【05】
ホグワーツを卒業してから私は直ぐに別館の地下室に篭った。私の家系上それが普通だったし父も賛成してくれた。そのためヒーラーにと必死に勧めて下さった先生には悪いことをしてしまったかもしれない。地下室での研究は内容はとてもじゃないけど公の場では口に出せない内容で、私達の家系ではその類のものが盛んに研究されている。そんな私の目が冷めたのはエドワードのお陰である。エドワードとの出会いは6年頃魔法薬学の授業で余り物同士ペアを組まされたのがきっかけだ。最初はお互い印象は最悪だったと思う。なにしろスリザリンとグリフィンドールだ。合うはずがない。誰もがそう思っていた。けど、授業をこなす度お互い惹にかれある物があったんだと思う。気付いたら恋人なんてものになっていて、周りの生徒も認めて居てくれた。勿論、私達家系の研究の事は打ち明けることは出来なかった。しかし、卒業して何処にも就職につかず家の地下に篭っている私に不審を覚えたのかエドワードが問いただして来たのだった。

「私、あの時貴方に振られるんじゃ無いかって思った。」

今日は久し振りの休日をエドワードとダラダラ私のアパートで過ごしている。まぁ、家でやることなんて1つしか無い。何時間もかけて何度もした私達はベットの上で体を休ませながらたわいもない話をしていた。

「・・あの時変だと思ったんだよ。お前日に日に痩せて行くしさ、それになまえのお姉さんが教えてくれたんだよ。」

「え?それ聞いてないけど?」

「お前がヤバい研究してるって。それで不安になっちゃってさ。」

「ふーん。」

「そんな不機嫌になるなよ。いいお姉さんじゃないか。」

「うるさい。」

なんだ、姉から聞いたのか。研究室から私を連れ出して目を冷まさせてくれた彼は私の救世主だと今でも感謝してるけど、元を辿れば姉だったのか。うーん、複雑だ。姉の事だ私のためじゃなく、私とエドワードを別れさせようと意地悪したに違いない。

「機嫌直せよ。な?」

「もー、エドなんてきらーい」

「そんな、捻くれて可愛くない子にはご褒美あげないぞー?」

「・・・なに?ご褒美って。」

「欲しい?」

「・・欲しい。」

そう言えば、照れ臭そうに笑う彼。んん?もぅ1回しようってことだろうか。でも散々さっきしたせいで体はまだ怠い。

「エドワードくん、私もぅ今日はしないよ?ヤりすぎて腰痛いもん。」

「ちげーよ!お前はもぅちょい恥じらいを持て!」

「はーい。」

なんだろうか。期待しながら隣に寝ている彼を見ると、起き上がり鞄を探り始める。あ・・・。

「なまえ」

「なに?」

「俺と、婚約してくれないか・・?」

「・・・キスしてくれるなら、いいよ?」




ーーー


「ダルブルドア先生、・・・今日もまた、点検ですか?」

「なまえ、嫌がる気持ちも解らんでは無いがこれも重要な仕事なのじゃ。」

「だからって毎日毎日、そう簡単に城内の魔法が解けたりしませんよ。」

甘い休日から一転、今日も今日とてダルブルドアに雑用を押し付けられて居る。それも最近何を思ったのか毎日同じ雑用をさせるから、流石の私も目の前のご老人に杖を上げそうになる。一体何処に毎日点検する必要があるのだろうか。月に1回ならまだ解る。毎日って、ホグワーツが何かに狙われているとも言いたいのだろうか。

