試合の日がやって来た。と言っても、寝て起きたら試合の日になってしまっていた。今更、"ごめん!今日、土曜日だから無理!"なんて言えるわけもなく、待ち合わせギリギリまで寝た私は覚悟を決めた。
「なまえ!よろしくな!!」
「あ!あなたがなまえちゃん?一緒にがんばりましょうね!」
いろんな人達が挨拶してくれる。あぁ、レイブンクロー生ってプライド高くて嫌なイメージだったのに、とても良い人たちじゃないか。リドルと違って・・。
「私、頑張ります!」
「じゃあ、これ、箒借りて来たから。」
「ぁあ!ありがとうございます。」
ユニホームに着替え寝癖を必死に直すと、そろそろ時間みたいでみんなで円陣を組む。"いくぞ!レイブンクロー!!"なんて言って、グラウンドに上がってく先輩方はみんな、スリザリンの私に優しくて、なんだかちょっとほっとした。
「私、レイブンクローが良かったな・・・」
「君の空っぽの頭じゃ無理だよ。」
「リドル?どうしてここに居るの?」
「たまたまだよ。ほら、始まるよ行っておいで」
「う、うん。…リドル!!!」
「なに?」
「ちゃんと見ててね!私の有志!!」
「ちゃんと見てるよ。ほら、早く行っておいで」
「うん!行ってきます!」
にこやかに笑いかけてくるリドルに、少し緊張が解けた気がした。敵は、グリフィンドールなのか。正直言って一番嫌いな寮である。スリザリンだからってこの前嫌な顔されたのを思い出す。"よし!絶対負けないっ!"なんて思ってると、試合開始のホイッスルが空に響き渡る。
地面を強く蹴り、いざ空へ!・・・って、あれ?中々に箒が飛ばない。あれ?あの時は直ぐに飛べたのに、周りの人もそんな私に気付いて居るのか、騒ついた声が聞こえてくる。
「とべ!飛べ!飛んで下さい!お願いします!!!」
飛行訓練の授業の時は思いの外すんなり飛んだからコツだとかは全然わからない。感覚で飛んだに近い。お願いだよ!お願い!一向に飛んでくれようとしてくれない箒を見ながらあることを思い出していた。そういえば、いつも授業で困ってる時はリドルが助けてくれた。"君はいつもその並外れた魔力に助けられてるだけで、実際はおっちょこちょいでせっかちだ。いい?魔力を押さえるのもコントロールするのも君次第なんだから落ち着いて。"この言葉を言われたのは誰も居ない空き教室での事だ。
「ねー!リドル、聞いて!」
「……なに?」
「私、猫もフクロウも買えるお金持ってないの。それにガマガエルなんて捕まえてきたらリドル、私とは口聞かないからって…。それで考えたの。」
「ふーん。なにを?」
「あのね!変身術の講義で習った魔法を使えばいいんじゃないかって!あの魔法でミミズをフクロウ変えればいいんだよ!そしたらお金もかからないし変身術でこれ以上怒られたりしないでしょ?」
「ふぅん、にしたらよく考えたじゃないか。」
いつもグリフィンドールへの悪戯をする時は協力してくれない彼が今回は協力してくれるようだ。興味深そうに話を聞いてくれる。
「あの時の授業、私魔法を成功させてないからリドルがこのミミズをフクロウにしてよ。白くてかっこいいやつね!」
「まって、なまえ。君が魔法を掛けたほうがいい。通常あの類の魔法は魔力が消えれば元の姿に戻ってしまう。僕がやっても1日持てばいい方だ。」
「じゃ、じゃあどうしたら…」
「大丈夫、君魔力だけは並大抵の魔法使いより上だ。僕があの時習った呪文を教えてあげるから君はミミズを用意して空き部屋に来て。」
「わ、わかった!」
リドルに任せておけばなにもしなくても問題ないと思っていたけどその後魔法が成功するのに凄く苦労した。1つは私の魔法の習得、もう1つは魔力をどれだけコントロールして目の前だけのミミズをフクロウに変えるかだった。実際成功するのには3日も掛かってしまったし、白いフクロウでは無く赤みがかった少し不恰好なフクロウが出来たのだった。
「なまえ、おちょこちょいで、せっかちで臆病者の君だけど、僕は魔力以外でもかってるところがあるんだ。それはね、諦めの悪さだよ。君はやると決めたらすごい集中力で直ぐに魔法なんか習得してしまう。やれば出来るんだから焦らず、臆病にならないでやればいいんだよ。」
なにより嬉しかった言葉だ。大丈夫、あの時のリドルの言葉を思い出して、慎重に自分の力を信じて…!
