約束。/セドリック
死んだ・・?

誰が?

セドリック・・が・・?

嘘よ・・そんなの嘘よっ!!!

目の前のセドリックは目を瞑っていて少しも動かない。私の肩を掴んでいるハリー・ポッターだったかなんだったか、魔法界では知らない人が居ないぐらい有名らしい彼がヒステリックになっている私を落ち着かせようと何度も何度も肩を揺らす。

「なまえさん、落ち着いて・・!」

「嘘よ嘘・・そんなの嘘に決まってるじゃないっ!!!!」

鼻の奥がツンっと痛いけどそんなの気にして居られないぐらい頭がごちゃごちゃしている。どうしようもないぐらい動揺して居る私の顔からとめど無く涙が零れ落ちる。

「りなべいと・・リナベイト!!!!リナベイト!!リナベイト!!」

蘇生魔法を連呼するけど一行に起きてはくれない。

「嘘じゃ無いんだっ!・・なまえさん、セドリックは例のあの人によって、・・ヴォルデモートによって殺されたんだ!!もぅ杖を離して・・・蘇生魔法は死んだ人には効かない!!」

冗談じゃない。そんな大嘘私は信じない。ヴォルデモートの事なんてマグル育ちの私はその話を曖昧にしか聞いたことが無いし、そんな人実在して居たことさえも知らなかった私にとってはヴォルデモートなんておとぎの国の住民みたいなものだ。そんな人に殺されたなんて信じられるはずがない。なのに、蘇生魔法は一行に効いてはくれない。嘘よ、嘘よ!私呪文学はセドリックに教えてもらったから其れなりに成績が良かったのにっ!嘘よ!!

「・・・一緒にくらそうって、1千ガリオンで私のこと幸せにしてくれるって、言ってたじゃない!!!嫌よ!いやぁあぁぁああ!!!!」

それからの記憶が無くて多分見兼ねた周りの人が私を落ち着かせるために魔法でも使って眠らせたんだろう。気づいたら寮の私の部屋だった。窓を開けると冷たい風が私の頬をかすめる。本当は私は気づいていたんだと思う。彼に蘇生魔法は効かないってことも、ハリー・ポッターが言っている事が事実だと言う事も・・・彼が本当に死んでしまった事も・・・。私は知っていながら受け入れられなかったのである。あぁ、私は彼が居ないと本当にだめな人間なのかもしれない。


あぁ、生きて帰って来るなんて言ってた癖に・・・

一緒に暮らそうって言ってたくせに・・・

きっと来れからも約束を守ってくれる事は決してないだろうセドリックは、・・・ホグワーツ1の嘘つきだと思う。

きっと私は彼以上の嘘つきに出会うことはなくて、彼以上に素敵な人にももぅ巡り合うことは出来ないだろう。


「・・・私、覚悟は、これでも出来てたんだよ・・セドリック。」


あんなに泣きまくったのにまた私の目から涙が零れた。あぁ、彼がここに居たら、セドリックが隣にいたらこの涙を拭ってくれたんだろうか。

「あのね、セドリック。あなたは散々約束破ったけど、一つだけ守ってくれたよね。・・・優勝おめでとう。絶対優勝するって約束は守ってくれたから、私、貴方のこと絶対責めたりしないよ。だって、あんなに危険な試合で優勝したんだもん。私、彼女として凄く光栄よ。だから、だから、だからね・・セドリック・・・天国に行っても浮気しないでね。私より凄く良い女が居たとしても絶対に浮気したらダメなんだから・・、ねぇ、セドリック・・」



もぅ一度だけ約束して。



私の願い誰の耳にも聞こえることも無く夜空に消えていった。


約束だよ、セドリック。


今度は絶対守ってよね・・・。

風が優しく私を包んだ。


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