私は何故か皆から丁重に扱われている。装飾品はどれもブランド品で頼みもしないのに皆プレゼントを私に買い与える。私の名前はなまえ・ブラックである。最初は私がブラックの名を持っているからだと思っていた。でも、同じブラック家である当主のオリオン・ブラック様や、その周りの者まで私のことを熱い視線で見つめるから、きっとそれが答えではない思う。私の名にあるブラックとは母方の姓で、父の姓は頂けなかった。父はなんでも自分の名が大っ嫌いらしい。そんな理由で名を頂けなかったのは残念だが、魔法界で知らぬ者は居ない名家の名を頂けたので結果的には良かったのかもしれない。
「なまえさま」
「なに?」
「我が君が呼んで居られます。」
「今行くわ。」
我が君、それは父の愛称である。私以外、実の母でさえもそう呼ぶのできっと名前嫌いの父がわざとそう呼ばせてるに違いない。我が君、私が産まれるずっと前からきっとそう呼ばれていたのだろう。私は父の本当の名を知らない。聞いても困ったように苦笑いして誰も教えてくれないのだ。薄っぺらい親子関係かもしれないけど別に気にしていない。いや、気にしていないというのは嘘かもしれない。でも、私はそんな父も心から愛しているのだ。他人からは薄っぺらく見えるかもしれないが、本質はそこら辺の親子と何も変わらないと思う。自分の名が嫌いだからって子供みたいな事をする人だけど、実際は素晴らしい人だ。知識人であり顔は父ほど美しい人を見たことが無い。それに気品があり、娘の私が言うのもなんだけど色気もある、と思う。
「なに?お父様」
「待ってたよなまえ」
ニヤッてこっちを見る父は一体お幾つなんだろうか。時を止めたかの様に美しい。20代前半に見えてもおかしくない。
「お前に僕の親友の息子を紹介しようと思ってね。友達にでもしたらいいよ。」
「友達・・・?」
余計なお世話だと言いたいところだが、私はこの屋敷からあまり出たことがないため、友達が1人もいない。なんでも、父と私との繋がりが暴露たら駄目らしい。出かけたとしても母とちょっと外を散歩するぐらいで、父と外出したことは数えるぐらいしかない。父の目線に釣られるように横に座っている人を見る。
「オリオン様・・?」
「なまえ、元気でしたか?」
「はい、オリオン様も元気なようで良かったです。」
「なまえ、今日は君に僕の息子を是非紹介したいと思ってね。」
確かオリオン・ブラックは私の母、ベラトリクッス・ブラックの伯父にあたる。その息子って事は私にとって・・・とりあえず、母の従兄弟って事だ。純潔の家系は頭がこんがらがってしょうがない。チラッとオリオン様の隣にちょこんと座る男の子を見る。彼は慎重な面持ちで私の前にくると跪いて、私の手を取る。
「はじめまして、レギュラス・ブラックです。貴女に会えて光栄です。」
「はじめまして、レギュラス。」
私の手に唇を落とそうと為るのをさりげなく拒否するとお父様に視線を投げかけ様子を伺う。
「なまえ、気に入ったか?」
「・・ええ、とっても。」
気に入ったもなにもブラックって時点で親戚に間違いないのに。母と同じでブラック特有の美しさを目の前の親子は醸し出している。昔、父が私専属の使用人を付けようと私に紹介した時があった。我が儘だった私は私の自由を妨げる可能性のある目の前の使用人を、”顔が気に入らない”と言って断った覚えがある。すると父はニヤッとその美しい瞳を赤くし、微笑みながら”じゃあ、この女はいらないね。”なんて言っていて、なんだか良く解らないけど空気を察した私は直に部屋から出た。部屋から出る際、ちらっと見たその使用人候補さんは体が震えていて、その顔は真っ青に染まっていた。今でも脳裏に焼き付いている。なんでそんな怯えた表情をしていたのか知らないけど、その人をこの屋敷から見た事がそれっきり無かった。きっと父が何かしたのだろう・・。
「なまえ、次の夏が過ぎればお前にもホグワーツからの手紙が来るだろう。それまで少し魔法を教えてもらうと良いよ。」
「あらお父様、とっても嬉しいわ。」
成る程、要は家庭教師みたいなものか。ブラック当主の息子をこき使うのはいかがなものだけれど、良い機会だ。彼は私とそう年は変わらないように見える。ふーんっと笑う私の瞳を見て父は嬉しそうに笑った。
「レギュラス・ブラック・・」
「なんですか、なまえ様。」
「様付けなんていや。私、友達にぐらい呼び捨てされたいわ。」
怒ったようにふんっとそっぽを向けば、焦ったように”ごめんなさい”と謝罪の声が聞こえる。別に謝罪の言葉なんて求めてない。
向いた先にあった窓から見える風景は緑しか無い。きっと森の中にこの城を建てたのだろう。そんな家の目の前にある森ですら行った事が無い私はこの城の狭い世界しか知らない。しかも、この城の中だって母や父の許可がなければ部屋の外には出られない。なんてつまんない人生を送ってきたのだろう。私は限界に近かったのかもしれない。
「・・・レギュラス」
「はい。」
「私と貴方は友達でしょ?」
「・・・」
「ちがうの?お父様はそう言っていた気がするけど?」
彼は困った表情からハッとしたような顔をして、”はい。”と静かに同意した。
「なら話が早い、私とこの城から出ましょ?」
「・・え?」
