「おはようございます。」
「おはよう、レギュラス。」
昨夜、みょうじ家に泊まったブラック家の人々と私の両親はまだ寝てるんだと思う。広間に出てみればレギュラスしか居ない。もぅ、飲み過ぎなのよ皆!両家仲が良いからって気を緩みすぎだと思う。
「寝癖、ついてますよ?」
「え・・・?」
「ほらここ」
気が緩んでいるのは両親たちだけではなく私もだったみたいで、レギュラスの大きな手が私の頭を撫でてくれる。朝から恋人同士みたいなやりとりだなーと思ったけど、他でもない私たちは婚約者同士だ。
「ほら、治りました。」
「あ、ありがとう・・」
なんだか、恥ずかしい。昨日の夜は彼の事を考えると何故かドキドキと動機が止まらなくて、病気にかかったのかもしれないと心配した。その事を先ほどハウスエルフに言うと、ニヤッと笑って”病気じゃ無いからお気になさらず”って言ってたから、多分大丈夫だとは思う。けど、なんだかレギュラスが近くにいるとそわそわしてしまう。あぁ、早朝に見る彼も、さすがブラック家というところだろうかそこら辺の男より断然かっこいい。
「・・・なまえがそんな顔してるの初めて見ました。」
「え?」
「赤いですよ。」
”ほら、ここ”そんなこと言って不意打ちにおでこにキスしてきた彼はなんだか昨日とは違い積極すぎると思う。立場が逆転してて驚くけど、嫌じゃ・・無い・・・。
「なまえ、今日って予定空いてますか?」
「う、うん。空いてるよ?」
「一緒に買い物にでも行きませんか?」
「え、でも・・・」
「大丈夫。僕達が居なくても彼等は心配無いと思います。」
チラッとブラック夫妻がお泊まりになっている方に視線を送ると”ほらっ、早く着替えてきてください”っと言って私を急す。これがシリウスなら嫌よ!馬鹿!なんて言って絶対家から出てやらないけど、彼だと何処へ行くんだろうとわくわくしてくるから不思議だ。
「ま、まって!急いでくるから・・!」
自分がみょうじ家令嬢だと言うことも忘れてバタバタ走る。そんな私を彼はくすくす笑って見送ってくれた。
ブラウスにカーディガン、フレアスカート、うん。我ながら可愛い。あ、シリウスからもらったんだネックレスつけて行こうかな。あれ、可愛かったし。一通りオシャレをした後、急いで彼の待っている広間に行くと、優雅に紅茶を飲んで待っていた。
「お待たせ」
「結構、速かったですね。」
「うん!急いじゃった!」
ふふっと笑うと彼は私の腕をつかみ姿くらましをする。
「わぁー。レギュラス、姿くらましなんか出来るのね!」
「これくらい普通ですよ」
嫌味なのかわからないけど、それが出来ない私は一体なんなのだろうか。そもそも姿くらましなんて、17歳から教わるものだった気がする。私たちは2人ともまだその年齢に達していない。・・・違法?
「ふふっ。なまえは分かりやすいですね。」
ほらっと手を引く彼はなんだかかっこ良くて、これってもしかしてデートなのかなと思うと姿くらましの事なんてどうでも良くなって、私の心はデート一色へと染まっていった。
初デート!