賢者の石。私は作りたかっただけで、決して手に入れようとは思っていなかった。石と共に帰ってきた私の論文は丁寧な字で少し訂正されている。きっとこの論文と少しの技術があれば誰でもこの石を作成することができてしまうだろう。・・この論文とこの石を何処に捨ててしまいたい。だけど、私にはまだ1つ確かめたいことがある。黄金を産み出す事が出来るのはニコラス・フラメルさんによって証明されたが、永遠の命の方はまだ証明されていない。私が論じた永遠の命、命の水についてのページはどこも訂正されていない。ダンブルドア先生に話によると、このページをちゃんとニコラス・フラメルさんは確認したはずだ。多分だけど、訂正しなかったのではなく、訂正を入れる必要が無かったのだと思う。きっと、理論上どこにも不適な部分は無かったのだ。
「なまえ、待たせたね。」
「1週間ぶりですかね、ブラック先輩。」
「そうだね。」
にっこりと、笑顔を向けてくれる先輩。この前の休日、エドワードから婚約を受けた日、一羽の気品のあるフクロウが手紙を届けに来た。手紙の差出人はブラック先輩で、内容は話したいことがある。とシンプルなものだった。多分、初恋とかどうとか、そんな甘い話ではなく2年間地下に籠もり行こなっていた研究の事だろう。エドワードにブラック先輩と合ってきて良いかと相談すると少し寂しそうな笑顔を浮かべながらもすぐに了承してくれた。
「似合ってるよ、その指輪。」
「ありがとうございます。あの、先輩。実は私も話があるんです。」
「じゃあ、こんなところで話してないで行こうか。」
「はい!」
ブラック先輩に連れられ、高そうなバーの個室に連れられて来た。頭上に目を向けるとキラキラと輝いたシャンデリアがある。ワインを2つオーダーすると2人で静かに乾杯した。
「それで、話ってのは?」
「これなんですけど・・。」
大切に仕舞まっていた論文をバッグから出すとブラック先輩に渡す。先輩は私がもっとも信頼している研究者だ、きっと話を聞いてくるだろう。
「論文・・君の字だ。もぅ研究はしてないって言ってたのに、どうして・・。」
「これは、地下の研究とはまた違う、ダンブルドア教授とその友人のニコラス・フラメル氏と共同で起こなった研究の論文です。」
「・・・黄金の石?」
「はい。今は賢者の石と呼んでいます。」
「・・・どんな金属も黄金に・・。完成したの・・?」
「はい、私はこの論文にあるように、賢者の石の土台までしか完成させていませんが・・、先輩これ見て下さい。・・・元は1シックルだったみたいで。ニコラス・フラメルさんが黄金に変えた様です。」
小さな黄金を渡すと、先輩は半信半疑ながらもそれを見つめていた。
「見事な、黄金だ。本当にその賢者の石というもので出来たのか疑わしいぐらいだ。・・・それに君のこの論文、訂正箇所はいくつかあるけど、綺麗に出来ていると思うよ。」
「ありがとうございます。あの、その最後の方の・・」
「勝手に手紙を読んでしまい、本当に申し訳ありませんでした。、てところ?」
「あっ、そっちじゃなくてっ!」
「ふふ、共同開発じゃなくて、勝手に作った様なものか。・・なまえ、盗作って知ってる?」
「もぅ、先輩!虐めないで下さい。ちゃんと謝ったんですから許して下さいよ。」
「ふふっ、昔から変わってないようで安心したよ。・・それでこの、永遠の命って所だけど・・。」
「はい、そこの部分でちょっと困ってるんです。」
「・・・なまえ、この論文は燃やした方がいい。」
「先輩もそう思いますか?」
「あぁ。賢者の石の存在が公になって、君がその作り方を書いた論文を所持しているとなると、最悪の場合、命を狙われかねない。」
「先輩、その論文今ここで燃やして貰ってもいいですか?」
