「なまえ」
「なに?お母様。」
「こっちにいらっしゃい、髪を整えてあげるわ。」
「・・うん!」
母の、ベラトリックス・ブラックは私をお人形の様に扱う。私の前だと基本穏やかで優しい母だが、たまに部屋の外から狂った様な荒々しい声が聞こえてくるから、きっと私の前では猫を被ってるのだろう。
「私の髪はお母様似だね。」
「そうかしら?」
「そうよ、お母様。ブラック家の方々と最近お会いしたけど、似てたもの。きっとブラックの家の遺伝なのね。」
鏡代に映る美しくしい顔の母を見ると嬉しそうに頬を緩めている。きっと、ブラック家に誇りを持ってるんだろう。
「それにほら、お父様は真っ直ぐな髪質だけど、私はお母様と同じで少し毛先がくるくるしてる。」
「・・そうね。」
「そうよ、お母様。お母様はもっと自分に自信を持つべきだわ。お父様にも劣らずの美形なんだから。」
多分だけど、母は父に愛情をあまり注がれて居ない。そんな2人の愛の象徴みたいな私を母が異常に可愛がるのは当たり前なのかもしれない。母は、父に似た私の目や鼻立ちを、いつも愛おしいように見つめてくる。私を通して父を見て居るのだ。だから母に似ている髪も本当は父に似て欲しかったのだろう。・・もっと自分を持って少し父離れをすべきだと思う。まぁ、夫婦だから良いのかな。でも、少しぐらい母に似たこの美しい髪や真っ黒に染まる瞳の色も褒めて欲しいものだ。
「あ、そろそろレギュラスが来る時間だわ。」
「またあいつが来るのかい?」
「うん。今日は魔法薬学を教えてくれるんですって。」
「そんなもの私が教えてあげるわ。」
「・・駄目よ、お母様。お母様が教えてくれたら私、嬉しくてきっと甘えてしまうわ。それに、もしその綺麗な指に怪我でも出来たら私、お父様になんて言って謝ったらいいか解らなくなってしまうわ。」
「なまえ・・」
「ほら、そんな顔しないで綺麗な顔が台無しよ。」
「お前は本当に良い子ね。」
「当たり前よ。お父様とお母様の子だもの。」
ふふっと笑い合うと私の髪型を整え終わった母は部屋から出て行った。
「ねぇ、レギュラス。」
「なんですか?」
「気づかない?」
わざと答えないで気づくまで黙ってやろうかと思ったけど、鋭い彼はどの言葉を欲しいのか直ぐに理解したみたいだ。
「・・今日は、ポニーテールですか。似合ってますね。」
「でしょ。お母様がしてくれたの。」
「・・ベラトリックスが?」
なんだろう。母はやはり私の前では猫を被ってるのだろうか。レギュラスの反応があからさまにおかしい。
「そうよ?私のお母様ベラトリックス・ブラックがしてくれたの。」
「そう、ですか。」
「ねぇ、お母様は貴方だと怖いの?」
「い、いえ、そんな事は無いですよ。真っ直ぐで、素敵な女性だと思いますよ。」
ふーん。真っ直ぐで素敵な女性ねぇ、まぁ父に対する愛は異常なまでに真っ直ぐなのかもしれない。それにしてもレギュラスが無理矢理笑って誤魔化そうとして居るのがひしひしと伝わってくる。一見ミステリアスな雰囲気の癖に意外と解りやすいのよね。
「あ、そういえば。」
「なんですか?」
きっと気まずかったのかもしれない。さっきまで目を合わせてくれなかったのに、私が他の話題に移ろうとするとそのキラキラした灰色の瞳をこちらに向けてくる。
「今度雑誌くれない?」
「雑誌・・ですか?」
「そう。女性雑誌よりも男性ものが良いわ。レギュラスが読んだやつで良いから。出来れば沢山欲しいわ。」
「・・わかりました。僕はあまり雑誌とか読まないので今度兄から借りてみますね。」
「あぁ、シリウス君ね。是非今度会ってみたいわ。」
「・・・冗談でもやめてください。」
「ふふっ、本気なのに。」
ちゅっ
少し不貞腐れてる彼にキスすると、珍しく今日は彼から舌を絡めてくれる。嬉しくて気持ち良くて腕を首に回すとサラッと綺麗な髪が触れた。あぁ、やっぱり私と母と似てる。私達親子とは少し違って真っ直ぐな髪だけど髪質は似てると思う。んん・・レギュ・・ラス・・息がだんだん苦しくなって来て彼の名前を呼ぶけどまだ離してくれないらしい。そんなに兄、シリウス・ブラックのことを言われるのが嫌だったんだろうか。それから数秒も経たないうちに空気が足りないのか頭がぼんやりしてきた。んんー・・やぁっ・・れ・・ぎゅ・・・ドンドンっと彼の胸を叩くとやっと離してくれた。はぁはぁ、乱れる息を整える。死ぬかと思った。
「・・体力が無いんじゃないですか?」
「・・レギュラスが・・ありすぎ・・なのよ。」
「ほら、顔赤いですよ?」
私の頬をさすってまたキスをしてくる彼は相当怒ってるみたいで少し意地悪だ。兄の事は禁句みたい。彼みたいな温厚な人をこれだけ怒らせるんだから彼の兄は凄い人なんだろう。
私の頬をくすぐる彼の髪はやっぱり私と良く似ていた。
