【01】
最近姉に彼氏が出来たらしい。なんでも結婚を真剣に考えて居るらしく実家に連れて来るそうで、先日実家に帰れるように予定を合わせて欲しいと手紙が届いた。うーん。私の記憶が正しければも姉から彼氏が出来たと報告を受けたのが先週の月曜日だったきがする・・。今日は報告を受けて5日後の金曜日、つまり付き合って1週間経ったのかも怪しいのだ。姉も所謂アラサーなんてものに近づいてきて焦ってるのかもしれない。妹の私が言うのもなんだけど姉とその彼氏との間に愛なんてもの存在するのだろうか。果てしなく疑問だ。そんな私も3年前から付き合っている今の彼と婚約なんてものを考えている。多分だけど相手の様子からしてそろそろ綺麗な婚約指輪を私にプレゼントしてくれるだろう。姉妹揃ってタイミングが良いやらなんやら。まぁ、私達の場合結婚じゃなくて婚約なんだけども。でももし2人同時に嫁入りってなんてことが起きたら父が倒れてしまわないか心配だ。私達を男手一つで育て溺愛して来たあの父の事だきっと1週間は口を聞いてくれないかもしれない。うーん。まぁ、姉の場合まだ付き合って5日ぐらいなんだから少し父に怒ってもらうのもありかもしれない。あの姉の事だ私の忠告なんて聞いてもくれないだろう。もし、姉が私に救いを求めてきても助けてなんてあげないんだからっ!きっと相手の男もろくでも無いんだろうな。付き合って5日なんて、結婚詐欺じゃないのだろうか。よし、相手の男を見極めてやるっ!




そう思って実家に帰って来たのになに、この状況はどうしたの?

「いやー、本当に君みたいな人が娘とお付き合いしてくれているなんて信じられないよ。」

「彼女は僕の運命の人です。彼女の魅力に心奪われてしまったんです。」

「いやだわ、トムってば」

おいおいおい。なに、このムード。私わざわざ実家に帰って来たのにお出迎えも無しですか。酔ってるのか父は顔を真っ赤にさせながら姉の彼氏らしき人物と楽しそうに話して居るし、姉なんてその彼氏をガン見しながらニヤニヤしている。・・・これは本当に素敵な彼氏だったか父が上手く丸め込まれたかの二択に違いない。多分後者だろう。まぁ、キザって事はわかった。

「ただいま。」

「ぉお、なまえ!遅かったじゃないか!お前も一緒に飲もうこんなにいい日はない!」

うん。これは完全に酔ってるな。アルコール臭いし。テンションが無駄に高い。それに二人の関係をまるっきり認めているようだ。うわーお酒って怖い。

「なまえ!ほらここ座って。」

「久しぶりね姉さん。」

「もぅ、そんな硬くならないで、ほら、そこ座りなさいよ。」

姉さんの向かい側の席に促がされ座ると斜め前の席に始めて見かける顔があった。あぁ、これが。

「初めまして。君のお姉さんとお付き合いさせてもらって居るトム・リドルです。」

「・・初めまして、妹のなまえです。」

うーん。まぁ、顔はイケメンだ。歴代の姉さんの彼氏の中でぶっちぎり1位だろう。姉の彼氏全員を把握してるわけじゃないけど。

「なまえ、彼は凄いんだ。闇の分野に詳しくてね今度別館にある私の書室に招待しようと思うんだが、お前も来るか?」

「え、お、お父さん!」

「なに、お前の姉の婚約者じゃないか。警戒することはない。」

「で、でも・・」

「もぅ!この話は今は良いじゃないっ!ね!2人とも、彼がびっくりしちゃってるわ!ほら、飲みましょ飲みましょう!」

そうやって私にワインをついでくれる姉の好意は嬉しいけど、勢いがよ過ぎてワインが服にかかってしまいそうだ。お、おぅ。きっとこの話題を彼の前でして欲しくないのだと思う。別館の書室にはホグワーツの禁書の棚以上に危ない本がいくつもある。代々闇の魔術についての研究が私達の家系では行われて来た。私もその研究に携わっていた1人で、ホグワーツを卒業してからは別館の地下に籠り父と共に研究をしていたりした。姉はそうゆう才能には恵まれなかったようで、私達家系のそういう部分を嫌っているんじゃないかと思う。まぁ、私の彼もあまり良い顔はしなかったし、私も今となっては思い出したくもない黒歴史のようなものだ。