呼吸を整え強く地面を蹴る。落ち着いて、大丈夫。落ち着いて地面を蹴るんだ。何故だか飛べる自身があった。焦るな、私になら出来る。すると直ぐに浮いてる感覚があって、地面がようやく遠くなりやっと本当に飛べたんだとわかる。よかったぁ。リドルのおかげだ。試合が終わったらお礼を言ってみるのも良いかもしれない。あの言葉が私の励みになっている。ありがとうって言ってみよう。きっとリドルのことだから、ふーんって言って流すんだろうな。
大きな空のフィールドを見渡してあの金色のハエを探しているけど、な、なんか変かも、あの時の授業みたいに、スピードが出ない。でも、それが普通の速度らしく皆は気づいてない様だ。風は避けてくれているみたいだから、私の力が足りないのかも・・。それに、なんか、今日はおかしい。体がいつもより重いし、力を入れるたびに魔力が削れていってるのが解る。あれ、今日に限って風邪でもひいたのかな?なんて思って居ると目の前を金色の何かが横切った・・・、き、金のハエ、スニッチだ!!!そう思った私は力を込め、目の前のクディッチを追いかける。
これに勝たなきゃ、アルフレッドが皆に攻められちゃう・・っ!私のせいでそんなことになったら申し訳ないし、それに私は、はやく寝たいんだ・・・っ!!
追いかけていると、グリフィンドールのシーカーも、私の様子を見てスニッチに気づいたようだ。何度かせめぎ合いになって、グリフィンドールのシーカー君と肩をぶつけ合っているけど、やばい。持久戦じゃ負ける・・・!力を込め、はやくはやくと焦っていると、スニッチが急上昇し始めた。これはチャンスだ!!!登るように直角になる。空気の抵抗をあまり受けてない私と比べ、グリフィンドールの彼は箒から落ちそうになり、迂回して来るのがわかる。よし、これなら勝てる・・・っ!!
ラストスパートだ!!届け!!!あと、少し・・あとちょっと・・・!!!
指先がスニッチを掠める、周りから頑張れ!!なんて聞こえて来て、あぁ、私に掛かってるんだ・・、そう思ったら更にギュッと力が入るのがわかる・・・。
パシッ!!
捕まえた!と思ったのは一瞬で、手を伸ばしアピールしようと思ったら、急に眠くなってきた。凄く瞼が重い。あれ、睡眠が足りてないのかな、やっぱ土曜日は寝ないといけないって思ったんだよな・・・。
そこからはスローモーションで、体が違う意味でふわっと浮いて来た。自由落下し始めた私は空気抵抗を少ししか受けないため、通常の倍以上の速さで一直線に落ちる。目がだんだん開かなくなってきて、力もなんだかまったく入らない。微かに見える目の前の地面に"ぶつかるだろうな"なんて、他人事ように考えていた・・・。
あぁ、リドルに自慢してやるつもりだったのにな・・・なんだか、リドルのドヤ顔が脳内で再生されたけど、それもすぐに無くなり、真っ暗な世界に落ちて行く・・。
「なまえ!よろしくな!!」
「あ!あなたがなまえちゃん?一緒にがんばりましょうね!」
いろんな人達が挨拶してくれる。あぁ、レイブンクロー生ってプライド高くて嫌なイメージだったのに、とても良い人たちじゃないか。リドルと違って・・。
「私、頑張ります!」
「じゃあ、これ、箒借りて来たから。」
「ぁあ!ありがとうございます。」
ユニホームに着替え寝癖を必死に直すと、そろそろ時間みたいでみんなで円陣を組む。"いくぞ!レイブンクロー!!"なんて言って、グラウンドに上がってく先輩方はみんな、スリザリンの私に優しくて、なんだかちょっとほっとした。
「私、レイブンクローが良かったな・・・」
「君の空っぽの頭じゃ無理だよ。」
「リドル?どうしてここに居るの?」
「たまたまだよ。ほら、始まるよ行っておいで」
「う、うん。…リドル!!!」
「なに?」
「ちゃんと見ててね!私の有志!!」
「ちゃんと見てるよ。ほら、早く行っておいで」
「うん!行ってきます!」
にこやかに笑いかけてくるリドルに、少し緊張が解けた気がした。敵は、グリフィンドールなのか。正直言って一番嫌いな寮である。スリザリンだからってこの前嫌な顔されたのを思い出す。"よし!絶対負けないっ!"なんて思ってると、試合開始のホイッスルが空に響き渡る。
地面を強く蹴り、いざ空へ!・・・って、あれ?中々に箒が飛ばない。あれ?あの時は直ぐに飛べたのに、周りの人もそんな私に気付いて居るのか、騒ついた声が聞こえてくる。
「とべ!飛べ!飛んで下さい!お願いします!!!」
飛行訓練の授業の時は思いの外すんなり飛んだからコツだとかは全然わからない。感覚で飛んだに近い。お願いだよ!お願い!一向に飛んでくれようとしてくれない箒を見ながらあることを思い出していた。そういえば、いつも授業で困ってる時はリドルが助けてくれた。"君はいつもその並外れた魔力に助けられてるだけで、実際はおっちょこちょいでせっかちだ。いい?魔力を押さえるのもコントロールするのも君次第なんだから落ち着いて。"この言葉を言われたのは誰も居ない空き教室での事だ。