「そんな怒るでない。折角の可愛い顔が台無しじゃぞ?」

「もぅ、そんなこと微塵も思ってないくせに。」

「それにしても、なまえ。お主エドワードと婚約でもしたのかの?」

「え・・っ」

「その指輪。そなたによく似合っておる。」

「・・・昨日貰ったんです。」

「それはめでたいことじゃ。ほれ、そんな君に嬉しい知らせがある。・・これを。」

「なんですか?これ。」

私の手のひらにコロンっと1つのキラキラと輝く黄金が転がった。

「ニコラス・フラメルから君にじゃ。この前論文を送ったじゃろ?」

「あぁ、黄金の石の事ですか?でも、あれは私の技術じゃ全然上手く出来なくて・・。」

あれは最悪だった。黄金の石というふざけた内容の手紙がたまたまダンブルドア先生の部屋に転がっていたのがきっかけだ。黄金の石なんて今時5歳の子供でも想像しないだろう。そう思いながらも興味本位で勝手に読んでしまったのである。作り方なんてものは書いてなく、理論と反応式だけが淡々と書かれてあった。唯の子供の空想にしては勿体無いぐらいによく出来ていて、すこし理論を弄ってやれば本当に出来てもおかしくない品物だった。黄金の石なんて皆夢物語だと笑って終わらせるだろう。しかし、私の研究者魂に火が着いてしまったのである。ばれない様に理論を暗記して何度も実験を行った。金属だったものがどろどろの緑色の液体になったり、はたまたガラスの欠片になってしまったり。何度も試行錯誤したけど結局私の手には負えず、実験が110回を越えたところで、実験レポートを簡易にまとめ論文にし、ニコラス・フラメルさんに送り知恵を借りることにした。最後のページに手紙を勝手に読んでしまった謝罪の文も添えて。
私が黄金の石についての研究をひっそりとしていた事をダンブルドア先生は気づいていたらしく笑顔で論文をフラメルさんに届けてくれることを了承してくれた。

「それがの、なまえ。君の論文にほんのちょっと工夫をしたら見事に出来てしまった様じゃ。」

「え・・っ、じゃあ、これは・・!」

「いかにも。これは元は1シックルじゃたらしい。」

流石はニコラス・フラメルさん。あの理論と反応式を組み立てたことはある。少し悔しい気持ちもあるけど、黄金の石が私の論文を元に作成、完成に至ったことは素直に嬉しい。私の論文通りの仕組みだとしたらどんな金属でも簡単に黄金に変えられてしまうだろう。・・・けれど、ダンブルドア先生は気づいて居るのだろうか。黄金の石、私がその作成に興味を持ったのはもぅ1つ理由がある。・・・永遠の命が得られるかもしれないのだ。永遠の命、文字通り不老不死となることができるかもしれない。1シックルが黄金に変わってしまうぐらいだ。理論上問題は無かったと思われる。・・人の寿命を、人の命を左右することができる・・・これが実現されれば、悪用されてもおかしくはない。

「お主へと、もぅ一つ石が届いておる。」

「・・・先生。私、怖いです。」

黄金にしろ命の水にしろ、人間の域を超えてしまって居る。もし悪用されてしまったらそれこそ世界の均衡なんてものは簡単に崩れてしまうだろう。きっと、ダンブルドア先生が持っている小包の中身は黄金の石だろう。興味本位で関わったものの、そんなもの私が手にしていいのだろうか。

「・・・優しいの。そなたが何故スリザリンだったのか、わしはそれが未だに不思議でならぬよ。」

「先生、それはスリザリン生に失礼ですよ。」

そうじゃの、すまない。なんて全然反省してる顔をしてない目の前の老人は大切に持っておるのじゃと私に小包を押し付けてきた。

「君がいなければ、絶対にこの黄金の石は完成しなかった。これは君の才能の賜物だと思ってもいいじゃろう。」

「・・・先生、実は、」

「知っておる。この石が唯の錬金術を起こすだけの石じゃ無いと。・・命の水か、中々ユーモアがあるとニコラスも言っておった。流石、みょうじ家の子じゃ。」

「先生も、私の論文を読んだんですか?」

「いかにも、君が勝手に読んだ手紙の内容はわしとニコラスで組み立てたものじゃ。わしが君の論文を読んでも問題はないじゃろう?」

「・・はい。」

「今、君に渡した石に名前を付けようかと思うのじゃ。」

「・・・名前ですか?」

「黄金の石なんて、センスがなくてかっこ悪いじゃろ?そこで・・・賢者の石、と名付けようと思っての。」

「・・・賢者の石・・」

「なまえ、全てではないかもしれぬが、その賢者の石はお主が生み出したのじゃ。生み出したからには自分で決めなければいかん、その使い道を・・・。」





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