ブラック先輩は頷くと、”インセンディオ”と呟いた。私の書いた論文が燃えてゆく。論文の内容は頭にきちんと残っているけど、少しだけ名残惜しい。
「それでなまえ、持ってるの?」
「・・・これです。」
ローブの内ポケットに大切にしまっいた小包を出す。まだ開封して居ないけど中身は賢者の石に違いない。ブラック先輩の美しい顔に深いシワがよる。
「先輩、お願いがあるんです。・・この石、先輩が持っていてくれませんか?」
「・・・荷が重いことをさせるんだね。」
「でも、今じゃないんです。」
「命の水の研究をするの・・?」
「はい。きっと、この石があれば3日も掛からないで作れると思います。」
「・・・ダメだ。」
「先輩・・。」
「なまえ、君は勘違いしているよ。学生の頃、真実薬を一緒に作ったからって僕を信頼しすきだ。僕はそこまでお人好しじゃない。それに、この研究は、君の命に関わる。仮に出来たとしてその薬を誰に試す?真実薬と違ってこれは作用量も定かではない。」
「出来た水は自分自身に試してみようかと思ってます。」
「・・・君は、永遠の命が欲しいの?」
「いえ、あと30年も生きられたら十分だと思ってます。でも、研究者として試したいんです。」
「・・・不老不死なんて聞こえはいいけど、生き地獄みたいなものだ。周りは年を重ねる中、ずっと20のままだなんて・・孤独になるに違いない。それに失敗する可能性だってある。この成分だと、失敗したら100%死ぬ。」
「わかってます。大丈夫ですよ、先輩。多分ですけど、この命の水も飲み続けなければ意味がない。私の予想だと命の水100mlに対し1から200年程度、それかもうちょっと長いかですかね。それに、失敗する可能性があるから、自分で試すんです。」
「・・いつ、試すつもり?」
「・・まず、エドワードに、了承を得たいと思ってます。失敗する可能性も視野に入れて、半年後の先輩の結婚式にまでには覚悟を決めてきます。・・・式の前の日、命の水を作成した後この賢者の石を先輩に託しに行きます。」
「・・・もし君が死んでしまったら、僕が石を悪用するかもしれないよ?」
「ふふっ、ブラック家にもぅ財産はいらないと思いますよ?それに、もし私が死んで先輩が私のやり残した研究を引き継いでくれるなら本望です。」
「やはり、僕はとんでもない後輩を持ってしまったようだ。」
カチンッとお互いのグラスをぶつける。約束の合図だ。ブラック家ならそう簡単には盗まれるなんて事はないし、ましてや誰もブラック家を敵に回そうなんてしないはずだ。ブラック家なら私も石を作り出した1人として安心して任せられる。先輩は少し複雑そうな顔をしているけど、きっと約束を守ってくれるはずだ。
ーーー
結局2年間の実験の話は出来ずに終わったが、私の心はとてもすっきりしていた。また今度話そうと約束をして店の外に出る。
「先輩、先日はワインありがとうございました。本当に美味しかったです。」
「あぁ、良かったよ、君に喜んでもらえて。」
「一緒に飲んだ人に聞いたんですけど、物凄く高かったんですよね・・すみません。私、何も知らなくて、知ってたら止めてたのに。」
「・・なまえ、あれは僕からの気持ちだよ。値段なんかじゃない。君にあのワインを飲んで欲しいって思ったんだ。だから、君に喜んで貰えただけで僕は十分だよ。」
「ありがとうございます。」
「それで?・・僕は君にその指輪を挙げた人と飲んだと思ったのに、違うみたいだ。・・誰と飲んだの?」
「あ、えっと、姉の婚約者のリドルさんと・・。」
「・・・リドル?」
「はい、たまたま家に遊びに来ていて、それであの・・ごめんなさい。私そんな貴重なワインだと知らなくて・・。」
・・・。沈黙が肌に刺さる。やっぱりあんな高級なワイン、義兄になるとはいえ、普通もっと大切な人と頂くべきだったのかもしれない。
