正シイ御薬ノ勧メ | ナノ
此れは悪い夢だと思いたかった、そして同時にそう思いたくもなかった。媚薬もとうに切れている筈なのに、どうしてそんな嘘をつくのか、と。わざと私の中心を避けるあたりはやはりいつもの意地悪な山崎なんだ。それでも触って欲しくて、ぐちゃぐちゃにして欲しくて堪らないと、ひくついている身体だけは正直だ。


「な、んで…そんな嘘つく、のよ…」
「みょうじだって嘘ついたじゃん。おあいこ、」
「……確かに、」


思い当たる節があり過ぎて今じゃどの言葉を指しているかまでは解らないけれど。衣服を掠める音だけが都合良く耳に響き、待ち望んだモノか侵入して…あれ、来ない。


「犯されるって思った?それとも…犯して欲しい?」


いや、犯すとか犯されるとか、それ以前に私はあんたで侵されているわよと、実際には言えもしない台詞をつらつらと脳内タイピング。見上げた山崎は何とも言えない妖艶さを纏い、ひくつく私へとソレをあてがうだけ。するすると互いが滑り合って私を堕とさんとばかりに…


「あぁっ、ん…や、ぁっ!」
「言えない?ならやめとこうか、」
「………う、」
「そんなんじゃ聞こえねぇよ!」
「言う、言うからぁっ、」


満たして欲しくて縋り付く。今度は嘘なんてつかないと両手を伸ばして頭に添えた。もう逃がさないんだから。



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嘘でも良いから聞きたかった。高揚させた顔で好きなんだって…まぁ嘘だとしたらそれはそれで困るんだけども。


「言う、からぁっ!も…ゆる、し、てっ…」
「嘘、つかない?」
「もっ、ほんとの事だ…け、」


きっと嫌い、大嫌いって言われるんだろうなって…この期に及んでもネガティブな思考ばかり廻る。嫌いと告げられてしまったら、ひどく抱いてこれっきりにしよう。万が一にでも好きだなんて言ってくれたら…んー、やっぱりそれは無いなぁ、都合が良過ぎるや。
くちゅくちゅ、と厭らしい音をわざと立て目線を逸らしたけれど両側からみょうじの手が俺を包んで逃がしてくれない。それどころか震えてんの、もう可愛いったらありゃしない、恐るべし惚れフィルター。


「はぁ、あぁっ…わ、たしは…」
「うん…」
「あんたの事、がっ!」
「………大嫌い、だろ?」
「…好きで好きで、たまらなっ、あぁ!ん、ちょっと!」
「あのなぁ、そ、ゆー事…容易く言うなって、っう、言ったた…だろ。くっ、あ…」
「んあぁっ!やっあ、ぁぁ…も、ダメ、」


あーもう、可愛すぎいやらしすぎ締め殺す気かみょうじは。散々焦らしたからナカはとんでもなくひくついていて、ぎゅぅっと俺を離しやしない。直ぐにイったりなんかして肩で息を繰り返している。構わず刺激すると本当に締め殺されるかと思うくらい更に収縮し連れて俺も吐き出した。


「オイ…今わざと締めただろ、」
「ひ、との…話聞かない、っ、から…よ!」
「うっ、ぐ…」


はぁはぁと呼吸を整えながらも、すうっと腕が伸びてきて俺の着流しに掴まる。それからぬるぬると繋がった部分をも逃がさないと、脚を使って腰ごと…ってこれアレじゃん?これも計算かァァァ!クソ!もしかしたら本人は何とも思わずしているかもしれないけど生憎俺の趣味どストライクだね、逆効果ってやつ。そこにキスなんかされたら…こっちが落とすつもりだったのに堕ちてしまう。


「やっ、と…捕まえた。ん、ちゅ…ぅ、はぁ……、」
「さっきのさ、アレ本当?」


あぁ、アレねぇ…と、いつもの眼をされたらますます逃げられやしない。いつの間にか心臓が爆発しそうだ、やめてくれ。


「私は山崎が大嫌いよ。………、っ!だけ、どっ!」
「聞きたくない、ね…」
「聞い、て!…んぁ、っ!」
「やっぱり、みょうじは嘘つきじゃないか…」


止めてやるつもりなんて無い。嫌いとはっきり言われた以上はひどく抱いてやるんだって。もう何度目になるか覚えてないけど、再び押し倒してそれから奥まで刻みつけてやる。背中に爪が食い込んで来て心も身体も何もかもが痛いや。


「ひぃ、あん…っん!」
「黙れよ、」
「それ以上、に!…さがるの、事…だ、い…すき、!」
「!!!…くっ、」
「あぁん、イく!さがる、!んんっ、ぁ、好きなの、ぉ!」
「うぁ、っ…」


情けないくらいに呆気なく俺は搾り取られた。もう一度好きって聞きたかった結果がコレだよ。つーか天然なの!?計算なの!?それとも何ィ!?
乱れた呼吸も俺の心もみょうじの仕草も言葉も何もかも…ぐるぐる混ざってやまないや。
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