「なまえさんは普段何をなさって居るんですか?」

「あぁ、妹は見習いなのよ。」

「・・見習い?」

「その言い方辞めてよね、もぅ。・・ホグワーツの闇の魔術に対する防衛学の教授が今度退職なさるみたいで、その教授の代わりに私が任命されたんです。それで、今は来学期に向けダンブルドア教授にご指導受けてる最中ってだけです。」

「この子父親に似て勉強馬鹿だから。」

「もぉー!姉さんっ!」

「あぁ、だから見習いなんて呼ばれてるのか。それに、ガラテア・メリィソート教授が退職なさるなんて初めて聞いたよ。」

興味深そうに目を細くしてこちらを見つめてくるけど、別に面白い話でも無いと思う。教員となるためだとか言ってダンブルドア教授に毎日こき使われて居るだけだ。それに彼の視線が私に向いているせいで姉の顔が不機嫌になりつつある。やめてほしい。

「・・姉とは何処で知り合ったんですか?」

「ああ、在学中からの僕の片思いでね。」

「あーそうなんですか。」

「そうなのよ、この前たまたま歩いてたら声かけてくれて告白して来てくれたの!」

「ずっと後悔しててね、卒業のあの日何故告白しなかったのかって・・だから道で見かけた時は恥ずかしながらつい、ね。」

「ふーん。」

姉は今年で確か、28になる。18に卒業だから、10年間越しの愛ってやつなのか。よく10年間も想ってられたなぁ、私だったらちょっとよそ見しちゃうかもしれない。まぁ、そんなに長い時間想ってくれて居た人なら婚約を認めても良いのかもしれない。まぁ、父が2人を認めた時点で2人の結婚は止められないだろう。

「なまえ、あんたも今の彼と良い感じなんでしょ?」

「ちょっ!姉さん、それはまだ内緒だって言ったでしょっ!」

「なんだ、お前も結婚とか言わないでくれよ。父さんが悲しいじゃ無いか。」

「もぅ、結婚はまだ先の話よ!」

「それで、相手は誰なんだ。」

「ほら、お父さん。 良く家にも遊びに来てたあの人よ。」

「ぁあ・・・エドワードか。」

「そうそう、あの元グリフィンドール生。」

雲行きが怪しくなってきた。おいおい私に被害が来るなんて聞いてない、勘弁してよね。見るからに父は不機嫌になってる。こりゃそろそろお開きかな。冷や汗が出そうになる私をみて姉さんてニヤニヤ笑っている。うん。むかつく。

「え、エドワードだって良い人よ。お父さんだって知ってるでしょ。」

「やつは、お前の研究に反対して地下室から無理矢理お前を連れ去ったんだ!」

「ち、違うわ、それにあの研究は行き詰まっちゃって全く駄目だったじゃない!見兼ねた彼が私を助けてくれたのよ!」

「もぅいい!奴の話なんかもぅ二度と聞きたくない!私はもぅ寝るぞ!!」

そう言って奥の部屋に行ってしまった。どうやら結婚に反対されたのは付き合って1周間にも満たない姉ではなく私みたいだ。うーん。今度お酒でも持って行って機嫌を取るしかないか・・。父が出て行ったドアから視線を戻し目の前の2人を見ると私達に興味を失ったかのようにいちゃつき始めている。まぁ、元から興味なんてものあるはずかない。はぁー、一人暮らしをしているアパートに帰るのもめんどくさいし、久し振りに部屋のベットでで寝るか。グッと目の前のワインを一気飲みして何も言わずにカップルの横を通り部屋に向かう。付き合って1周間かぁ、まぁ一番楽しい時期かもな・・・。でも、だからって妹の前でいちゃつかなくても良いのに。私もエドワードに会いたい。抱きつきたいなぁ・・。







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