「なまえ、君が言っている姉の婚約者って言うリドルは、・・トム・リドルの事?」
「・・はい。あっ、そういえば、お知り合いでしたよね。リドルさん、ブラック先輩の事、オリオンって親しげに話してましたし。」
「・・学生の頃、とても可愛がって貰ったよ。」
そう呟いたブラック先輩の声はとても小さかった。
「なまえ、待たせたね。」
「1週間ぶりですかね、ブラック先輩。」
「そうだね。」
にっこりと、笑顔を向けてくれる先輩。この前の休日、エドワードから婚約を受けた日、一羽の気品のあるフクロウが手紙を届けに来た。手紙の差出人はブラック先輩で、内容は話したいことがある。とシンプルなものだった。多分、初恋とかどうとか、そんな甘い話ではなく2年間地下に籠もり行こなっていた研究の事だろう。エドワードにブラック先輩と合ってきて良いかと相談すると少し寂しそうな笑顔を浮かべながらもすぐに了承してくれた。
「似合ってるよ、その指輪。」
「ありがとうございます。あの、先輩。実は私も話があるんです。」
「じゃあ、こんなところで話してないで行こうか。」
「はい!」
ブラック先輩に連れられ、高そうなバーの個室に連れられて来た。頭上に目を向けるとキラキラと輝いたシャンデリアがある。ワインを2つオーダーすると2人で静かに乾杯した。
「それで、話ってのは?」
「これなんですけど・・。」
大切に仕舞まっていた論文をバッグから出すとブラック先輩に渡す。先輩は私がもっとも信頼している研究者だ、きっと話を聞いてくるだろう。
「論文・・君の字だ。もぅ研究はしてないって言ってたのに、どうして・・。」
「これは、地下の研究とはまた違う、ダンブルドア教授とその友人のニコラス・フラメル氏と共同で起こなった研究の論文です。」
「・・・黄金の石?」
「はい。今は賢者の石と呼んでいます。」
「・・・どんな金属も黄金に・・。完成したの・・?」
「はい、私はこの論文にあるように、賢者の石の土台までしか完成させていませんが・・、先輩これ見て下さい。・・・元は1シックルだったみたいで。ニコラス・フラメルさんが黄金に変えた様です。」
小さな黄金を渡すと、先輩は半信半疑ながらもそれを見つめていた。
「見事な、黄金だ。本当にその賢者の石というもので出来たのか疑わしいぐらいだ。・・・それに君のこの論文、訂正箇所はいくつかあるけど、綺麗に出来ていると思うよ。」
「ありがとうございます。あの、その最後の方の・・」
「勝手に手紙を読んでしまい、本当に申し訳ありませんでした。、てところ?」
「あっ、そっちじゃなくてっ!」
「ふふ、共同開発じゃなくて、勝手に作った様なものか。・・なまえ、盗作って知ってる?」
「もぅ、先輩!虐めないで下さい。ちゃんと謝ったんですから許して下さいよ。」
「ふふっ、昔から変わってないようで安心したよ。・・それでこの、永遠の命って所だけど・・。」
「はい、そこの部分でちょっと困ってるんです。」
「・・・なまえ、この論文は燃やした方がいい。」
「先輩もそう思いますか?」
「あぁ。賢者の石の存在が公になって、君がその作り方を書いた論文を所持しているとなると、最悪の場合、命を狙われかねない。」
「先輩、その論文今ここで燃やして貰ってもいいですか?」
ブラック先輩は頷くと、”インセンディオ”と呟いた。私の書いた論文が燃えてゆく。論文の内容は頭にきちんと残っているけど、少しだけ名残惜しい。
「それでなまえ、持ってるの?」
「・・・これです。」
ローブの内ポケットに大切にしまっいた小包を出す。まだ開封して居ないけど中身は賢者の石に違いない。ブラック先輩の美しい顔に深いシワがよる。
