初めての友達。
「あら、彼と喧嘩しちゃったの?」

そんなことを言うマダムは空気を読めていないと思う。

「喧嘩なんて、してないです。」

「そう?でも彼、毎日来てたのに急に来なくなったから」

「え?・・毎日?」

「そうよ。まだ1年生なのに素敵な彼氏がいて羨ましいわ。」

そんな彼女の冗談が通じないぐらい私は動揺していた。あれ、毎日って・・

「マダム、だって私が寝てる間にクリスマスも過ぎちゃったんでしょ?」

「そうね。ハロウィンもクリスマス休暇も過ぎてしまったわ。その間ずっと貴女のそばに居たのよ。とても献身的な彼ね、私感動しちゃったわ。”いつなまえが目を覚めしても良い様に見てなきゃ”ですって、とても貴女のことが好きなのね。羨ましいわー。」

「・・・。」

”やっぱり、ハンサムな人って性格にも現れちゃうのね。”なんて行ってマダムは出て行った。完全に勘違いしている。リドルは、あいつは腹黒だ。それに、私とリドルは付き合ってはいない。けど、確かにリドルは私にとって特別な人だったかもしれない・・。

・・・リドルは私に出来た産まれて始めての人間の友達だったのだ。




9と4/3番線の入り口までわざわざ送り届けてくれたサンタさんに感謝する。絶対彼がいなかったらこのホームでひっそり野垂れ死んでいたと思う。ふぅ、壁に向かって突っ込むなんて経験産まれて初めてだ。まだ胸がドキドキいっている。一息ついたら目の前の赤い汽車に乗りこんだ。空いているコンパーメントを探すけど中々見つからない。ギリギリまでもたついていた私が悪いんだろうけど、なんでどこも空いてないんだろうか。・・あほぉ。文句をぶつぶつ言いながら一番奥まで行くと少年が1人しか座ってないコンパーメントを見つけた。よかった!ごめんよ少年、こんな混んでる中君だけ特等席だなんて私が許せない。いや、許さないっっ!浮かれた私は勢いよく扉を開けた。

ガララッ

はっ、とこっちを見る彼はとても驚いているように見える。勢い良く開けすぎただろうか。

「・・・君は新入生?」

「そうだよ。」

「良くここに入ってこれたね。」

・・・・ん?・・何を言ってるのだろうか。そんなに、悔しかったんだろうか。1人で有意義に過ごしていたのに、君は良く入ってこれたね。的な?んー?もんもんとそんな事を思っていたら彼は、ため息を尽きながらまぁ、座ったら?、と言ってくれたのでありがたく座らせて頂く。荷物をやっとの思いであげ、少年の向かい側の席に座る。目の前の彼をチラッと盗み見みると、綺麗な顔をしていた。ぉお、これが美少年ってやつか。初めて見たな、拝んどこう。両手を合わせ目を瞑ると”君って馬鹿なの?”なんて声が聞こえてきた。あぁ、これが神の声なのか、なんて思ってたら目の前の美少年が言ったらしい。

「・・・えっ?」

あぁ、美しものにはトゲがあるって柴犬のミコが良く言っていたなぁ。気をつけなきゃ。心の中で言ったつもりだったのに、ボソッと声に出ていたみたいだ。彼は大きな瞳をもっと大きくさた。

「君、動物の言葉が解るの?」

「え、う、うん。」

彼はキラキラした目で私を見つめてくる。
て、照れちゃうぞ。なんて思ったら右手を出された。緊張しながらもその手をとると彼は人当たりの良さそうな笑みを浮かべてくる。

「僕の名前はトム・リドル。君の名前は?」

「なまえ・みょうじです。」

聞きなれないようで彼は私を見つめてくる。

「あぁ、日本人なんです。アジアのほら、あの、タツノオトシゴみたいな形した国!」

「ああ。タツノオトシゴみたいな形かどうかは知らないけど本で見たことあるよ。」

それはそれは、勉強熱心ですね。なんて言ってたら彼はニヤリと笑う。その綺麗な瞳が段々紅くなっていく。

「僕と友達になってよ。」

「・・・え?」

かぁああっと顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。と、ととと友達!!友達なんて、蛇とか蟻とかしかいない!!しかも、人間の友達なんて初めてだ!!う、嬉しくて、でも、恥ずかしくて目の前の彼を上手く見れなくなって俯いてしまう。ふわっと何かか私の髪に触れた。驚いて目の前を見ると、私の右頬に彼の奇麗な指が触れてきた。意味が分からなくて、目の前の奇麗な顔を見つめたら、段々近づいて来るではないか。ぉ、ぉおう。赤色に染まった彼のその瞳があとちょっとで私にぶつかってしまいそうになる。すると、目蓋をだんだんと薄めてきて、もぅ何がなんだかわからない。脳内がフェイドアウト寸前だ。い、イケメンが、イケメンが目の前で、か、かかか顔が近いよ!!!!覚悟を決めぎゅっと目をつぶったら

・・・ちゅ・・

唇ぎりぎりの頬にへんな感覚。柔らかいようなくすぐったような。紛れもない彼の唇だろう。彼はとても満足げな様子で、スッと顔を離した。

「あ、あの・・あ、の」

「あぁ、日本ではこうゆう挨拶しないんだっけ?ごめんね、気がつかなかった。」

あ、これ、ファーストキスにカウントしなくていいのか。冷静な頭の中とは違い、テンパっている私は”い、いえ、ご、ご馳走様でした。”なんて言ってしまう。

「ふふっ君は本当面白いね。それに、君と組んだら良いことがありそうだ。」

ギラっとした目で私を見つめる彼に少しほんの少しだけ背筋が凍る。野生の勘で、こいつは危ないと何度も何度も脳内で警報機が鳴り響いているけど私は聞こえなかったふりをした。初めての友達、そんな甘い響きが私の判断力を鈍らせたのかもしれない。



それが私の初めての友達トム・リドルとの出会いだった。


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