「ねー!リドル、聞いて!」
「……なに?」
「私、猫もフクロウも買えるお金持ってないの。それにガマガエルなんて捕まえてきたらリドル、私とは口聞かないからって…。それで考えたの。」
「ふーん。なにを?」
「あのね!変身術の講義で習った魔法を使えばいいんじゃないかって!あの魔法でミミズをフクロウ変えればいいんだよ!そしたらお金もかからないし変身術でこれ以上怒られたりしないでしょ?」
「ふぅん、にしたらよく考えたじゃないか。」
いつもグリフィンドールへの悪戯をする時は協力してくれない彼が今回は協力してくれるようだ。興味深そうに話を聞いてくれる。
「あの時の授業、私魔法を成功させてないからリドルがこのミミズをフクロウにしてよ。白くてかっこいいやつね!」
「まって、なまえ。君が魔法を掛けたほうがいい。通常あの類の魔法は魔力が消えれば元の姿に戻ってしまう。僕がやっても1日持てばいい方だ。」
「じゃ、じゃあどうしたら…」
「大丈夫、君魔力だけは並大抵の魔法使いより上だ。僕があの時習った呪文を教えてあげるから君はミミズを用意して空き部屋に来て。」
「わ、わかった!」
リドルに任せておけばなにもしなくても問題ないと思っていたけどその後魔法が成功するのに凄く苦労した。1つは私の魔法の習得、もう1つは魔力をどれだけコントロールして目の前だけのミミズをフクロウに変えるかだった。実際成功するのには3日も掛かってしまったし、白いフクロウでは無く赤みがかった少し不恰好なフクロウが出来たのだった。
「なまえ、おちょこちょいで、せっかちで臆病者の君だけど、僕は魔力以外でもかってるところがあるんだ。それはね、諦めの悪さだよ。君はやると決めたらすごい集中力で直ぐに魔法なんか習得してしまう。やれば出来るんだから焦らず、臆病にならないでやればいいんだよ。」
なにより嬉しかった言葉だ。大丈夫、あの時のリドルの言葉を思い出して、慎重に自分の力を信じて…!
呼吸を整え強く地面を蹴る。落ち着いて、大丈夫。落ち着いて地面を蹴るんだ。何故だか飛べる自身があった。焦るな、私になら出来る。すると直ぐに浮いてる感覚があって、地面がようやく遠くなりやっと本当に飛べたんだとわかる。よかったぁ。リドルのおかげだ。試合が終わったらお礼を言ってみるのも良いかもしれない。あの言葉が私の励みになっている。ありがとうって言ってみよう。きっとリドルのことだから、ふーんって言って流すんだろうな。
大きな空のフィールドを見渡してあの金色のハエを探しているけど、な、なんか変かも、あの時の授業みたいに、スピードが出ない。でも、それが普通の速度らしく皆は気づいてない様だ。風は避けてくれているみたいだから、私の力が足りないのかも・・。それに、なんか、今日はおかしい。体がいつもより重いし、力を入れるたびに魔力が削れていってるのが解る。あれ、今日に限って風邪でもひいたのかな?なんて思って居ると目の前を金色の何かが横切った・・・、き、金のハエ、スニッチだ!!!そう思った私は力を込め、目の前のクディッチを追いかける。
これに勝たなきゃ、アルフレッドが皆に攻められちゃう・・っ!私のせいでそんなことになったら申し訳ないし、それに私は、はやく寝たいんだ・・・っ!!
追いかけていると、グリフィンドールのシーカーも、私の様子を見てスニッチに気づいたようだ。何度かせめぎ合いになって、グリフィンドールのシーカー君と肩をぶつけ合っているけど、やばい。持久戦じゃ負ける・・・!力を込め、はやくはやくと焦っていると、スニッチが急上昇し始めた。これはチャンスだ!!!登るように直角になる。空気の抵抗をあまり受けてない私と比べ、グリフィンドールの彼は箒から落ちそうになり、迂回して来るのがわかる。よし、これなら勝てる・・・っ!!
ラストスパートだ!!届け!!!あと、少し・・あとちょっと・・・!!!
指先がスニッチを掠める、周りから頑張れ!!なんて聞こえて来て、あぁ、私に掛かってるんだ・・、そう思ったら更にギュッと力が入るのがわかる・・・。
パシッ!!
捕まえた!と思ったのは一瞬で、手を伸ばしアピールしようと思ったら、急に眠くなってきた。凄く瞼が重い。あれ、睡眠が足りてないのかな、やっぱ土曜日は寝ないといけないって思ったんだよな・・・。
そこからはスローモーションで、体が違う意味でふわっと浮いて来た。自由落下し始めた私は空気抵抗を少ししか受けないため、通常の倍以上の速さで一直線に落ちる。目がだんだん開かなくなってきて、力もなんだかまったく入らない。微かに見える目の前の地面に"ぶつかるだろうな"なんて、他人事ように考えていた・・・。
あぁ、リドルに自慢してやるつもりだったのにな・・・なんだか、リドルのドヤ顔が脳内で再生されたけど、それもすぐに無くなり、真っ暗な世界に落ちて行く・・。