「先輩、お願いがあるんです。・・この石、先輩が持っていてくれませんか?」
「・・・荷が重いことをさせるんだね。」
「でも、今じゃないんです。」
「命の水の研究をするの・・?」
「はい。きっと、この石があれば3日も掛からないで作れると思います。」
「・・・ダメだ。」
「先輩・・。」
「なまえ、君は勘違いしているよ。学生の頃、真実薬を一緒に作ったからって僕を信頼しすきだ。僕はそこまでお人好しじゃない。それに、この研究は、君の命に関わる。仮に出来たとしてその薬を誰に試す?真実薬と違ってこれは作用量も定かではない。」
「出来た水は自分自身に試してみようかと思ってます。」
「・・・君は、永遠の命が欲しいの?」
「いえ、あと30年も生きられたら十分だと思ってます。でも、研究者として試したいんです。」
「・・・不老不死なんて聞こえはいいけど、生き地獄みたいなものだ。周りは年を重ねる中、ずっと20のままだなんて・・孤独になるに違いない。それに失敗する可能性だってある。この成分だと、失敗したら100%死ぬ。」
「わかってます。大丈夫ですよ、先輩。多分ですけど、この命の水も飲み続けなければ意味がない。私の予想だと命の水100mlに対し1から200年程度、それかもうちょっと長いかですかね。それに、失敗する可能性があるから、自分で試すんです。」
「・・いつ、試すつもり?」
「・・まず、エドワードに、了承を得たいと思ってます。失敗する可能性も視野に入れて、半年後の先輩の結婚式にまでには覚悟を決めてきます。・・・式の前の日、命の水を作成した後この賢者の石を先輩に託しに行きます。」
「・・・もし君が死んでしまったら、僕が石を悪用するかもしれないよ?」
「ふふっ、ブラック家にもぅ財産はいらないと思いますよ?それに、もし私が死んで先輩が私のやり残した研究を引き継いでくれるなら本望です。」
「やはり、僕はとんでもない後輩を持ってしまったようだ。」
カチンッとお互いのグラスをぶつける。約束の合図だ。ブラック家ならそう簡単には盗まれるなんて事はないし、ましてや誰もブラック家を敵に回そうなんてしないはずだ。ブラック家なら私も石を作り出した1人として安心して任せられる。先輩は少し複雑そうな顔をしているけど、きっと約束を守ってくれるはずだ。
ーーー
結局2年間の実験の話は出来ずに終わったが、私の心はとてもすっきりしていた。また今度話そうと約束をして店の外に出る。
「先輩、先日はワインありがとうございました。本当に美味しかったです。」
「あぁ、良かったよ、君に喜んでもらえて。」
「一緒に飲んだ人に聞いたんですけど、物凄く高かったんですよね・・すみません。私、何も知らなくて、知ってたら止めてたのに。」
「・・なまえ、あれは僕からの気持ちだよ。値段なんかじゃない。君にあのワインを飲んで欲しいって思ったんだ。だから、君に喜んで貰えただけで僕は十分だよ。」
「ありがとうございます。」
「それで?・・僕は君にその指輪を挙げた人と飲んだと思ったのに、違うみたいだ。・・誰と飲んだの?」
「あ、えっと、姉の婚約者のリドルさんと・・。」
「・・・リドル?」
「はい、たまたま家に遊びに来ていて、それであの・・ごめんなさい。私そんな貴重なワインだと知らなくて・・。」
・・・。沈黙が肌に刺さる。やっぱりあんな高級なワイン、義兄になるとはいえ、普通もっと大切な人と頂くべきだったのかもしれない。
「なまえ、君が言っている姉の婚約者って言うリドルは、・・トム・リドルの事?」
「・・はい。あっ、そういえば、お知り合いでしたよね。リドルさん、ブラック先輩の事、オリオンって親しげに話してましたし。」
「・・学生の頃、とても可愛がって貰ったよ。」
そう呟いたブラック先輩の声はとても小さかった。