「なに?お母様。」
「こっちにいらっしゃい、髪を整えてあげるわ。」
「・・うん!」
母の、ベラトリックス・ブラックは私をお人形の様に扱う。私の前だと基本穏やかで優しい母だが、たまに部屋の外から狂った様な荒々しい声が聞こえてくるから、きっと私の前では猫を被ってるのだろう。
「私の髪はお母様似だね。」
「そうかしら?」
「そうよ、お母様。ブラック家の方々と最近お会いしたけど、似てたもの。きっとブラックの家の遺伝なのね。」
鏡代に映る美しくしい顔の母を見ると嬉しそうに頬を緩めている。きっと、ブラック家に誇りを持ってるんだろう。
「それにほら、お父様は真っ直ぐな髪質だけど、私はお母様と同じで少し毛先がくるくるしてる。」
「・・そうね。」
「そうよ、お母様。お母様はもっと自分に自信を持つべきだわ。お父様にも劣らずの美形なんだから。」
多分だけど、母は父に愛情をあまり注がれて居ない。そんな2人の愛の象徴みたいな私を母が異常に可愛がるのは当たり前なのかもしれない。母は、父に似た私の目や鼻立ちを、いつも愛おしいように見つめてくる。私を通して父を見て居るのだ。だから母に似ている髪も本当は父に似て欲しかったのだろう。・・もっと自分を持って少し父離れをすべきだと思う。まぁ、夫婦だから良いのかな。でも、少しぐらい母に似たこの美しい髪や真っ黒に染まる瞳の色も褒めて欲しいものだ。
「あ、そろそろレギュラスが来る時間だわ。」
「またあいつが来るのかい?」
「うん。今日は魔法薬学を教えてくれるんですって。」
「そんなもの私が教えてあげるわ。」
「・・駄目よ、お母様。お母様が教えてくれたら私、嬉しくてきっと甘えてしまうわ。それに、もしその綺麗な指に怪我でも出来たら私、お父様になんて言って謝ったらいいか解らなくなってしまうわ。」
「なまえ・・」
「ほら、そんな顔しないで綺麗な顔が台無しよ。」
「お前は本当に良い子ね。」
「当たり前よ。お父様とお母様の子だもの。」
ふふっと笑い合うと私の髪型を整え終わった母は部屋から出て行った。
「ねぇ、レギュラス。」
「なんですか?」
「気づかない?」
わざと答えないで気づくまで黙ってやろうかと思ったけど、鋭い彼はどの言葉を欲しいのか直ぐに理解したみたいだ。
「・・今日は、ポニーテールですか。似合ってますね。」
「でしょ。お母様がしてくれたの。」
「・・ベラトリックスが?」
なんだろう。母はやはり私の前では猫を被ってるのだろうか。レギュラスの反応があからさまにおかしい。
「そうよ?私のお母様ベラトリックス・ブラックがしてくれたの。」
「そう、ですか。」
「ねぇ、お母様は貴方だと怖いの?」
「い、いえ、そんな事は無いですよ。真っ直ぐで、素敵な女性だと思いますよ。」
ふーん。真っ直ぐで素敵な女性ねぇ、まぁ父に対する愛は異常なまでに真っ直ぐなのかもしれない。それにしてもレギュラスが無理矢理笑って誤魔化そうとして居るのがひしひしと伝わってくる。一見ミステリアスな雰囲気の癖に意外と解りやすいのよね。
「あ、そういえば。」
「なんですか?」
きっと気まずかったのかもしれない。さっきまで目を合わせてくれなかったのに、私が他の話題に移ろうとするとそのキラキラした灰色の瞳をこちらに向けてくる。
「今度雑誌くれない?」
「雑誌・・ですか?」
「そう。女性雑誌よりも男性ものが良いわ。レギュラスが読んだやつで良いから。出来れば沢山欲しいわ。」
「・・わかりました。僕はあまり雑誌とか読まないので今度兄から借りてみますね。」
「あぁ、シリウス君ね。是非今度会ってみたいわ。」
「・・・冗談でもやめてください。」
「ふふっ、本気なのに。」
ちゅっ
少し不貞腐れてる彼にキスすると、珍しく今日は彼から舌を絡めてくれる。嬉しくて気持ち良くて腕を首に回すとサラッと綺麗な髪が触れた。あぁ、やっぱり私と母と似てる。私達親子とは少し違って真っ直ぐな髪だけど髪質は似てると思う。んん・・レギュ・・ラス・・息がだんだん苦しくなって来て彼の名前を呼ぶけどまだ離してくれないらしい。そんなに兄、シリウス・ブラックのことを言われるのが嫌だったんだろうか。それから数秒も経たないうちに空気が足りないのか頭がぼんやりしてきた。んんー・・やぁっ・・れ・・ぎゅ・・・ドンドンっと彼の胸を叩くとやっと離してくれた。はぁはぁ、乱れる息を整える。死ぬかと思った。
「・・体力が無いんじゃないですか?」
「・・レギュラスが・・ありすぎ・・なのよ。」
「ほら、顔赤いですよ?」
私の頬をさすってまたキスをしてくる彼は相当怒ってるみたいで少し意地悪だ。兄の事は禁句みたい。彼みたいな温厚な人をこれだけ怒らせるんだから彼の兄は凄い人なんだろう。
私の頬をくすぐる彼の髪はやっぱり私と良く似ていた。