ああ腹ただしい。顔面に針でもぶっ刺してやろうか。


「でね、もう本当にかわいくって!!すっごいモフモフなの!」


「分かったからちょっとお前黙れ!!」


「そういって本当は触りたいと思ってるくせにー。エリオット猫大好きだもんねー」


「なっ……!別にそんな事思ってなんか……ないっ」


ニヨニヨと笑っているのは僕の恋人であるなまえ。
そしてもう1人は親友のエリオット。

2人共僕にとって大切な人。
そんな大切な恋人と親友の会話を普段は眺めている僕だけど、今日だけは許せない。

2人はよく話す仲だ。
それは別に構わない。
ただ彼女、なまえの笑顔がほとんどエリオットに向いてる気がして。
ていうか気がするんじゃなくて向いてるんだけど。


勿論僕と2人きりの時だって笑ってくれる。
ただちょっと僕に対しての笑顔はぎこちない。
エリオットにはあんなに眩しい笑顔を向ける癖に。


エリオットもエリオットだ。
顔赤くしちゃってさ。
あのピョコピョコ生えてる前髪の毛引っこ抜かれたいのか。


あ、また笑ってる。
……なまえは僕よりエリオットの方が好きな訳?


そう思ったら余計に腹が立っていつの間にかなまえの腕を掴んで引っ張り、思い切り抱き締めていた。


「リリリ、リーオ!?」


「なっ……リーオ、お前こんな所で何して」


「ごめんエリオット、ちょっと2人きりにしてもらってもいい?」


ニコリと笑うと彼は「お、おう」と返事をして僕達の前から居なくなる。


「……あのさ」


「う、うん……」


俯き、目を合わせようとしないなまえ。
それがもっと僕を苛立たせてるって分かってる?


「なまえは僕じゃなくてエリオットといた方がいいよ」


「なん「何でって?それ僕に言わせるの?」


戸惑いを隠せない彼女の言葉を遮り話す。
依然、彼女は俯いたまま。
駄目だ、もう無理。


「君、僕にはぎこちない笑顔だし目もまともに合わせないのにエリオットにはよく笑うし目も合わせるよね。それってつまり、エリオットの方が好きって事でしょ?……そりゃそうか。エリオット格好いいし堂々としてて頼りがいあるし優しいもんね」


自虐的に笑って、なまえの華奢な身体を離し「じゃあ」と告げて彼女の顔もみず去ろうとした時。
背中に暖かい温度を感じた。


「ちが、リーオ違うよ!!違う……」


悲しそうな掠れ声で呟くなまえ。
思わず抱き締めたい衝動に駆られるがグッと我慢をする。


「何が違うの?」


「私、リーオがどうしようもないくらい本当に好きで好きで!!いつもリーオと手を繋いで帰りたいとか本について語り尽くしたいとかデートいっぱいしたいとか思ってて!!今もリーオが嫉妬してくれたんだと思うとすっごく嬉しいの!!」


さらっと恥ずかしい台詞をよくもまあこんな大きな声で言えるなあ……こっちまで恥ずかしくなるよ。


「でも、その、あまりにも好きすぎて恥ずかしくて直視出来ないというか……。リーオかっこよすぎなんだもん。私、自信なくなっちゃって。なんとか笑おうとしてもぎこちない笑顔になっちゃうし……」


ポツリポツリと段々泣きそうな彼女。
全く馬鹿だよ、この子。
そんな下らない理由だったのか。


「あ、あの……リーオ、耳赤いけど熱?」


「は?熱なんてないけど」


そう、熱なんてないのに。
顔が熱い。
……馬鹿は僕、だね。


「なまえ」


「!?」


振り向き、なまえの頬にキスを1つ落とす。


「僕だってなまえが好きだよ。いや、愛してるって言った方がいいかな?」


ニコリと微笑めば今度は彼女の顔が真っ赤になる。


「でもよく覚えておいて」


君の事は愛しいけれど

(今度嫉妬させたらどうなるか分かるよね?)



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巳燕様から頂きました、リーオ夢です。
エリオット柄みでやきもち妬かせてほしいとお願いしたらもうドストライクなお話を書いて下さいました…!
ありがとう御座いました(*´∇`*)

お持ち帰りはご遠慮下さいませ。




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