恋いに恋する。
最近良く考えることがある。

"恋とはなんなのか"

私の家系、みょうじ家は魔法界でも高貴な血筋で有名である。
2人兄妹の長女である私は跡取り息子の兄とは違い、両親そして周りの大人達皆に、大切に甘やかされながら育って来た。あぁ、だから、こんなわがままな性格になっちゃったんだわ。
そんな私には産まれる前から決まっていたらしい"婚約者"がいる。それを聞いたのは5歳の頃だった。5歳ながら"好きな人は自分で決めたいっ!"と泣きながら周りの大人達に怒鳴り散らしていたそうだ。
でも、それは私が、なまえ・みょうじである時点で無理であることは誰もが皆わかっていて、今までなんでも私の言うことを聞いていてくれたのに、あんまりだと思ったのを今でも覚えている。
所詮私は、みょうじ家のそして、ブラックの家の前では、逆らえないのである・・・。

恋というのは甘くて、ほんのちょっぴり切なくて、レモンの味がするらしい。マグルの本で読んだことがある。私も胸が苦しくなるような、そんな恋をしたい。苦し過ぎるのは絶対いやだけど・・。
そぅ思い、手元にある紅茶の隣にあったレモンをちょこっと齧ってみた。

・・・しょっぱ。

思わず肩が震えてしまったけど、きっとこれが恋の味だ。暫く口の中で恋の味を堪能する。私、こんなの絶えられるのかなぁ・・・。



"婚約者が変わった。"


そう聞かされたのは、今からちょうど1週間前になる。ブラック家とは代々仲が良かったらしい私の家系だが今回ばかりは少しブラック家に不満を抱いていた。
私の元婚約者のシリウス・ブラックとは、小さい頃からそれなりに仲が良かった。両親は、あの泣きながらに怒鳴り散らしていた私を見ていたためか、仲の良い私達を見て心の底から喜んでいた。でも、まぁ、所謂、シリウスとは悪友だ。2人でしていたイタズラは、周りの大人達をとても困らせていたけど、私にとっては人生で一番楽しかったと思う。
そんな彼が、婚約者から元婚約者に変わったのは、なんでも、彼が家を飛び出て勘当されてしまったらしい。あぁ、確かに彼はグリフィンドールに入り、ブラック家の恥さらしなんて言われていた。少し反抗的で嫌なとこもあったけど、でも、どっかの知らない奴と結婚するよりはマシで、彼となら結婚しても良いかもって思える程には仲が良かったため、少しショックだ。

私の両親も、私が彼を気に入っている事を知ってたため、"健気な我が娘が不憫でたまらない。なんて嘆かわしい事なんだ"と、同情してくれた。まぁ、悪友なのはこれからも変わらないし別に良いのかもしれない。

「レギュラス・ブラックです。」

私が彼と会ったのはその知らせを聞いてから3日後になる。シリウスの弟が次の婚約者だとは知っていたけど、彼に会うのは初めてだと思う。実際のところ、ブラック家やみょうじ家のパーティーでお互い招待したり呼ばれたりしてるが、仮病を使ったり、シリウスとこ行って来るね!なんて言っていつも2人で抜け出していたから、よく覚えてないのである。んー、どうだったけ・・・。

「レギュラス、貴方と婚約者になれて凄く嬉しいわ。」

「僕もですよ。なまえ。」

社交辞令なのにそういえば、両家とも嬉しそうに微笑み、わだかまりが解けるのがわかる。私の両親は最初ブラック家に対してとてもご立腹だったが、私の態度をみて安心したようだ。さすが、私の性格を構築しただけはある。甘過ぎるのだ。一人娘だからって普通はそこまでしないと思うのになぁ。

ちらっと目の前にいるレギュラス・ブラックを見る。すると目が合って暫く見つめ合う形になったけど、照れくさそうに人当たりの良さそうな綺麗な笑顔で

「僕の顔に何かついてますか?」

なんて言われる。

「綺麗な顔をしてるから、思わず見惚れちゃったの。」

すると彼は驚いたようで、照れた顔をさらに赤くすると、目をそらし、

「#なまえ#には負けますよ。」

なんて、言ってくる。そんな嬉しい言葉をくれるけど、どうせ貴方もあの元婚約者みたいに私をほったらかしにするに違いない。

・・婚約者なんて名前だけだ。

こんなことを婚約者の前で思うのは引けるけど、きっと、この婚約者も、綺麗な灰色の瞳の奥で同じ事を考えてるに違いない。

そして、4日が過ぎた。彼に会ったのはそれっきりで、思ってた通り連絡が全くなかった。でも、私も別に、婚約者の彼に会いたいとは思わなかったので、あまり気にしなかった。



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