「お父様なら大丈夫よ。オリオン様ときっと仲良くお話でもしてるでしょ。・・・・今ならばれないわ。」
「けど・・」
「大丈夫。私と貴方なら・・ね?」
考えるように伏せていたレギュラスの顔を父譲りの甘い顔で覗き込むと、顔をほんのり赤くした彼は視線を外し”・・少しだけですよ?”っと言った。父から受け継いだこの顔に感謝だ。
「なまえさま」
「なに?」
「我が君が呼んで居られます。」
「今行くわ。」
我が君、それは父の愛称である。私以外、実の母でさえもそう呼ぶのできっと名前嫌いの父がわざとそう呼ばせてるに違いない。我が君、私が産まれるずっと前からきっとそう呼ばれていたのだろう。私は父の本当の名を知らない。聞いても困ったように苦笑いして誰も教えてくれないのだ。薄っぺらい親子関係かもしれないけど別に気にしていない。いや、気にしていないというのは嘘かもしれない。でも、私はそんな父も心から愛しているのだ。他人からは薄っぺらく見えるかもしれないが、本質はそこら辺の親子と何も変わらないと思う。自分の名が嫌いだからって子供みたいな事をする人だけど、実際は素晴らしい人だ。知識人であり顔は父ほど美しい人を見たことが無い。それに気品があり、娘の私が言うのもなんだけど色気もある、と思う。
「なに?お父様」
「待ってたよなまえ」
ニヤッてこっちを見る父は一体お幾つなんだろうか。時を止めたかの様に美しい。20代前半に見えてもおかしくない。
「お前に僕の親友の息子を紹介しようと思ってね。友達にでもしたらいいよ。」
「友達・・・?」
余計なお世話だと言いたいところだが、私はこの屋敷からあまり出たことがないため、友達が1人もいない。なんでも、父と私との繋がりが暴露たら駄目らしい。出かけたとしても母とちょっと外を散歩するぐらいで、父と外出したことは数えるぐらいしかない。父の目線に釣られるように横に座っている人を見る。
「オリオン様・・?」
「なまえ、元気でしたか?」
「はい、オリオン様も元気なようで良かったです。」
「なまえ、今日は君に僕の息子を是非紹介したいと思ってね。」
確かオリオン・ブラックは私の母、ベラトリクッス・ブラックの伯父にあたる。その息子って事は私にとって・・・とりあえず、母の従兄弟って事だ。純潔の家系は頭がこんがらがってしょうがない。チラッとオリオン様の隣にちょこんと座る男の子を見る。彼は慎重な面持ちで私の前にくると跪いて、私の手を取る。
「はじめまして、レギュラス・ブラックです。貴女に会えて光栄です。」
「はじめまして、レギュラス。」
私の手に唇を落とそうと為るのをさりげなく拒否するとお父様に視線を投げかけ様子を伺う。
「なまえ、気に入ったか?」
「・・ええ、とっても。」
気に入ったもなにもブラックって時点で親戚に間違いないのに。母と同じでブラック特有の美しさを目の前の親子は醸し出している。昔、父が私専属の使用人を付けようと私に紹介した時があった。我が儘だった私は私の自由を妨げる可能性のある目の前の使用人を、”顔が気に入らない”と言って断った覚えがある。すると父はニヤッとその美しい瞳を赤くし、微笑みながら”じゃあ、この女はいらないね。”なんて言っていて、なんだか良く解らないけど空気を察した私は直に部屋から出た。部屋から出る際、ちらっと見たその使用人候補さんは体が震えていて、その顔は真っ青に染まっていた。今でも脳裏に焼き付いている。なんでそんな怯えた表情をしていたのか知らないけど、その人をこの屋敷から見た事がそれっきり無かった。きっと父が何かしたのだろう・・。
「なまえ、次の夏が過ぎればお前にもホグワーツからの手紙が来るだろう。それまで少し魔法を教えてもらうと良いよ。」
「あらお父様、とっても嬉しいわ。」
成る程、要は家庭教師みたいなものか。ブラック当主の息子をこき使うのはいかがなものだけれど、良い機会だ。彼は私とそう年は変わらないように見える。ふーんっと笑う私の瞳を見て父は嬉しそうに笑った。
「レギュラス・ブラック・・」
「なんですか、なまえ様。」
「様付けなんていや。私、友達にぐらい呼び捨てされたいわ。」
怒ったようにふんっとそっぽを向けば、焦ったように”ごめんなさい”と謝罪の声が聞こえる。別に謝罪の言葉なんて求めてない。
向いた先にあった窓から見える風景は緑しか無い。きっと森の中にこの城を建てたのだろう。そんな家の目の前にある森ですら行った事が無い私はこの城の狭い世界しか知らない。しかも、この城の中だって母や父の許可がなければ部屋の外には出られない。なんてつまんない人生を送ってきたのだろう。私は限界に近かったのかもしれない。
「・・・レギュラス」
「はい。」
「私と貴方は友達でしょ?」
「・・・」
「ちがうの?お父様はそう言っていた気がするけど?」
彼は困った表情からハッとしたような顔をして、”はい。”と静かに同意した。
「なら話が早い、私とこの城から出ましょ?」
「・・え?」
「お父様なら大丈夫よ。オリオン様ときっと仲良くお話でもしてるでしょ。・・・・今ならばれないわ。」
「けど・・」
「大丈夫。私と貴方なら・・ね?」
考えるように伏せていたレギュラスの顔を父譲りの甘い顔で覗き込むと、顔をほんのり赤くした彼は視線を外し”・・少しだけですよ?”っと言った。父から受け継いだこの顔に感謝だ。