリドルさんが一人読書をしていた。
「リドルさん・・。」
「あぁ、なまえ遅かったね。」
「はい、あの父が居なくて。」
「・・それはおかしいな。君がこの屋敷に来るほんの少し前に部屋に忘れ物をしたからって取りに行ったのだけど。」
「そうですか・・。何処に出掛けたんでしょうか・・。」
こんな時間にお客様を置いてどこに出掛けてしまったのだろうか。時間も時間だし、私も帰りたかったけどリドルさんを置いてアパートに帰るわけもいかない。父が戻って来るまで勝手にビールでも呑んで待っていよう。冷蔵庫に手を伸ばしてビールを2本取る。
「リドルさん、ビール呑みます?」
「あぁ、頂くとするよ。」
「おかえり、なまえさん。」
先週、ブラック先輩に選んでいただいたワインを抱え、若干ブルーな気持ちになりながらも実家へと姿現しをした。するとリビングの入り口から顔を出して出迎えてくれたのは意外な人だった。
「リドルさん、いらしゃってたんですか。」
「あぁ。君のお父さんに呼ばれてね。」
「・・機嫌、どうでしたか?」
「自分で確かめて来なよ。別館の奥の部屋にいるはずだ。」
「リドルさんなんか最近、私に対して意地悪ですよね。」
「ふふっ、君を見てると虐めたくなってしまうみたいだ。」
「もぅ、やめてくださいよ。今日は姉とは一緒じゃないんですか?」
「実を言うと嫌がって来なかったんだよ。なんでも陰気臭い家系の研究には首を突っ込みたくないらしくてね。」
「あぁ、なるほど。」
「それで君は、また僕とワインを飲みに来たの?」
「違いますー、これは父の機嫌取りの為のワインですよ。飲みたいなら父に渡した後、一緒に飲んであげてください。」
「そうさせてもらうよ。・・その指輪は外していた方が良いんじゃない?」
「あぁ、そうですね・・。」
視線の先にキラリと光る婚約指輪がある。確かに父にバレたら逆効果かもしれない。ワインを献上して機嫌が良くなった所でエドワードの事を説得しよう。指輪を外してローブのポケットの中に入れる。
「あの、知ってしまったんですか?」
「なんのことかな?」
「私家系の研究の事です。」
「あぁ、驚いたよ。・・・ホークラックスは君達の家系が生み出したものだったんだね。」
「・・分霊箱の事ですか、そうですね。でもあれには欠陥があると思ってます。」
「・・それは、なぜ?」
「あれは、分霊箱を作った魔法使いの肉体が消滅した場合、ゴーストとも生命体とも呼べないほどの、弱い霞のような存在となってしまうはずです。そこからまた肉体を得るに、何らかの蘇生魔法を使う必要があるなんて、効率的では無いと思うんです。それに、蘇生法も凄くめんどくさそうだし・・。」
「・・そうだね。確かにそうかもしれない。それじゃあ君ならどうする?」
「そうですね、私なら今の肉体を維持出来る方法を考えます。絶対に消滅しない、不老不死の様なもの・・。でも、まぁ私は永遠の命なんか得てもきっと寂しくなっちゃって自殺を測っちゃうと思うので、必要ないですね。」
「・・そう。」
「でも、永遠の命が得られる研究はいずれしてみたいです。人類の憧れだし、それに私の中に流れる血はきっとそれを望んでいる。」
「頼もしいね。」
目を細め探る様なリドルさんの視線にハッとする。
「いや、そんなことないですよ。じゃあ私は父に会いに行ってきますね。」
私の家の別館は割とすぐ近くにある。別館へと繋がる渡り廊下を渡ったら直ぐだ。ホークラックス。リドルさんが知っていることに驚いた。ごく限られた一部の人にしか知られていない事で、内容もとても危険だ。高度な技術が必要だし、それに生け贄も必要だ。たしか、魔法の中で最も邪悪な発明なんて呼ばれている。・・リドルさんも永遠の命なんてものが欲しいのだろうか。少なからず興味を示していた様だったし。この話題をリドルさんの前でするのはもぅ辞めよう。口を滑らせて賢者の石の事を話してしまうかもしれない。そんな事を考えていると以前使っていた私の研究室が見えてきた。
”オリオン・ブラック”
先輩の名前を唱えるとガチャっと扉が開く。この研究室は4年生の頃から使っていて、ずるずると引きずっていた初恋の人の名前が合言葉になっている。まぁ、4年間の片思いだ気持ち悪いかもしれないけど、少し大目にみて欲しい。部屋に入り奥の金庫を開ける。この中には今まで作ってきた薬品が沢山あり、先輩と作った真実薬もそこにある。懐かしいな。どれもこれも思い出の品ばかりだ。思い出したくないものも少なくは無いけど、これらを産み出した者として、誇りと、信念を忘れてはいけない気がする。ローブのポケットから賢者の石を取り出しすと一番奥にしまい、金庫にロックをかける。また来ることになるだろう。でも、その時はちゃんとエドワードに許可を得てからだ。その前にちゃっちゃと、父の機嫌を取ってしまおう。それに賢者の石について父に相談してみるのもありかもしれない。少し頑固だけど大切な父だ。20年間私たち姉妹を男で1つで育ててくれたんだ。尊敬の気持ちもあるが感謝の気持ちもある。部屋から出て奥の部屋に急いだけれど、父の姿はどこにもない。入れ違いになったのだろうか。来た道を戻りリビングへと戻るとリドルさんが一人読書をしていた。
「リドルさん・・。」
「あぁ、なまえ遅かったね。」
「はい、あの父が居なくて。」
「・・それはおかしいな。君がこの屋敷に来るほんの少し前に部屋に忘れ物をしたからって取りに行ったのだけど。」
「そうですか・・。何処に出掛けたんでしょうか・・。」
こんな時間にお客様を置いてどこに出掛けてしまったのだろうか。時間も時間だし、私も帰りたかったけどリドルさんを置いてアパートに帰るわけもいかない。父が戻って来るまで勝手にビールでも呑んで待っていよう。冷蔵庫に手を伸ばしてビールを2本取る。
「リドルさん、ビール呑みます?」
「あぁ、頂くとするよ。」