素直になれない。/レギュラス
なまえ先輩はちょっと、いや、かなり人気があると思う。東洋人って事もありこのホグワーツでも目立つ存在だ。この前、レイブンクロー生達が"なまえ・みょうじって可愛いよな!"っと話してたのを聞いた。イライラする。なまえ先輩は僕のことを好きだと言うわりに、裏表のない笑顔で色んな男に愛想を振りまいている気がする。そんな事を想像すると、苛立ちでポーカーフェースが崩れそうになった。僕の不機嫌な様子を察してルームメイトが、"いい加減そろそろ告白しろよ "なんて言うけど、僕はそれを未だにできずにいる。けど、決して僕がヘタレとかそうゆう類いのものだからでは無い・・・と思う。




そんな僕の悩みの種、なまえ先輩と知り合ったのは、談話室で課題が解らずにうーん、うーんと唸っている先輩のせいで、本に集中出来なくなったため仕方なく教えてあげたのがきっかけだ。


「先輩、失礼ですが、ここが間違っているんだと思いますよ?」


「えっ?・・ぁあ!そっか!だからなんか変だったのか!」


キラキラした目で僕にありがとうと告げる先輩は、東洋人独特な幼さと可愛さがある。思わず可愛いと呟いてしまった僕は、この時からもぅ彼女に溺れてしまったのだと思う。
それからの僕は少しおかしくて、なまえ先輩を目で追ってしまうようになった。朝食の時はさりげなく先輩の隣をキープしたり、先輩が課題をしている時、参考になりそうな本を持って”よければどうぞ”なんて渡してみたり。そんな事を続けていると、先輩が話しかけてくれるようになった。他愛の無い話ばかりだったけど、話を繰り返しているうちに先輩がだんだん懐いてくれるのがわかった。嬉しい。心が満たされて行くみたいだった。


「レギュラスー!課題手伝ってよー!そろそろ本気で私死んじゃうかもっ!」


「課題のやり過ぎで死んだ人間なんて、聞いたことありません。」


あぁ、こんな事が言いたいんじゃ無いんだ。もっと、優しくしたいのに。素直になれない僕は、先輩に素っ気ない返事ばかりしてしまう。最近、僕達2人きりでよく勉強をするようになった。実際には、勉強の出来ない先輩に、僕が教えてあげるってスタイルだが、この空間が幸せでたまらなかった。あぁ、ずっと続けば良いのに・・・。
そんな日々が続いたある日の晩、ルームメイトが思いついたように"次の週末ホグズミードになまえ先輩誘ってデートすればいいんじゃないか?”と言ってくる。そんなに簡単に彼女を誘えたらこんなに苦労していない。

でも確かに、なまえ先輩と二人っきりで街を歩いてみたいな・・。

確か次の週末は、一緒に課題をやる予定だ。もしかしたら上手く誘えるかもしれない。そう思うと胸が高鳴り、なかなか寝付けずに#なまえ#先輩の事ばかり考えてしまう。しかし、そんな僕をあざ笑うかのように甘い期待は裏切られてしまった。なまえ先輩と朝食をとっていると申し訳なさそうに僕を見つめ、その可愛らしい顔を歪ませた。


「レギュラス、あのね、次の休日課題一緒にしようって誘ったけど、友達とホグズミードに行くことになっちゃったの!ごめん、別の日に変えても良いかな?」


誰と行くんですか?なんて、僕が聞ける資格なんてない。先輩と僕は付き合ってないんだ。本当は、”勉強なんて辞めてホグズミードに行きませんか?”ってさりげなく先輩を誘うつもりだったのに、神様はまるで僕を見放しているかのようだ。それに先輩が僕よりも友達を優先させたのに、寂しみが湧き出てくる。


「あぁ、僕も読みたい本があったのでちょうど良かったです。」


素直になれない自分に今回ばかりは絶望した。




そんな事があり、苛ついた休日を送った僕は目の前にいる、なまえ先輩に八つ当たりしてしまった。


「美味しそうですね、先輩。」


「え・・///」


何故か顔を真っ赤にさせ、そっぽを向いた目の前の先輩は何を考えているのだろうか。まぁ、いいか。僕は今機嫌が悪い。それなのになまえ先輩が能天気に、ホグズミードで買ったであろうチョコレートを食べてるのが悪いのだ。

一緒に行きたかったな・・・。

そんな事を、1日中後悔して居たら先輩が僕に話しかけてきた。なんでも、僕が”美味しそうですね”と、さっき八つ当たりしたのをあろうことか、ベットのお誘いだと勘違いしたみたいだ。・・・僕達はまだそんな段階じゃ全く無いのに、#なまえ#先輩は・・なんて思うけど、少し、意識してしまう。顔を真っ赤にさせた先輩は可愛くて、きっとベットの上でも可愛らしいんだろうな・・・。そんなことを考えていて、先輩の話を全く聞いていなかったのが悪かったのだろう


ちゅっ


あぁ、僕の頬に触れる先輩の唇は思っていたより柔らかくて・・・、あれ、なんで、今・・・状況を理解するのにはそう時間がかからなかった。きっと僕の顔が赤いのは先輩にもばれてしまっているだろう。そう思うと悔しくて、ちょっと意地悪してみようなんて思ってしまった。素直に目を閉じる先輩はまるで、キスをせがんでいるみたいで、とても可愛い。あぁ、このまま赤く熟れた唇を僕のそれで塞いでしまいたい。いや、だめだ、付き合ってもないのにそんなこと・・・誘惑に負けてしまいそうな自分を奮い立たせ、ポケットに入っているものに触れる。・・・今、渡すしかないっ!本当は、ホグズミードの帰り、告白ついでに渡す予定で買ったネックレスを彼女の首につけてやる。あぁ、先輩が僕のものになったみたいで嬉しくなる・・・。


「次の休日は、僕と一緒にホグズミードに行って下さいね。約束ですよ。」


そう言ってみたけど、だんだん恥ずかしくなってきて、まともに先輩の顔を見れなくなり、僕は先輩から逃げるように立ち去ってしまった。先輩は気づいてくれただろうか僕の気持ちを、あぁ、次の休日までに告白の練習をルームメイトに手伝ってもらおう・・・。




素直になれない。



けどやっと誘えた。そう思ったら何故か笑顔になってしまった。





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