見えない境界線/リドル
私は凡人だ。なにか人より優れているものなんてなくだだの凡人。この事を強く認識したことは無かったけどリドルと出会って別に凡人でもいいかもしれないと心からそう思った。ただ何事も彼の指示に従って行ったら上手く行ったからだ。私は凡人、けど、リドルは天才。そんな彼に、私は気づいたら恋をしていた。

けどこの見えない境界線から飛び越えようとも逃げようともしなかった。・・・まぎれもなく私は凡人で、そして、臆病者である。

 どんなに思考を探らせても私の脳ではリドルの考えてる事が到底理解できそうもない。そりゃそうだ。だって私はリドルじゃないんだから、でも悲しいとは思わない。ただただ寂しいのかもしれない。乾いた風が私の頬を撫でる。あぁ、そろそろ寒くなってきた。リドルは何も思わないのだろうか。きっと他のことで頭がいっぱいで寒さなんで感じないのかもしれない。もしかしてリドルには神経が通ってないのかもしれない。・・・宇宙人だったりして。なんてくだらない思考がよぎった頃リドルは私に微笑みかけてきた。


「今、変な事考えたでしょ?」


『え?』


「なまえの顔がだらしなくなったから」


顔を手で覆うと彼は笑ってわかりやすい、なんて言うから私は恥ずかしくなってそっぽを向いてみる。あぁ、こんなんじゃ彼の思うつぼじゃないか。けど、彼が私に構ってくれた事が嬉しくて、また顔が緩みそうになる。


「ねぇ、寒いんだけど」


あ、感覚あるんだ・・なんて宇宙人説が白紙になったのに対して少し残念な気持ちになる。


「ねぇ、なまえ 」


急に彼の手が私の頬をなでてきたもんだからびっくりしてしまう。


『な、なに?』


「なに?って寒いって言ったじゃないか。」


『え?』


ふふっ。彼が真っ赤な顔をしているであろう私に対して奇麗な笑顔を向けてくる。


「好きだよ。」


え?え?だめだ、頭の中が混乱する。私とリドルはただの幼なじみで、恋愛感情なんてものはなかったはずだ、それに、私の腰にリドルが手を回しているのはただ単に、寒いからで、で、でも、さっき、好きだよって、あれはどうゆう意味の好きなんだろうか・・。私に向けられてる彼の眼差しに、だんだん体が熱くなってくる。


ちゅっ・・


なんて可愛い音をわざとらしくたてた彼は満足そうに笑い、私の手を引っ張った。あぁ、そろそろ頭ん中がオーバーヒートしそうだ。


「ほら、はやく行くよ。」


『え、えっ、り、リドル?』


「なに?まだここで僕の顔じっくり見ながら、ニヤニヤ笑っていたいの?」


私は真っ赤な顔をぶんぶんと振って、ちょっと冷たい彼の手を勇気を振り絞って、少しだけ握り返してみた。


「ふふっ、なまえって素直じゃないよね、ほら、風邪引くから早く寮に戻るよ。」



心の中で、私も好きだよ。と呟いてみる。


すると心なしか、手を引いている彼の顔が赤くなった気がした・・






あぁ、見えない境界線を飛び越えてみるのも良いかもしれない。





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